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クリックケミストリーによる細胞接着法Kitagawa,Okuma,..., Yoshikawa, .., Matsuzaki & Tera, Bioconjugate Chemistry 2023

分子と分子との間に簡単かつ迅速に「強靭な共有結合」を創るため、様々な技術開発が進められてきています。その中でもProf. Bertozzi(2022年ノーベル化学賞)が切り拓いたクリックケミストリー(以下の参考文献を参照)は、生体内の生物反応を妨害することなく、迅速に化学結合を創生する(生体直交性と言います)ことで極めて重要な反応と言えます。しかし、細胞とミクロな蛍光分子との化学結合が研究の中心であり、よりマクロな材料や生体細胞への活用は限られてきました。

そこで本研究では、正電荷を有する歪んだ水溶性アルキン(water soluble cyclooctadiyne, WS-CODY)の接着剤を開発し、アジド基を有する標的物質(蛍光分子、材料、細胞)を細胞と接着させることに成功しました。(本反応は、アジドアルキン付加環化反応, strain-promoted azide-alkyne cycloaddition, SPAACと言います)。

生体内の反応を妨害することなく、ミクロからマクロな生体物質と細胞とを結合する新たな接着剤として、組織工学から再生医療の分野で応用が期待できます。以上により、2023年2月10日(木)に「Bioconjugate chemistry (American Chemical Society)」(オンライン)に成果発表されました (Front Cover art selected)。
Ion-Pair-Enhanced Double-Click Driven Cell Adhesion and Altered Expression of Related Genes. Kohei Kitagawa, Nao Okuma, Moeka Yoshinaga, Hitoshi Takemae, Fumiya Sato, Shoma Sato, Seiichiro Nakabayashi, Hiroshi Y Yoshikawa, Masami Suganuma, Nathan Luedtke, Takahisa Matsuzaki, Masayuki Tera

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