何の知識もないけど俺はボカロMVになりたい
初めまして、ジェネ半です。
最近自分は、休みでも外出もせずボカロ曲をYouTubeで漁っては聞く暮らしをしています。皆さんは最近、ボカロ曲を聞いていますか？
にしても、最近のボカロのMVってどうしてこんなに素敵なんですかね。
真ん中にいるかわいい女の子のイラストの周りを、歌詞が飛び回り出たり入ったりする。文字にするとバカっぽいのに、現物はあんなにカッコイイんだから不思議です。最近のMVに多い気がするけど、発端はどの辺なんでしょうか……
あ～～～～～～。
俺もああいうのを作りたい。
俺も滅茶苦茶カワイイ女の子の絵を描き、それの周りに効果的に明朝体を配置して「この動画凄すぎ笑」って言われたいし、それで承認欲求を満たしたい。
でも俺にはできない。なぜなら描ける"カワイイ女の子“の限界が今お面にしているこれ（↓）だし、演出が思いつかないし、何より俺は動画編集を一切やったことがないから。
特に後者が致命的です。3日で作れるようになるならこの世界にはあのクオリティの動画が散乱してるだろうし、どう考えても難易度激高。
そりゃまあ真面目にコツコツ勉強すれば出来るんでしょうが、びっくりするくらい怠惰（例：受験期、スマホをやめるために入れた制限アプリをアンインストールしたことがある）な俺には無理な話です。
無理だろうなと思いつつ、どうしても諦めきれない。そんなある日、ふと昔の友人との会話が脳裏によみがえりました。
………………
……
俺「クラスの出し物の映画の編集、お前だけでやってんの！？ 大変じゃないそれ？」
友人「やー、たいしたことないよ。もっと手のかかったことをするならともかく、グリーンバックに合成するだけでしょ？ 意外と何とかなるから」
俺「すげえなあお前」
友人「何ならお前もやらな……おい！ 逃げるな！！ 手伝え！！」
……
………………
これだ。これしかない。
「背景を消して合成する編集ならお前にも出来る」という、当時は信じられなかった友人の言葉。これが真であるならば、俺は合成だけ使った動画なら作れるということになります。
じゃあ試すしかないだろ。今俺が動画を作らなければ、俺の「最近のボカロMVみたいな動画を作りたい」欲は永久に燻り続けることでしょう。
ということで、ボカロMVみたいな動画を俺の手で再現します。
何？「いつの間にか再現に後退していないか」？
いいんだよ、それで。俺はいいねが欲しいだけなんだから。一次創作より二次創作のほうが伸びるのは世界の摂理なんだよ。
想定している手順は
①文字を工作で作る
②手で動かして撮影する
③編集して一つの動画にする
④最高になる
こうです。①文字を工作で作る ②手で動かして撮影する ことによって一番めんどくさい「文字を動かす編集を学ぶ」工程を完全にスキップ。あとはちょっと頑張って ③編集して一つの動画にする を楽な合成の編集で突破しちゃえば俺の作りたかったカッコいい動画が完成するはずです。
さっそく百均に駆け込み、材料となりそうなものを買いそろえて準備も万端。
ちなみに、今回再現するのはすりぃさんの「バニー」です。
選曲の理由は、「文字が出るときのアニメーションが少ないので、紙芝居的に作りやすそう」「でもその文字たちがあちこちから飛び出すので、楽な割には動画映えする」「動きが完全にないわけではないので、適度に試行錯誤できる」「原曲がびっくりするくらい良い」などです。
特に最後。マジだからな。俺に興味なくても、ここまで読んだらこれだけは聞いて帰れよ。
……前置きが長くなりました。では ①文字を工作で作る の工程からやっていきましょう。
画用紙に本家の動画を見ながら下書きをし、
カッターで切り抜き、
クリアファイルに貼り付けて一つ目の素材の完成です。こうすれば台紙が透明なので後ろの物が見え、文字が空中に浮いているようになります。
作らなければならない素材はたくさんありますが、ちまちまとYouTubeとか見ながら進められる範囲の作業でしょう。ドンドン作るぞ～。
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■
めちゃくちゃ時間かかっちゃった。21日って何？？？？
要因としては
・大学の対面授業が思ったより多かった
・全身を掻き潰し皮膚科に行かざるを得なかった
・YouTubeをつけるとがっつり見てしまったので、無音で作業せざるを得なかった
・マスターデュエルをプラチナランクになるまでやった
などが挙げられますが、とりあえず素材を完成させることが出来ました。
上から順に流れてくる文字は、こんな風に
裏に紐を貼って落とすことで再現。
横から駆け込むみたいに入ってくるフレーズたちは、割りばしと紐でそれっぽくしました。
