ブルドッグとマミーテイラー(スコッチ・バック)

ブルドッグとマミーテイラー(スコッチ・バック)
クリスマスにカップル成立したシンペイ&ユウナ。
親元から離れて独立したいと申し出たシンペイに、ユウナの部屋に一緒に同棲しようとユウナは提案した。
しかし、実際は、炊事、洗濯、掃除など、ユウナガシンペイの面倒を見ている感じではあったが、元々面倒見のいいユウナは、重荷とは思わなかった。
それから三か月ほどたった早春のある日、ユウナはシンペイに出会ったきっかけのBAR M&Nに誘った。
チリンチリン♪
「いらっしゃいませ~、何にいたしましょう?」にこにことBARのマスターみつである。
「あにゃっ?ユウナにゃん、シンペイにゃん、久しぶり!!同棲したってひだまり商店街のにゃんこ達の中ではもちきりの噂にゃんよ!!」とウキウキ気分のねね。
ユウナは、「噂だなんてそんな、一般的なカップルでもすることで…。でも、今日は良い報告に来たんですよ!」
「良い報告?僕、聞いてないなぁ。」とシンペイ。
「私…今妊娠三か月なんです。」と微笑むユウナ。
「え~っ!!赤ちゃんできたのぉ~!!」騒然となるBAR一同とシンペイ。
「すごいじゃんユウナちゃん!!ママになるんだね!!名前決めないと。」とシンペイ
「生まれるのはまだ先のことだから、後でゆっくり一緒に考えようね。」と優しい聖母のような表情のユウナ。
「そーそー、赤にゃんを大事にしにゃいとね。」とねね。
「それでは、このフォトフレームに飾ってあるミヅキさん一家のユウサク君と同じように元気な赤ちゃんが生まれるように、ミヅキさんと夫のソウマさんが飲んで行かれたノンアルコールカクテルのピーチメルバをお出ししますね。」とみつは準備を始めた。
「う~ん、そうだなぁ、胎教にはクラシックがいいって聞いたことがあるから、音ちゃん、何か弾いてください!!」とシンペイ。
「あいよ~、シューベルトとかどうかな?」
優雅な音楽で包まれたBAR M&N、ピーチメルバもとろけるように美味しかったそうな。
数日後…、ユウナが散歩がてら夕飯の買い物をしようと横断歩道を歩いていると、公園からサッカーボールが転がってきた。
あとを追って男の子が車道に飛び出してきた!!
「危ない!!」叫ぶユウナ!!
キキーッ!!ブレーキをかける車の大きな音!!
「うわぁーん!!」泣き叫ぶ男の子!!
奇跡的に男の子は、ユウナにかばわれ、軽く擦りむいた程度だった。
しかし…転倒したユウナの身体からはみるみるうちに鮮血が溢れ出て…。
「お~い!!しっかりしろお嬢さん!!今救急車を呼ぶからな!!しっかりするんだぞ!!」
車のドライバーは、手にしていたスマホで救急車を呼んだ。
しかし、病院に運ばれたユウナに大きなけがはなく…。
「誠に残念なことですが、赤ちゃんは流れてしまいました…。」
「ううっ…あぁっ…私の大事な赤ちゃん…!!」激しい嗚咽のユウナ。
数時間して、連絡のついたシンペイがユウナに言った言葉は、
「ユウナちゃん…気を付けてって言ってたでしょ…。でも、ユウナちゃんが無事でよかったよ…。」
精一杯のシンペイの声がけだったが、今のユウナには絶望しかなく、何の慰めにもならなかった。
その後、数日、数か月しても、ユウナは赤ちゃんを守れなかった後悔でいっぱいでそんな自分も嫌になり、自分を責めていた。
そしてシンペイとも、心の距離を感じたり、前よりもふれあいの時間が減ったので、シンペイから嫌われたと思い、別れを告げようとしていた。
シンペイは、シンペイで、どうやったらユウナを助けられるのか一生懸命考えていた。
初夏のある日、ユウナはシンペイに、「気晴らしにBAR M&Nに行かない?」と誘ってみたら、シンペイは「もちろん!!」の一言で了解した。
チリンチリン♪
「いらっしゃいませ~何にいたしましょうか?」明るい笑顔で出迎えるみつ。
「あにゃっ!!ユウナにゃん、体調は大丈夫にゃんか?BARだけじゃなく、ひだまり商店街のみんにゃも心配してたにゃんよ!!」と心配そうな表情でねね。
「皆さんご心配をおかけしてすみませんでした。私は、この通り、元気ですよ。」と。でも、どことなく元気ではないような笑顔でユウナ。そして、ユウナはシンペイに、
「今日は、シンペイ君、あなたに重要な話があって…。実は…」
ユウナが話を続けようとしていたその時、シンペイも真剣な顔をしてそれをさえぎるように、
「僕もユウナちゃんに話があるんだ!!僕は今までユウナちゃんから守ってもらってきたから安心して生きてこれたんだ、僕は、ユウナちゃんに感謝しているし大好きだし、大事なんだ!!だから、今度は僕がユウナちゃんを守る番だよ!!」
シンペイがそう言い切ると共に、とめどなく涙を流すユウナ。
「シンペイ君…ありがとう!!私もあなたと二人三脚で歩いていきたい…!!」
ユウナがシンペイに抱きつくと、もっと真剣な顔になったシンペイは、ユウナの手を取って、
「そしてこれ…。」シンペイはユウナにエンゲージリングを付けた。
「ありがとう…!嬉しい!!」更に歓喜の涙を流すユウナだった。
そんな感動的なシーンを目の当たりにしてジーンときたみつが、
「それでは、守りたいと意味のあるブルドッグと、いつもあなたとという意味のあるマミーテイラー、別名スコッチ・バックをお作りしましょう。
材料…ウォッカ45㎖
グレープフルーツジュース適宜

作り方…氷を入れたグラスにウオッカを入れ、グレープフルーツジュースで満たして軽く
ステアする。
ブルドッグ13度中口の出来上がり。
続いて…
材料…スコッチ・ウイスキー…45㎖
レモンジュース…20㎖
ジンジャーエール…適量
スライスライム
作り方…氷を入れたグラスにウイスキーとレモンジュースを注ぎ、冷えたジンジャーエー
ルで満たして軽くステアする。
好みでスライスライムやスライスレモンを飾る。
マミーテイラー13度中口の出来上がり。
「お二人ともどうぞ。」
ブルドッグも、マミーテイラー(スコッチ・バック)も、爽やかな酸味でスッキリする。
ユウナちゃん、シンペイ君、これからも苦難はあるかもしれませんが、信頼関係があれば、乗り越えらえれますね!!

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