黒子から見るxpaper.challengeの魅力について

筆者:長谷部 航平

自己紹介


こんにちは、ResearchPortの長谷部と申します。

この度は、研究者リレーで繋いでいるアドカレに参加する機会をくださり大変恐縮です。

私は研究者ではありません。xpaper.challengeでは研究者の皆さまの活動を裏方でサポートする役=黒子として活動参画させてもらっています。今回の投稿では、「黒子から見るxpaper.challenge」的なテーマで語らせてもらえればと思っております。大変未熟な薄い内容で恐縮ですが私の個人的な意見を聞いていただければ幸いです(すいません)。そんなわけで、我々がどのような目的でどんな活動をしているのか、またそこに至るまでの経緯やxpaper.challengeの皆さんにどのような協力をしているのかについて紹介していきたいと思います。

ResearchPortの概要紹介

弊社が運営しているResearchPort(リサーチポート)は、AI分野を中心に産学官を繋ぐインテグレーターを担っております。

ResearchPortに繋がる前身の事業で、私は国内製造業メーカーの技術系[特に機械・電気電子]の新卒採用支援をしていました。こちらの事業は、技術系学生を採用したい企業と、メーカーに就職したい機電系学生を、イベントなどを通じてマッチングするサービスです。

活動の特徴としては、(コロナ以前は)全国各地の大学LABに直接足を運び、対面で学生の方々とコミュニケーションを取らせてもらっていました。現役の学生さんから、就職に対する不安や、専門性を活かした仕事探しへのアドバイス、またどのように研究と就活を両立するかなどなど、さまざまな相談を受けてきました。過去5年で、のべ15,000人以上の方の就活に僅かばかり関わらせていただきました。

新卒の就職活動の仕組み上、全国一斉に短期間に一気に就活シーズンが始まり、最終的に1社見つけなければなりません。限られた時間で一定の成果に結びつけるための戦略的な就活サポートを提案していました。

やはり本音ではもっとじっくり未来ある学生の人生に寄り添いじっくりとさまざまなアシストを行い長期的な成長支援を行いたいとの思いがありました。あと、どうしても国内の新卒採用市場は企業主導で進みます。もっと学生側にとってよりよい就活のモデルがあってもいいのになと思う場面も多くありました。近年就活マーケットもどんどん変化していますが、当時そのようなことを感じていました。

就活とは別に研究室で学生さんに「どんな研究してるんですか?」と質問し研究活動の話を伺うと、研究者ではない我々に取って新鮮且つ難解な情報にたくさん触れました。「なんでその研究しているの?」「その研究は将来的にどんな価値を目指しているの?」「その研究なんで始めたの?」なんていうド素人目線の疑問をぶつけてました(笑)。幸いにも学生さんに丁寧にご説明いただき理解できた瞬間、「それ、めちゃくちゃ面白いことやってますね!!」なんて感動していました。理解できると逆にこちらからもいろんな提案が浮かび、「〇〇に活用できそうな技術ですね」「この前企業でそれに近い研究している方にあったから紹介しようか?」「その技術でいずれ〇〇のような製品開発したら面白そうですね」などなど就活サポートから脱線し盛り上がってました。こんな雑談のほうが長期的には学生にとっては有益な機会提供できそうだなと思う瞬間も多々ありました。

そんなこともあり、せっかくなので学生さんの「専門性」にフィットした機会提供を探り始め、また2016年3月あたりから、一部の企業において新卒AI人材採用に力を入れ始めて、私も製造業にAI人材を流通させるプロジェクトをスタートさせることになりました。このときのプロジェクトが、今のResearchPort事業の最初の一歩となっています。弊社のコーポレートミッションである、「技術革新への貢献」を体現していくためには就活支援の枠組みに囚われず研究者の活動支援全般をドメインとして研究者支援事業に取り組もうとなって2019年11月に立ち上げたのが、ResearchPortです(事業部名の由来は興味があれば直接質問してください)。研究者のMission成功を支える活動をどんどん推進しています。