作業を始めてすぐは「細かい字でも字を一つ一つレタリングして……正確に切って貼って……ちょっとでもミスったらやり直さないと……」と考え気を病んでいたのですが、
本家がAメロのド頭の歌詞を書き間違えてる（本当は「どうにもこうにも」だが、真ん中の「にも」が一個多い）のに気づき、なおかつそれの指摘がマジで全然ないのを見て病むのをやめました。今回作ったこの部分は白ペンで一発書きです。
だって96万回再生(2022年5月3日時点)されてるのに誰も気づかないんだぜ！？ 俺が今から作る動画なんていいとこ100再生くらいだろうし、そんなんなおさら気づかれないだろうが！！ 完璧じゃなくてもいいんだ！！ ありがとう一個多い「にも」！！
Q.だからといって、フリーハンドで長方形の紙を切ったり勘でレタリングするのは良くないんじゃ？ 「完璧にこだわらない」と「手抜き」は別でしょ？
A.それは本当にその通りで、俺が怠惰なせいです。非を認めるので、これ以上責めないでください。
あとバニーのMVにはこういう
飛び出してくるみたいな変わった形の字があって、ただ聞いてるときは「この字、決めのところで『おっ』て言わせるために書いたのかなあ」と思ってたんですが、
調べたらありました。なんならこのスクショを撮った数日後にGoogleとオモコロの動画で使われてるのを見ました。世界って何でもあるんですね。
このフォントなのですが、使える漢字がそんなに多くはありません。そのためMVでは、
別のフォントの漢字を混ぜて歌詞を表示しています。そしてこっちも、結構がっつり違うのにこのことを指摘しているコメントは見つからず、俺もこの記事を書くまで気づきませんでした。
わざわざ指摘するようなことではない？ まあ確かにそうだけど、君も気付かなかったでしょ？ 気づいてたらゴメン。
推論ですが、これが静止画だったらもっと気になる人が増えたと思います。一文の表示時間が短いMVという媒体だからこそ、フォントが混ざってる違和感を踏み倒して、パンチのあるフォントならではのカッコよさをぶつけられるのかなと思いました。動画って奥が深いなあ。
そんな気づきもありつつ、お次の ②手で動かして撮影する パートへ。
こういう感じの撮影スペースを雑に組み、
ちょっとの衝撃でくるくる回っちゃうから。
動画を流しながらピッタリのタイミングで出していきます。
これは3日くらいで終わったんですけど、結構「どれをどの動画で出すか」「どう素材を置いておけばちょうどのタイミングで出せるか」の試行錯誤が必要で大変でした。ずーっとややギレしてた。
また、サムネでもわかるようにバニーのMVには可愛い女の子がいます。俺は絵は多少マシですが、「ここまで来たらイラストで行くの逆になじまないな」と思いました。
ので、有り物を使って俺がなりました。
意外と可愛いじゃん。
そんでもって著作権が怖かったので、歌も歌いました。これで素材の準備は完了です。
※そのためこの後出てくる完成品には素人の歌ってみた要素が含まれます。聞くに堪えないと思ったら無音で眺めてください。
それではいよいよ ③編集して一つの動画にする の工程に移りま
本当にやりたくない。助けてくれ。
あ～～～～～～こんなことなら最初から友人呼んで完全な動画撮っとくんだった……もしくは自分は真ん中に立ってるだけで作った文字を動かせる完璧なピタゴラ装置を組んでおくんだった……どっちも机上の空論感すごいけど……
ちなみに今回使うソフトは「DaVinci Resolve」です。理由は「無料でかなり自由度のある編集ができる」とGoogleに言われたからです。それでは対戦よろしくお願いします。
まず曲を自分のPVに使う部分だけ残し、他をカットします。
俺が撮影をサボったために生まれた工程なので後悔はありますがAfter the Festival（後の祭り）。大人しくやっていきます。
えーっと……このサイトによると、「音源をメディアプールに落としドラックアンドドロップで曲の始点を調整、エディット画面に飛んでイン点とアウト点を指定してデリート」……？
……？
～2時間後～
なんとか音源の編集に成功しました。ひょっとして……俺……天才！？！？ このままどんどん行きましょう。
あと、右も左も分からないからと言って適当に解説動画を開くのは良くないです。俺はこれで、他人がFPS実況に字幕を付ける様子を22分延々見させられました。
反省を踏まえて、切り抜き（クロマキー合成というらしい）はそれだけを解説してるページを何個か準備しました。やるぞ。
～さらに30分後～
トラブル発生です。
音の準備が終わった後は、動画の背景を切り抜いて重ねて終わり。最初に友人が言ってたのは真実でクロマキー合成に1個も難しいところはありませんでした。そのため後はもう余裕……の予定だったのですが、
