【超短編小説】星空の下で

 もう寒くない日も増えてきた。スマホ一つ持って、サンダルで外をぶらりぶらりと散歩する。
 満天の星空を眺めながら僕は旅立っていった彼女を想う。
 いたずらっぽくて、つかまえていないと、すぐどこかへ行ってしまうような。
 そんな女の子。
 君もこの星空の下のどこかにいるんだろう。
 そう考えると、無性にさみしくなって、ブログに想いを書き込んでみる。

『あなたがいなくなって、何も楽しくなく、日々をたんたんと暮らしています。あなたはなぜいなくなってしまったのでしょう?
 いえ。あなたはもとからそんな人でしたね。あなたの心をとらえようと必死にがんばったつもりでしたが、とうとうそれは叶わず、あなたはふいに姿を消してしまいました。
 いまはあなたがこの星空の下のどこかで、息をして、何かを思いながら暮らしている。その何かの中に少しでも僕のことがあればいいなと思いながら星を眺めています。
 あなたも星を眺めているのかなあ?』

 送信。

 スマホを仕舞って家にとって返す。
 自室の机にスマホを置いた時、スマホが振動する。見ると通知を知らせている。
 僕はアプリを開いてブログを見る。
 コメント欄に書き込みがある。

『残念でした。いまこちらはまっ昼間。星は見えないよー』
 ただそれだけ。
 君ってやつは・・・

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