ResearchPortのあるべき姿を模索するために「もっと深く学術界を理解して、もっと産業界を理解して、研究者技術者の生涯パートナーを目指していこう」との思いを持った感じです。そして研究者を理解しようと思ったら、研究者と気軽に交流できる場にいた方が良いでしょ!という勢いで、ResearchPort LABを、東京大学本郷キャンパス徒歩1分の最高の立地に移しました。その4ヶ月後に最初の緊急事態宣言が発出され、早速出鼻を挫かれてしまうわけですが……。ただ悪いことばかりではなく、本郷に拠点を移したことで、前述の事業でお付き合いのあった方と交流が深まり、その方から片岡さん・福原さんをご紹介いただきxpaper.challengeの存在を知ることになりました。

xpaper.challengeとの出会い・我々が感じたこと

このような流れで、片岡さん・福原さんと何度かブレストをさせていただき思ったことが、まず第一に、有志の集いでここまで意欲的に高い目標を持った組織ができるのかと驚きました。

今まで弊社が触れてきた方々(就職活動期前後の学生)は、大学での研究だけで精一杯という方が大半でした。しかしxpaper.challengeに参加されている方々は、メインで所属している組織での研究・職務もこなしつつ、CV分野などのトレンド創出を目指し、マルチプロジェクトを楽しそうにこなしています。

このような熱意に触れたことで、xpaper.challengeが若手研究者の登竜門としてメジャーになってもらいたい・世界で活躍するタレント研究者を育成できるコミュニティになってほしいと感じました。

ResearchPort自体は研究者ではないため、実際の研究活動に参加することは難しいものの、今まで弊社が培ってきたプロジェクト企画~事業推進、イベント運営に関わる諸業務などなど、裏方作業を可能な限り担うことで、xpaper.challengeメンバーの負担を軽減できるような関わり方が理想でした。その結果、皆さんがより研究に専念できるよう“時間捻出”をサポートすることで、間接的に研究活動のサポートが出来れば嬉しいと連携を提案させていただきました。

研究者市場に思うこと

我々が研究者市場に向き合っていて感じたことは、とにかくピュアでいい人が多いということです。皆が紳士で愚直に課題に向き合って真面目だなと思います。そのため、純粋に応援したいな、頑張ってほしいなと常に思っています。

私たちは研究者と向き合う機会があるからこそ、その人柄や魅力を実感していますが、世の中の方々はなかなかそれに触れる機会は少ないと思います。さらに言うと、研究者の皆さんと接していると、何か世の中を変えるきっかけを生み出してくれるかも……というワクワクがあります。多くの研究者がエキサイティングなチャレンジを続け、たくさん失敗しても、思うような成果が出なくても、諦めずに“次こそは!”と粘り強く頑張る姿にはいつも驚かされます。

地道な研究を続けてくれる方のおかげで、日々の生活がほんの少し便利になったなとか、今までとは違った楽しみ方が増えたなというような、小さな幸せを人々が感じられるのだと思っています。

ResearchPortは、黒子として研究者が活躍できる機会・情報を提供することで、この市場をさらに盛り上げていきたいと考えています。同時に世界で活躍できる研究者をもっともっと増やしたいです。勝手ながらそんな思いを持っています。

三足の草鞋が当たり前の世の中を作りたい!

ResearchPortでは、研究者の活躍機会をどんどん作りたいと考えています。最近周囲の方々を見ていると何となく二足・三足の草鞋で活動する方が増えてきております。アカデミックでの研究、企業での研究、スタートアップでのチャレンジを並走している方々が出てきました。

アカデミックで基礎研究に取り組み、企業で応用分野を触りつつ、面白いアイデアをスタートアップでチャレンジするようなスタイルです。バランスは様々ですが、いろんな事業にまたがり仕事をしていくというのは面白いと思います。

日本はIT先進国に比べて、優秀な方々の流動性がまだまだ低いと思います。世の中のニーズに対して魅力的な研究者の供給が追い付いていないかもしれないです。人類の宝である優秀な研究者をどこかの組織だけで独占するのはもったいないなと思ったりしてしまいます。

