見出し画像

「IKUSA」は強いプロを選ぶための正しい手段なのか?

 今更になってしまいましたがこの件について。
 オーディションイベント「IKUSA」についてだけでなく、風林火山のチームとしての在り方まで広げて書こうとしたらなかなかうまくまとまらなくて、その間に新しい情報が出るし、試合はあるしで、下書きのまましばらく眠っていました。

「IKUSA」の概要はこちらから。

 そしてこの「IKUSA」について、下記のトネガワさんのnoteが概要と利点、問題点を綺麗にまとめてくださっていました。Twitter上でみかけた意見を見事に踏襲していくれていますし、多くの方が納得できる内容なのではないかと思います。


 私がわざわざ同じ説明をする必要はないので、トネガワさんのnoteの考え方を前提にし、その後に発表された藤沢監督のインタビュー、そして風林火山の最近の試合を題材としながら、考えを示します。



藤沢監督のインタビュー

 YOUTUBE配信ニュージェネレーションさんで対談の前半が配信されています。

 また、キンマWebさんからも活字でのインタビュー記事も掲載されていました。


 どちらの媒体でも藤沢監督が言っていることは一貫していて、要約するとオーディションで勝ち上がった「持ってる人」にあの場で打ってもらいたいとのこと。また、「持っている人でないとMリーグでは活躍できない」「それを見極めるのがオーディションだ」とも仰っていました。

 これらを見ての私の感想。

 正直、
 終わってんな。と思いました。


 
 「持っている人でないとMリーグでは活躍できない」「それを見極めるのがオーディションだ」これらだけでも私は繋がりが分からなくて、理解ができませんでした。根底から考え方が違うので藤沢監督の考えは一生理解できないでしょうし共感できないし、チームとして風林火山も応援できないなと。さらにいえば応援しているファンもかわいそうだし、箱推しとしては風林火山が興行的に貢献できる方向に進みそうにもイメージできないのも残念、そういった気持ちを総合して「終わってんな」と思いました。


「持っている」人って何?

 まずそもそもこれ。監督がこういう「概念」を大事にしているのはよく分かったのですが、私は1回のオーディションで勝ちきれることと、Mリーグのここぞという勝負どころで勝てることとは何の因果関係もないと思っています。
 そしてオーディションで行われる短期決戦イベントの捉え方の時点から、藤沢監督と私では違うようにも思いました。
 私は短期決戦での結果は運の要素が大きく、優勝にはさして意味がないと思っています。2位や3位と優勝者で実力的には変わらないし、ドラフトの選出基準について、順位に関係なく「要所での選択の是非から評価する」仕組みでもいいと思っているくらいです。わかりにくく説明すると、前回オーディションで優勝した松ヶ瀬さんと、松ヶ瀬さんに四暗刻を喰らって蹂躙されたやじーとでは順位を基準にした強さの比較判断をすることはできないというのが私の考え方です。
 一方、藤沢監督の考えでは、優勝と2位以下ではこういう舞台で勝ちきる「持っている」力が違うと判断するのだろうなと見受けられます。監督からすれば明確に松ヶ瀬さんは「持っている人」、やじーは「持っていない人」だということです。

 わざわざオーディションを実施して選手を決めることについて、この概念が無い説明の方が私は理解がしやすくて、例えば「Mリーグなんて短期決戦だから運の要素で結果は振れる。誰を選んでもさほど変わりないから、オーディションをやって勝った人に出てもらうことでエンタメ的に盛り上げてもらおう」こう説明される方が「持っている」とか言われるよりも納得できますね。

なんであの場で打ってもらいたいの?


 私は「オーディションで勝ち上がった、持っている人」よりも「恣意的に選出した麻雀が上手くて人気が出そうな人」にあの場で打って貰った方がいいと考えています。「持っている」がよくわからないし、トーナメントで優勝した人を選ぶというのがランダム抽選的に思えるため、エンタメ適正が極めて低いプロが選ばれる可能性もあるからです。それはMリーグの舞台や視聴者の期待に一致していない可能性もあります。総合的に評価して一本釣りした方が強くてかつ人気が出そうな人を確実に選べると思いませんかね。


「持っている」て何でもありじゃない?

 そもそも「持っている」って明確な定義がないから、何でもありになりませんか?「直感」みたいなものに近くて、明確に説明し切れないものなので、視聴者からするとこれを軸にされても理解できないし、それゆえに納得も共感しづらいものだと考えられます。それゆえにチーム人気に繋がっていないのではないでしょうか?

