「渡辺真知子 / かもめが翔んだ 日」 ~日本のポピュラー音楽史を創った曲 Vol.88~
「渡辺真知子 / かもめが翔んだ日」
作詞;伊藤アキラ
作曲;渡辺真知子
編曲;船山基紀
~日本のポピュラー音楽史を創った曲 Vol.88~
(動画URL:できれば再生しながら、お読み下さい)
https://www.nicovideo.jp/watch/sm12883966
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(2019/04/24 記)
<楽曲の概要>
1978年リリース、渡辺真知子2ndシングル。
'70年代後半~'80年代にかけて、渡辺真知子、八神純子、尾崎亜美、久保田早紀、上田知華、庄野真代、泰葉、飯島真理、EPO、中原めいこ.......など、ユーミン、中島みゆきの次の世代とも言うべき、女性シンガーソングライターが続々登場、TVの歌番組でも、その姿を見かけることも多い時期でした。
また、彼女たち本人の作品はもちろんですが、作家として、当時の歌謡曲・アイドルのシンガーに提供した作品も、日本のポピュラー音楽史を創っていく重要な要素となっていきました。
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曲の内容を見ていきます
{Key = Dm}
・導入部 (1小節+4小節+1小節) "ハーバーライトが~♪"
いきなり、メロディーの最高音「レ」から歌い始める、非常にドラマティックな曲の導入部 (前々回の「沢田研二 / TOKIO」と同じです)。
2ヵ所に出てくる「キュン、キュン~」という "かもめの鳴き声" は、水谷公夫のギターだと言われています。
「その時」~「一羽の」~「かもめが」で、同じ音型を3回繰り返し高い音へ上っていき (ここのバックの、ストリングスのハーモニーも重要!) 、「が 翔んだ~」のロングトーン、そしてその後の、リズムセクションの入りと、(ほとんど、グリッサンドのような) ストリングスの上行音型で、一気に盛り上げます。
ここまで、曲の開始から、約20秒で、すごいドラマが描かれています。
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・イントロ (8小節)
テンポを上げ、導入部の盛り上がりを引き継ぐイントロ。
このイントロ (そして、曲全体を通して) の "疾走感" を感じさせる重要要素が、(羽田健太郎、ハネケンだといわれる) キーボードのフレーズです。「タカタン~、タカタン~」(これじゃ、伝わらないな・笑) という、頭に装飾音を付けたような、前のめりのフレーズは、すごいスピード感です。
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・Aメロ (8小節×2) "人はどうして~♪"
導入部に比べ、低い音域で歌が入ります。
バックでは、ギターのカッティングが印象的。
「涙も~」「消えると~」というメロディー・ライン&そのバックのリズムのキメは、サビで、そのまま使われる重要なフレーズなので、覚えておいて下さい。
後半、歌の合いの手で入る、キーボードの細かいフレーズが、ここでもやはり大事です。
この曲の編曲者である船山基紀は、'70年代の自分の作品について{「ニッポンの編曲家 / DU BOOKS. 2016年」} のインタビューで、こう語っています。
「それはもうね、僕のサウンドっていうより、ハネケンがどう弾いてくれるか、イントロ作るにしても、ハネケンいるからこれくらいは大丈夫だろうとか、そういう感じでした。~ハネケンが僕のサウンドを作ってくれたみたいなところはありますね。」
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・Bメロ (8小節×2) "あなたを今でも~♪"
ベースが、「ターンタ・ターンタ・~」という付点のリズムになり、よりリズムが動いていきます。
メロディー・ラインでいうと、「高い音から下りてくる×3回+低い音から高い音へ上がる×1回」このパターンを2回繰り返しています。
渡辺本人のコーラス (ハモり)が入るのも特徴。
後半、「ああ~」で下のレから、オクターブ跳躍して上のレに上がる (気分が盛り上がる)。音の高さで言うと、歌い出し&ここが、曲の山場になります。そして、その山場の盛り上がり感を、ストリングスのキメで、次のサビへと、より膨らませています。
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・サビ (8小節 ) "かもめが翔んだ~♪"
ここでも「タカタカタカタカ~」という、まるでシーケンサー (コンピューター) のような、ピアノの16分音符の連続の、疾走感がすごいです。
サビ入りで「かもめが翔んだ~」「かもめが翔んだ~」と2回繰り返されますが、1回目のフレーズを、そのまま2度下 (ひとつ下の音) にずらしたものが2回目のフレーズ。
ここは、ハーモニー的にも、1回目はメジャーの明るいコード、2回目はマイナーの暗いコードで、対照的になっています(1回目のコードは、ただ明るいというだけじゃなくて、この曲 key=Dm のトニックが、Dのメジャーコードになっているという事なのですが、ややこしいのでこのあたりで)。
ここの後「あなたは~」「一人で~」の部分は、Aメロのところで書いたように、「涙も~」「消えると~」というメロディー・ライン&そのバックのリズムのキメを同じにして、曲の統一感を感じさせます。
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<参加ミュージシャン>
・Keyboards:羽田健太郎
・Guitar:水谷公男
・Bass:武部秀明
・Drums:森谷順
・Percussion:斎藤ノブ
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文中・敬称略。
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