👑くん

今までで一番好きだった彼のお話。

2番目の彼氏。
年上の彼。
今までに好きになったことのないタイプ。
遠距離恋愛の相手。

出会いは、無料のトークアプリ。

長期休みのたびに、
私から会いに行ってた。
飛行機に乗って。

彼は長期休みでもお仕事だったので、
基本彼の家で彼の帰りを待つ。
彼の家のお掃除をして
好きなドラマやアニメを見て
夕方になったら夜ご飯の買い物に出かけ、
夜ご飯をつくる。
彼が帰宅後一緒に食べて、一緒のお布団で寝る。

それでも幸せだった。
彼の彼女でいられることが。

ただ、やっぱり19・20歳の女。
寂しい気持ちが勝ってしまう。

恋愛には安定ではなく刺激を求めてしまう。

彼は忙しい人だったので、
浮気の心配は一ミリもなかった。
というか、安心しきっていた。

彼の電子機器の壁紙は私だったし、
車のナンバーも私の誕生日だった。
ペアリングもつけて、
朝から晩までずっと電話を繋いでいた。

彼との結婚も本気で考えていた。

だからこそ、別れを切り出す事件が起きた。

年末年始。
1週間ほどのお休みで、長い期間一緒にいられる貴重なお休み。

私は、数か月も前から飛行機の手配をして、
彼と過ごせる1週間を心待ちにしていた。

12/31　大晦日。
彼は実家へ顔を出してくるといって仕事終わりに
家を出た。
2～3時間で帰ってくるだろうと思って、
いってらっしゃーい！！と元気に送り出した。
23時。彼はまだ帰ってこない。
23時半。彼の家で一人好きなYouTuberの年越し配信を視聴。
0時。一人で年を越した。
2時。彼帰宅。

あれ？思ってた年越しじゃないぞ？
これだったら地元で年越したのと変わらないぞ？
と、小さな疑問を抱きながらその日は就寝。

1/2　お正月
彼は大阪から友人が帰省しているので、会いに行くという。
もちろん、彼の行動を制限したくなかったので、送り出した。
男友達数人で過ごしている動画が送られてきた。
女の影はもちろんない。
けど、結局彼が帰宅したのは深夜1時だった。

22歳の私は、彼と一緒に過ごせる貴重な時間だったのに
家に寝るためだけに帰ってくることが、
私を優先してくれていないと感じてしまった。

寂しかった。

地元に帰ってきてからも、
マイナスな考えが止まらない。

もし仮に彼と結婚して、私が彼のところへ嫁いだら、
家族も友達もいないなか、あんなに寂しい思いに耐えられるだろうか。
彼が自分の味方をしてくれなくなったら、
私は一人でやっていけるだろうか。

無理だった。

彼との将来を考えられなくなった。

会いに行った2か月後。
私から別れを切り出した。

仕事の忙しさも相まって
自分の時間を大事にしたい。

大好きだけど、
別れよう。

彼も同意した。

18歳から毎日欠かさず連絡を取り続け、
19歳の夏に初めて会って、
20歳になる年の春に付き合った。

約2年の交際期間。

この先、きっと新たな人と出会い、交際し、結婚して
家庭を築いていく。

けれど、彼のことは忘れないと思う。
愛する気持ちを教えてくれた人。

彼と別れてから1年と少し経った今だから思う。
彼の家族や友達を優先する気持ちも
彼の仕事に対する気持ちも
全部理解できる。
彼と離れてやっと分かった。

20歳そこそこの女の子を
家族も友達もいない遠く離れた土地で
自分と過ごさせる。
彼はそんなことをさせたくなかったのかもしれない。

私は今年、知り合った当時の彼の年齢になる。

年齢差は埋まらないけれど、
もし彼と話せる機会があるのであれば、
年齢なんて気にせず、話せるのに。