7.M&A成立までの期間
M&Aのプロセスは非常に複雑であり、取引の規模、業界、地域、関与する企業の数や種類により期間は大きく異なります。一般的には、M&Aの成立には数か月から数年かかることがあります。
以下に、M&Aプロセスの各ステップとそれぞれにかかるおおよその期間について詳述します。
1. 戦略立案と準備(1〜3ヶ月)
目的の明確化
M&Aの目的や目標を明確にする。
経営陣と協力し、M&Aの戦略を策定。
内部評価
自社の財務状況やリソースを評価し、M&Aの実行可能性を判断。
市場調査
業界の動向、競合状況を分析し、M&Aターゲットの条件を設定。
2. 対象企業の選定(2〜4ヶ月)
初期スクリーニング
潜在的なターゲット企業をリストアップし、基本情報を収集。
初期評価を行い、候補企業を絞り込む。
初期接触
ターゲット企業に対するアプローチを開始。
秘密保持契約(NDA)を締結し、詳細情報の提供を依頼。
3. デューデリジェンス(2〜4ヶ月)
財務デューデリジェンス
財務諸表の詳細な分析、収益の質、負債状況の評価。
法務デューデリジェンス
契約書、訴訟リスク、知的財産権の確認。
業務デューデリジェンス
事業運営状況、市場ポジション、競争力の評価。
環境デューデリジェンス
環境リスク、規制遵守状況の確認。
デューデリジェンスは非常に詳細かつ重要なプロセスであり、対象企業の規模や複雑さにより時間がかかることがあります。
4. 取引条件の交渉(1〜3ヶ月)
最終交渉
デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な取引条件を交渉。
価格、支払い条件、従業員の処遇などを確定。
最終合意書(Definitive Agreement)
合意に達した条件を反映した正式な契約書を作成し、双方が署名。
5. 取引の実行(1〜2ヶ月)
承認手続き
取引に必要な社内外の承認を得る。
取締役会、株主総会の承認、場合によっては規制当局の承認が必要。
資金調達
取引のための資金を調達。自社資金、融資、株式発行などが方法としてあります。
クロージング
最終的な取引を実行し、資金や株式の移転を行う。
6. 統合プロセス(PMI:Post-Merger Integration)(6〜24ヶ月)
統合計画の策定
買収後の統合計画を詳細に策定。
組織構造、企業文化、システムの統合などが含まれる。
統合の実行
計画に基づき、実際の統合プロセスを進める。
コミュニケーションを重視し、従業員の不安を解消。
進捗のモニタリング
統合の進捗を定期的に評価し、必要に応じて計画を修正。
KPI(主要業績評価指標)を設定し、目標達成状況を管理。
7. 統合後の評価とフィードバック(6〜12ヶ月)
統合効果の評価
M&Aがもたらしたシナジー効果や財務的成果を評価。
予測通りの成果が出ているかを確認。
フィードバックの取得
プロセス全体の振り返りを行い、成功点や改善点を明確に。
将来のM&Aに向けた教訓として活用。
結論
M&Aの成立には多くのステップがあり、各ステップにはそれぞれ異なる期間がかかります。全体として、M&Aのプロセスは通常1年から2年程度かかることが一般的です。ただし、企業の規模や取引の複雑さ、関与する規制の厳しさなどにより、この期間は短縮されたり延長されたりすることがあります。計画的かつ効率的にプロセスを進めるためには、経験豊富なM&Aコンサルタントの支援が不可欠です。
M&Aの事を学んできましたが・・・
知れば知る程、やっぱり専門家の活用は必須ですね!!
その専門家、M&Aコンサルタントとの役割を次回学んでいきましょう!
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