【詩】守られたもの

嵐の中
その小さな命だけは守ろうと必死だった
テントの中、この場所が守られるようにとひたすらに祈る
風は強い
雨が打つ
腕の中の子が怯えて泣くのを必死になだめる

嵐は去る
守られたことに安堵して
子を安心させようと外に出る

テントの外には力尽きた人たちが
テントを庇うように倒れていた
僕は知る
僕は守っていた気でいて
本当は僕自身も守られていた事に

なにが彼らをそうさせたのだろう
僕は自分の大切なものを守る
そのことしか頭になかったというのに

彼らの大事なものはなんだったのか
それを知るすべはもうない

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?