 この考えが「見え方」として一番良くない方向に出てしまったなあと思い浮かんだのが、瑠美さんを指名したことです。監督としては連盟の中でのタイトルを保有している瑠美さんを「持っている」人だと考えているので、基準は一貫していますが、視聴者からするとそれがとてもわかりにくいです。
 せっかくオーディションをしたのにそれと関係ない角度から突然選出されては意味が分からないなと思う方が自然です。普通はオーディション組の上位陣から選ぶと思うので(監督からしたらこれらの選手は「持っていない」から違ったのでしょう)、参加したプロがかわいそうだし、亜樹さんつながりで選んだだけかよーとも捉えられてしまい、そりゃ冷めると思いますよ。そして選出理由が不明確だと選ばれた選手側も批判されます。

 こういう概念を大事にするチームがあってもいいかもしれないですが、それでも需要と発信力ありきかなあと思いますし、私は藤沢監督の考えは時代や視聴者のニーズついていけてないんじゃないの?と思えてならないです。


あらためて問題点を考えてみる

 ほかにもいろいろ気になるところはあるのですが、トネガワさんのnoteと被ってくるので割愛します。監督のインタビューを見て、あらためて感じた問題点は、

 ・発信不足
 ・チームコンセプトが中途半端
 ・選手へのバックアップが弱い

 これらに集約されるのかなと思いました。いや、監督のインタビューと関係ない要素も入っていますし、他にももっとあると思いますが。


発信不足
 そもそも上記のインタビューだって外部が出している配信を見ないと監督の考え方が分からない時点でおかしくて、本来なら自身のHPとか配信で完結すべきではないでしょうか。これまでもあらゆる面から風林火山は発信力が弱いなともう場面がありました。オーディション自体も定義や目的が明確で、それを正しく発信できていたらもっと盛り上がると思うのに、もったいないです。

チームコンセプトが中途半端
 監督の「持っている」軸が視聴者に伝わっていないので、どうみればいいチームなのかが伝わっていません。それが人気につながっていない理由の一つにあるように思いました。亜樹さんが中心のチームなのか、完全実力主義なのか、オーディションが重要で話題性がある人を都度選出するとか、本当はオーディションと紐づけてこういう説明が必要なんじゃないのかと思います。これらがぼやけていることでドラマが弱いです。


選手へのバックアップが弱い

 オーディションで優勝した松ヶ瀬さんを選出するのであれば、スターになるようにともっと責任もってバックアップするべきだと思います。なんか本当に、「勝てばなんでもいい」みたいな扱いに見えます。渋川さんや優さん仲林さんの方が大事にされているように見えませんかね。
 風林火山の4人とも、個々の配信を見ていると人柄も良いし面白いし、とても魅力的なんですけど、チームとしてそれが一切伝わっていません。なんなら、番組の中でちょっとヒール寄りになってしまっているとさえ思います。
 Mリーガーになりたいプロからすれば、オーディション自体は顔を売るためにうってつけなのですが、「風林火山に入りたい」と考えていますかね…?あまり魅力的なチームに映っていないのではないでしょうか。「風林火山でもいいからMリーガーになりたい」の方が多いのでは?それでいいのでしょうか。




選出された選手は活躍しているのか?

ある意味本題です。

 2021年に風林火山に加入した松ヶ瀬さんと瑠美さん。
 松ヶ瀬さんが実力者だということは充分分かっていますが、オーディションで優勝した=持っている人だからMリーグでも勝てる というのは全く関係ありません。幻想です。そんな「持ってるなあ」みたいな展開が毎回毎回あるわけではないでしょう
 瑠美さんに至ってはオーディションで結果を残したわけではなく監督が独断で「持っている」人だと考えて採用した選手です。雀力にも不安が残る点があります。

 ちょうど1/19に行われた風林火山の試合で、この2人が試合をしていました。さて、「持っている」とは果たしてどんな麻雀なんでしょうね。観せてもらいましょうか。



第一試合:松ヶ瀬さん


 南2局
 序盤リードしていた東城さんに渋川さんが親番で6000オールして追い抜いたものの、直後に東城さんがリーチ一発ツモ発ドラ3裏で4000ー8000を和了。

捲られの渋

 この時点で松ヶ瀬さんはとくに見せ場もなく4着。この4000-8000の倍満を観てしまうと、「持っている」のはむしろ東城さんじゃないですかね?


 南3局は松ヶ瀬さんが2000-4000を和了してハギーをかわして3着に。この局は単純に松ヶ瀬さんの進め方が上手かったです。

そして南4局
松ヶ瀬さんは14600点持ちの3着。
2着の渋とは19500点も離れています。

 「持っている」人だったらこういう場面からもハネ満をツモったり渋から親マン直撃して2着に浮上することができるんじゃないでしょうかね?





