robotpaper.challengeについて


はじめに

こんにちは,cvpaper.challengeアドベントカレンダー 19日目を担当するrobotpaper.challenge 主宰の牧原です.大阪大学の基礎工学研究科D3で,産総研のインダストリアルCPS研究センターICPSのオートメーション研究チームARTでもRAをしています.今回の記事では,robotpaper.challengeを立ち上げた2019年から現在に至るまでの活動とこれからの展望について話していければと思います.

現在の体制

研究メンバー9人,アドバイザー7人で活動をしています.研究テーマはマシンビジョンなどのマニピュレーションを中心として,移動ロボットやロボット聴覚などの専門家が在籍しています.cvpaper.challengeと同様に,サーベイなどを通してトレンドを把握して次なるトレンドを作り出すことを目標として活動しています.どんなメンバーがいるかはホームページを参照ください.

2019年の発足から現在まで

このグループは2019年に発足してから4年になります.始まりは片岡さんがICRA2019速報を公開した時にcvpaper.challengeのroboticsバージョンもつくらない?という一言から東京電機大学のメンバーを中心に招集されました.ここの初期メンバーとして僕を含み他大学からもロボット学習に詳しい学生なども参加してくれて,アドバイザーとして,現在の僕の主メンターであるARTチーム長の堂前さんをはじめ,主任研究員のイクシェルさんやオートメーション研究チームの研究員の方に参加していただきました.初期体制はこんな感じでやっていて,ICRA2019の網羅的サーベイやグループでの研究テーマ設定,強化学習に関する勉強会を今は東大松尾研にいる北村さんや,NAIST松原研の佐藤さんたちが開いてくれたりと,いいスタートを切れていました.

しかし2020年度はM2メンバーの卒業などが重なってメンバーが大きく減った上に,パンデミックに差し掛かった時期であり、活動は縮小しました.それでもオンラインでできることとして,IROS2019の毎日論文紹介をやったり,ICRA2020IROS2020の網羅的サーベイを実施したり,ICRA2021への2本の論文投稿を達成するなど精力的に活動していました.これらの成果は、東京電機大にいた廣瀬さんが一緒になって頑張ってくれたことや,堂前さんやイクシェルさん,片岡さんの手厚いサポートがあってのことでした.

2021, 2022年度は主メンバーは僕1人で活動することになったため,片岡さんやcvpaper.challengeの研究メンバーの方々に協力してもらう形でなんとかやって行こうとしていました。しかし,僕自身の力不足もあり,あまり活動ができていませんでした.他大学の研究室への移動もあったり,個人の研究者としての成長に集中して博士課程の早いうちに成果を出そうとしていた時期でした.

そこから,片岡さんや堂前さんに体制の見直しなどを提案してもらって,メタサーベイやcvpaper.challengeとの融合テーマの実施を進めるという方針で活動していきました.この頃はロボティクス基盤モデルの代表例としてRT-1が発表された時期であり,片岡さんから「これアツいよね!私たちでも作りたいね!」みたいな感じで提案してもらって,関連した研究テーマのブレストやメタサーベイ方針の打ち合わせなどを進めていきました.これを機に研究メンバーもさらに招集してサーベイを中心に活動しました.メタサーベイ資料の公開からMIRUやLangRobo勉強会での発表,IROS2023, CoRL2023のサーベイ資料などは今年の中心的な成果になります.これらは今年から参加してくれた産総研のARTの研究員の元田さんや花井さん,中條さん,板寺さんを中心とした研究メンバーの多大なる協力があっての成果です.この活動を見てくださった方からいい反応をいただいたこともあって,やる価値は大いにあったし,メンバー全員の知識量もかなり底上げされたように思います.メタサーベイとか諸々に関しては元田さんが書いている記事を参照してください.特に最近のCoRL2023の約200本の完全読破達成した件では,僕と元田さんで話し合っている時に「これくらいなら1週間でいけるでしょう!」と楽に構えて始まったんですが,思いのほかキツかったのはあります.アトランタの時間帯に合わせて深夜はVirtualで聴講しつつ,論文まとめも並行しないといけなかったので大変でした.他のメンバーも平日に業務がある中にも関わらず協力してくださったことに感謝をここで述べさせてもらいます.特に最終日付近の伸びがすごくて,時速10本くらい(ちょっと盛りました)でまとめがリアルタイムで増えていくのをみてたのでこれが集団の力なのかと感銘を受けました.結果,元田さんにほぼ半分(100本)くらいまとめてくれるなど多大な貢献があって達成することができました.外部で発表もしてきたので,後日そのときの資料も公開する予定です.

CoRL2023完全読破の進捗推移

これらの活動で個人として学んだことは,研究でも趣味でもなんでもいいから,いかに仲間を集められるかが大事であるということです.博士課程は孤独との戦いとか言われるし,実際にそういうイメージを持っている方も多いと思いますが,同じような意志を持った誰かと協力するって楽しいし,励まし合って頑張るとか部活みたいな形ですがいい点がたくさんあります.パンデミックが起きたりで1人で活動することがこれまで多かったんですが,改めてこういう活動の良さを実感できてよかったです.

これからの話と目指したい形

そしてこれから私たちがどう活動していくかについてですが,基盤モデルのロボティクス応用に関する研究を中心に成果を上げていきたいというのが大きな目標です.CoRL2023の調査でも感じましたが,海外(特にアメリカ)の動きがかなり活発で,これに対しいかに我々が戦っていくかは,サーベイや研究を進めていくことはもちろんのこと,協力体制を整えていくことが必要だと考えています.日本は特にロボット学習を専門とする研究者の数自体も圧倒的に少ないので,関連している研究者たちと意見を交換することや,より良い論文を作るための内部査読体制(cvpaper.challengeではすでに行なっていますね)の他にも,興味のある実働メンバーをどんどん引き入れていきたいです.ロボットのシステムを作り上げるには,データを作る人やモデルを実装する人,ロボットを動かす人,作る人など,さまざまな専門家が集結して協力する必要があり,1人でやるのは難しいです.だからこそ連携体制を作っていくことが一番必要なんだと感じていて,その難しさも承知していますが頑張っていきたいです.

基盤モデルのロボティクス応用についての知識もかなり蓄積されたので,最近では注目の技術の再現実装などをして問題点はないか,自分たちが保有している技術とうまく組み合わせることができないかなどを議論しています.特に研究メンバーであるARTのErichさんはかなり手が速く,最新手法をいち早く実装して自分のものにしていく技術がかなり高いです.実際に自分たちの環境でロボット動かしてみないと見えてこないところもあり,ロボットやセンサ類もたくさん用意されていてすぐに手を動かせる産総研はとても魅力的な場所です.そして,robotpaper.challengeの研究メンバー,アドバイサーの皆さんは最新の技術に関してとてもウェルカムで,とても熱心に指導してくれるし議論にも参加してくれます.僕も修士の頃から4年くらい大変お世話になっています.もちろんcvpaper.challengeとの連携も進んでいるのでロボットだけでなく,片岡さんはじめコンピュータビジョンの専門家や学生とも一緒に研究をしているので,人と環境ともに申し分ない最高の場所だと思っています!

おわりに

ここまで,robotpaper.challengeの活動紹介とこれからの目標の話をさせてもらいました.まだまだこれからの団体ではあるんですが,「ロボット作ってみたい,動かしてみたい!」,「基盤モデルでなんかすごいことしたい!」って思った人はぜひサーベイメンバーからでも研究メンバーからでもいいので,修士や博士課程の学生に限らず,学部生の方でも興味があればお声がけください!
以上,アドカレ19日目でした.


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