【超短編小説】小説指南の達人

 小説指南の達人と呼ばれる先生。先生の指南を受けに次々と生徒がやって来る。

「先生! ベストセラー作家になるコツを教えて下さい」
「それはな、読んで読んで読みまくることだ。かたときも本から目を離さない気合いでな!そして書いて書いて書きまくる事だ。常に何かを書いているくらいの気概でな」
「わかりました!」
 1年後。
「先生! おかげでベストセラー作家の仲間入りです。ありがとうございます」

 また次の生徒も、
「先生! ベストセラー作家になるコツを教えて下さい」
「それはな、読んで読んで読みまくることだ。かたときも本から目を離さない気合いでな!そして書いて書いて書きまくる事だ。常に何かを書いているくらいの気概でな」
「わかりました!」
 1年後。
「先生! おかげでベストセラー作家の仲間入りです。ありがとうございます」

 また次の生徒。

「先生! ベストセラー作家になるコツを教えて下さい」
「それはな、読んで読んで読みまくることだ。かたときも本から目を離さない気合いでな・・・」

 1年後
「先生! 僕はいったい、いつベストセラー作家になれるのでしょうか?」
 その生徒はその言葉をその瞬間も本から目を離さずに言った。
 先生は、
「しまった! 書いて書いて書きまくるの部分を省略してしまっていた!」
 焦った口調でぼそり呟いた。

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