「ブラック・ビスケッツ / タイミング」 ~日本のポピュラー音楽史を創った曲 Vol.90~
「ブラック・ビスケッツ / タイミング」
作詞:森浩美 & ブラック・ビスケッツ
作曲:中西圭三 & 小西貴雄
編曲:小西貴雄
~日本のポピュラー音楽史を創った曲 Vol.90~
(動画URL:できれば再生しながら、お読み下さい)
https://www.youtube.com/watch?v=yyvgqMym7JE
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1998年リリース、2ndシングル。
日本のポピュラー音楽史において、ノベルティー・ソング (コミック・ソング) の歴史というというのは非常に重要なもので、大瀧詠一の初期作品、YMOのメンバーや周辺人脈の作品 (スネークマンショー、S.E.T.、GEISHA GIRLS....etc)、「吉幾三 / 俺ら東京さ行ぐだ」、テクノ・ポップ系、Hip-Hop & Rap系や、サザン、米米、つんく♂ など、音楽的にも充実した、いくつもの流れがあります。
この「タイミング」は、バラエティー関係とはいえ、コミカルさはほとんどなく、すごく深い音楽になってます。
なお、ビビアン・スーは、2001年に、佐久間正英のスーパー・バンド「The d.e.p」に参加(メンバーは、佐久間正英、屋敷豪太、土屋昌巳、ミック・カーン、ビビアン・スー)。こちらも注目です。
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・イントロ (2小節+8小節) {Key = Cm}
楽曲全体を通してですが、非常に洗練されたハーモニーや音色。バックトラック (カラオケ) だけ聴くと、まさにソウル・R&Bの名曲かな?という感じです。そこに、この3人のヴォーカルが乗るのが、またよいのです。
(コードが進行しても) ギター単音カッティングが、「シ♭ード」という、中心フレーズを鳴らし続けるところが、緊張感を持たせます。
イントロ終わりの2拍3連のキメですが、ベースがほぼ半音下行し、その上のコードは、ほぼ半音上行するという、2つの流れのハイブリッドなハーモニー。リズムとハーモニーの両面で大きなインパクトを与えます。
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・Aメロ (8小節) "急に冷たくなって~♪"
メロディーの音型でいうと "急に冷たくなって~♪" のところのように「タータッ・ (ウン)・タタタタ」というかたちを繰り返してます。この楽曲全体にいえますが、メロディーがどんどん展開していくのではなく、重要な音型を繰り返すことで曲が成り立っています。
"(急に冷たく) なって~♪" の「なって」のところで、ベースの「シ♭」に対し、メロディーが11thの「ミ♭」になっているところが、強烈なインパクトを与えます。
伴奏でいうと、ピアノのリズミックなコードワーク、そして2拍裏から入るHip-Hop的な、ノイズのサンプル音が耳を惹きます。
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・Bメロ (8小節) "それがなぜか~♪" {Key = E♭}
転調の激しいこの曲。今までの {Key = Cm} から平行調の {Key = E♭} へ転調。
メロディーの動きも、今までなかった、裏拍からの入り・シンコペーションが見られ、またベースの動きも大きくなり、曲に前進感が出てきます。
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・サビ (8小節 ) "ズレた間の悪さも~♪" {Key = G♭}
さらに{Key = G♭}へ転調。Bメロの {Key = E♭} から見ると、同主調の平行調。Bメロ最後のメロディー音「ソ」から、サビ最初の音「ソ♭」へ半音下行するところも含め、一気に世界が変わります。
歌詞の「タイミング~」のところは、4分音符中心の大きなリズムの中に、メロディー最高音の「ド♭ (=シ)」が入ることもあり、ここがメロディーの山場と言えます。
伴奏でいうと、ここから入ってくる、シンセ・ストリングスが印象的です。
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・Aメロ 2番 (8小節 ) "妙にセコセコ生きて~♪"
2番に入ったここから、「天野→南原→ビビアン→南原→天野→ビビアン」と2回ソロパートを回すのですが。この3人の歌声・歌い方・存在感...などの対比がすごい!
例えて言うなら「ラヴェル / ボレロ」で、次々と新しい楽器が登場してくるのと同じような感動を味わいます。
個人的には、この曲はまず、ここを聴くべし!という感じです。
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<参加ミュージシャン>
・BLACK BISCUITS
Vivian Hsu、南々見狂也、天山
・小西貴雄 (Computer Programming)
・飯田高広 (Manipulator)
・古川 望 (E.Guitar)
・山本拓夫 (T.Sax)
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文中・敬称略。
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