見出し画像

ある漢の生涯

薬に頼る奴は必ず芯の弱い奴に決まっている。

暴力は死ぬ覚悟で使わなくては本当の役には立たぬ。
大親分の尾津が俺たち若者の前で媚びて震えながら酒を注いでくれたことから。

あなた体にだけは気をつけてくださいな
ヤクザと知らず一途に愛し、子供ももうけたが、今後捕まるかして、二度と会えないと知って、言った最後の一言

安藤は人生に保険をかけたことはない。
そう言うやつには、腹が立つ。
次という受け皿を構えて行動したことはありはしない。それが人生の流儀。なんとかなる、当人の気概次第に違いない。

安藤はアリとキリギリスなら、キリギリス。
稼いで使うのではなく、使うために稼ぐ。
金は墓場まで持って行けないが、借金も持ってはいけないから。

いつも惚れた女がいない人生なんて考えられない。
惚れた女の存在だけが男の人生を彩ってくれる。

座右の銘
心善淵
心、淵を善とする

ホテルニュージャパンの経営者、横井英樹。
安藤昇の宿敵。

人生の浮き沈みは人の世の常だが、それは誰のせいでもなく手前自身のせいだ。
自分の進め方の選択は自分で決めるしかなく、たとえ誰か相談して決めたとしても所詮自分の選んだことでしかありはしない。
それをあとになって悔いたり、ぼやいたりするのはみみっちい姿だ。何が起ころうと愚痴ったり嘆いたりせず、男は棺に入るまで毅然として生き抜きたい。

雪後の松
雪後に初めて知る松柏の操、事難くしてまさに見る丈夫の心
男というのは普段の見かけがどうだろうと、いざという時に真価がわかるものだ。
松の木は花も咲かず暑い真夏にはどうと言って見どころのない木だが、雪の積もる真冬には枝を折るほどの雪が積もっても、それに耐え、青い葉を保っている。それが本物の男の姿だ。
この詩が好き、冬を男の晩年に置き換えて何を悔いることもないという心境で死んでやるつもり。

男は粋でなければ駄目。
若い内は仕方ないが、人生の荒波に揉まれた年頃になればひと味違った雰囲気を備えなきゃいい大人、男には見えない。
粋とはなにか。
噛み砕いて言えば痩せ我慢。
不始末をしでかしたときに怒鳴りつけないで、苦笑いで済ます。
上に立つものとして貫禄の表示であり、粋にも見える。男の度量の証。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?