背景の布の管理がずさん過ぎたせいでしわくちゃになっており、そのせいで影が滅茶苦茶残ってしまいました。
え、さっきの作業風景でそんな気はしてた？ 早く言ってよ。
これどうすんだ……？ このままだとカスみたいなクオリティにしかならないし、諦めてマスターデュエルするか……？
……いや。とりあえずさっきのクロマキー合成のページから対処法を探します。こんな簡単に20日ちょいを無に帰すのはもったいない。
あ！！対処法ある！！
この……なんかヤバそうだから触ってなかったFusionページを開き！
「Delta Keyer」なるものを召喚！
そして一旦色を抜き……
「Threshold」とかいう変な名前のメーターを上げ下げすれば……！
𝑩𝒆𝒂𝒖𝒕𝒊𝒇𝒖𝒍
成功です。影の残る部分はあるものの、切り抜きの精度を上げることができました。この調子で全部の動画を加工してやれば、クオリティは多少マシになるはずです。
……正直この時点で「いやどう見繕っても俺の求めてたクオリティにならんな。バズもノーチャンだろこれ」という感覚が俺を支配しています。
でもそれを理由に諦めたら生涯この失敗体験が尾を引くのは分かってんだよなぁ！？ 人生にくいは残さない！！ そうだろエース！！
こうなりゃヤケです。限られた空き時間を費やし、完成のために更なる努力を捧げていきます。絶対完成させてやるからな。
何！？ 緑のパーツを残すように切り抜くとピンクのパーツが消え、ピンクのパーツを残すように切り抜くと緑のパーツが消える！？ 共存不可！？
じゃあ緑部分のみを切り抜き、元の部分に別の動画として挿入！ 緑が残るがピンクが消える編集をここでのみ使えば……
完璧！ 動画の上ではどちらも見えるようになってる！！
ウワーッ！！ 3つの動画を重ねていったら急激にパソコンが熱くなり、編集ソフトがまともに動かなくなっちまった！！ まだ何層か重ねるのに！！
……つまり「動画を重ねたせいで重くなった」ってコト！？ それなら！！
重くなる直前、2つの動画を重ねた段階のものをいっぺん動画として出力！！ こいつを素体にして動画や音を重ねて行けばまだ舞えるはずだぜ……！！
出力中にパソコンが目玉焼き作れそうなくらい熱い？！ じゃあデッカい扇風機で冷ましながら動かしてやる！ 耐えてくれよ、俺のパソコン……！！
う゛ぇろろろろごうろろろあ゛あ゛ッッ！！
イケるッ！！俺ならイケるぞッ！！
なんとかなれ――――――――ッ！！！！！！
完成しました。俺の「バニー」が。
とりあえずご覧ください。どうぞ。
作ってみた感想ですが、「ただただ切り抜きの影がうざったい」です。シンプルに見栄えに影響しすぎている。音量もクソバカに小さいし……何？なんだこれ？
あと今記事を書いている時点での再生数が1なのも心に来ています。「ちょっと変わったアイデアの動画でばかうけ」が幻想だったことがよくわかりました。
とはいえ、この二つに目をつぶればなかなか自分の作りたかったものが出来ているので、完全に自己満足ですが満ち足りた気分でいます。
文字が横からぴょこぴょこ飛び出てくるのが、一定の可愛さにつながっていてよかった。編集中はずっと「これ大丈夫！？ただマイナス要素だったりしない！？」と不安だった部分なので。
ということで、いかがだったでしょうか。自分はもうボカロMV作りたい欲は発散しきったので、二度とこんなことはしません。
こんなカスみたいな挑戦の記事に長い間お付き合いいただき、本当にありがとうございま――
何？
なんでそんなキザな書き方を？
嘘だろ……そんなこと、そんなこと……
認められるわけねえだろ！！！！
こうなったら試してやる！！！！ 手作業版と同じ日数はかけてられないから試しに数日トライ！！！！ どのくらいの速度で進められたかで検証してやるぜ！！！！
己の努力と1か月が「その時間で真っ当に学んでれば不要だった」ものだったなんて認めねえ！！！！！！
諦めない！！！！！！！！絶対！！！！！！！
～3日後～
できちゃった。さっき作った長さの分、全部。
アニメはもうちょい詰められるし、フォントは高くて買えなかったから有り物で代用したけど、さっき作ったやつの7分の1の日程で。
タイミングの調整は大変だったり、アニメも凝らないとチープな仕上がりになるとはいえ、素材の用意がいらないのが本当に偉いですね。
あと動画を重ねることがないから全然重くならなくて快適でした。最初からこれでやってたら、本家までは行かずともかなりの物になったんじゃないかなあ。
編集ソフト、すげ～～。
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