これからの研究者の活躍スタイルをいろいろ研究し、さまざまな機会を提案して、今はない新たな“プロ研究者”の市場を作りたいなと考えています。

xpaper.challengeをさらに盛り上げたい

前述しましたが、ResearchPortは、xpaper.challengeをさらに広めたいと思っています。

ここは、企業や大学ほかさまざまな研究機関の枠組みを超えて、魅力的な研究者同士が共創しイノベーションが加速していく場になるポテンシャルがあります。このコミュニティからスタープレイヤーがどんどん生まれる瞬間に立ち会いたいと思ってまして、そのためにはさまざまな角度から研究者サポートが必要だと思っています。

コミュニティのメンバーがもっと研究に時間を費やせるような”マネージャー的貢献”をどんどん増やしていきたいと思っています(研究以外のタスクは我々にお任せください(笑))。

研究コミュニティが更なる進化を遂げ、熱意のある研究者が切磋琢磨し、毎年トップカンファレンス/ジャーナル採択数が向上して、世界での技術プレゼンスが高まりトレンドの震源地になれたら最高です。

参考:カンファレンスランク2021年版

日本人研究者が、世界の最前線でもっともっと活躍する未来が実現したら“マネージャー”として最高にエキサイティングです。飛躍した話ですが、何年か先、子ども達のなりたい職業ランキング1位に「研究者/エンジニア」がランクインしたら最高ですね。

CCC2021の裏方について

xpaper.challengeと連携がスタートしてすぐに、一緒にカンファレンス(CCC2021)に取り組む機会をいただきました。研究者の方々とイベントを企画・運営するのは貴重な経験となりました。

カンファレンスのテーマを議論するところから始まり、コンテンツをどうするか、どのような方に登壇いただくか、どんなプレゼンテーションを企画するかなど一連の流れを皆さんで議論させていただきました。一般的にイベントを企画する際には、開催日・コンテンツ・開催形式・申込方法など決定し、誰が何を担うのか役割分担をし進めていく必要があります。高校の文化祭に近いイメージです。ただ、忙しい研究者の皆さんだけで全てをこなすのは大変でして、こういうときこそ我々黒子の出番です(笑)。カンファレンスのポスター作成から始まり、カンファレンス前のサポート、当日の運営タスク、終了後のフォローアップタスクなどでサポートさせていただきました。研究者の活躍する舞台作りこそ我々がやるべき重要ミッションであることを実感する機会でありました。

時間がない中、カンファレンスの中身の準備が整いプロモーションフェーズに移り、Twitterや各学会などで情報拡散してから本番までは決して時間も多くありませんでした。それにも関わらず、短期間に1000名に迫る大勢の方々がこの企画に参加されたというのはすごいことです。弊社も日頃からオンラインでイベント運営を行っていますが、1000名規模のオペレーションは本当にヒヤヒヤです。「配信止まったらどうしよう?」「音声はしっかり届いているかな??」などなど一日中緊張しっぱなしでした(笑)。

とてもうれしいことに、学術界だけではなく多くの企業研究者の方や、各都道府県管轄の組織に所属する方まで、文字通り産官学横断で開催されたカンファレンスでした。

また事後アンケートを見ても、多くの方から好評の声と再開催の要望をいただき、改めてxpaper.challengeというコミュニティの期待の高さを実感いたしました。

研究者の生涯パートナーを目指して

「ResearchPortさんは何をやってる企業なんですか?」と聞かれることがよくあります。その度に、「特定分野に特化した人材業者です」と伝えています。それも間違ってはいませんが、本質を捉えているとも思っていません。これが一番伝わりやすい自己紹介だからです。人材業者というと一般的には、就職・転職時に企業を紹介してくれるものとイメージされる方が大多数でしょう。

ResearchPortは、研究者の皆さんを、生涯にわたってその価値を高め続ける伴走者としてサポートしていきたいと考えており、その過程でときにはアカデグジットがあったり転職があったりすると理解しています。日々の研究活動や普段言葉に出さない技術に対する想い、もっと世の中をこうしたいという夢など、レジュメには記載されない“研究者の魅力”を全てひっくるめて、一人でも多くのタレントを世界に送り出すことに貢献ができれば嬉しいです。それをキッカケに研究者を目指す子ども達が増え、世の中の評価が変わり、環境がより整備され、ゆくゆくは日本がトレンドの震源地になっていくと良いな密かな思いを持っています。

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