 ん????

 リーヅモタンピン三色ドラ赤赤の
 8000オール!?
 しかも残り1枚の高め五萬!?


 この和了でなんと東城さんを500点かわして1着に浮上しました。

アドレナリンどばどば出てそう…



ハギー「…」 渋「…」





そして南4局1本場

2着の東城さんから
平和ドラドラ赤12300を直撃。 
一瞬で焼け野原にし、2着と25000点差の単独首位になります。



ハギー「…」渋「…」…持っていない人たちの表情…




 そして南4局2本場では、10月31日の試合で優さんに行ったのと同じくハイテイ牌を操作し、渋川さんの当たり牌を東城さんに送り込み、渋川さんが東城さんから和了。

圧倒的リードしていた東城さんはまさかの3着…



松ヶ瀬さんは51900点持ちの+71.9ptのトップを獲りました。


うん。
持ってるな。



というか

南4局0本場
南4局1本場

はい食べてきとるね!
露骨な赤5pの寄り方!!
もう最近は隠す気すらないやん…




 ちなみにこの時私のタイムラインはサクラナイツ・セガ・雷電ファンの悲鳴だらけになっていました。


 *この局の真面目な観戦記を読みたい方は下記(ゆうせーさん著)を読んでください。




第二試合:瑠美さん

 まず試合開始前からひと悶着ありました。

瑠…ん??これ瑠美さん???

 公式の選手紹介では何やら太い瑠美さんの姿が…。…え…また出るの?いや、これは松ヶ瀬のイリュージョンが完成していることを示唆しているのか?真意のほどは不明です。試合にはいつもの瑠美さんが現れたので心底安心しました

さて試合の方はというと、

東2局

タンヤオ赤赤イーペー

やってんな。
瑠美さんが堀さんから8000直撃。


東3局親番

リーチ一発ツモ三色ドラ

と、とても美しい三色一発ツモ6000オール…
いろいろ綺麗だ。


はい。
持ってるね。



 あとね、このお方も結構やばい

綺麗なメンチン。今期何回目?
オーラスの8000

 惜しくもトップの瑠美さんまでは届かず。普段表情に出さない茅森さんがこれだけ悔しそうな顔をするというのが、チーム状況の厳しさを物語っています。緊張感とドラマを生みだすMリーグ。さすがやで。




にしても、

ツモる瑠美さん
控えめに微笑む瑠美さん
きゅーんの瑠美さん

はあ~美しい…。

めちゃくちゃ映像映えします。
エンタメ適正も高い。
気づけば鬼のような枚数のスクショをし、持っている持ってないの話は忘れて見惚れてしまっていました。



そして風林火山のチーム順位は…

藤沢監督が選出した2名の活躍によって、
トップに躍り出たのでした。




謝罪


 風林火山ファンの皆様、監督。偉そうなことを言って申し訳ありませんでした。「持っている人じゃないとMリーグでは勝てない」その通りでございますし、それができる人材を発掘する方法としてオーディションが妥当であること、異論ございません。




 私もこれ書いた時の気持ちに戻りました。確かに当時、藤沢監督の名采配を讃えていました。いつからこんなエセデジタルになってしまったのだろう…(´;ω;`)ウゥゥ




まとめ

 藤沢監督の考えは正しかった。かは分からないけど、とにかく結果が伴っていることは確かだ。おそらく今回もオーディションで優勝するプロも「持っている」極太のプロに違いありません。普段のMリーグと違う完全個人戦視点で、「持っている」軸にも気にしながら「IKUSA」を見ると、さらに味がして楽しめるかもしれません。(そうやって見た方が面白いだろうし。)

 ところで「持っていない」人が「持っている」人に勝つにはどうしたらいいのか?これは結構重要で、何とかできるものなのであれば、なんとかしたいですよね。
 ただただ麻雀の勉強だけしていても藤沢監督が言うような「持っている」人特有の「何か」は培われないのではないかと思います。それに起因する要因は、よく言われる「食事」なのか?それとも「筋トレ」?「美容」?その答えも「IKUSA」を観ることでわかるかもしれません。(今回も勝ち上がってくることを、期待しているぞ!)


おわり

ここから先は

0字
2023年1月〜3月末までの予定が、なんと5月中旬に書いた記事までまとめて読めるようになっています。

昔の記事あんま読んでほしくないので値段上げました。。2023年1月〜3月末までの予定が、なんと5月中旬に書いた記事までまとめて読めるように…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?