MRSAの卵黄反応について

当院でのMRSA/MSSAの選択培地は日水製薬の「BCP不含MS-CFX/変法卵黄加マンニット食塩EX」を用いている。

本品は、臨床材料などからのMRSAとブドウ球菌を同時に選択分離培養できる分画培地で、1枚の培地で同時培養が可能である。

本品は2分画シャーレにブロムクレゾールパープル(BCP)を抜いたMS-CFX寒天培地変法卵黄加マンニット食塩寒天培地EXをそれぞれ無菌的に分注し、凝固させたものである。
(ブロムクレゾールパープルはph指示薬として用いられ、ph5.2~6.8で黄~紫を示す)

<BCP不含MS-CFX>試験菌株判定基準
Staphylococcus aureus (MRSA)良好な発育(黄色集落で卵黄反応を示す)Staphylococcus aureus (MSSA)発育抑制
Candida albicans発育抑制
Enterococcus faecalis発育抑制
Proteus mirabilis発育抑制
Stenotrophomonas maltophilia発育抑制

<変法卵黄加マンニット食塩EX>試験菌株判定基準
Staphylococcus aureus良好な発育(黄色集落で卵黄反応を示す)
Candida albicans発育抑制
Enterococcus faecalis発育抑制
Proteus mirabilis発育抑制
Stenotrophomonas maltophilia発育抑制

MS-CFX寒天培地

はセフォキシチン(略語:CFX)を選択剤として添加しており、オキサシリン(略語:MPIPC)に低感受性のCA-MRSA(community-acquired MRSA)を検出することができる。

MRSAはマンニットを分解するため黄色の集落を形成する。集落周囲には白濁(卵黄反応)や真珠様光沢(リパーゼ反応)が認められ、どちらかが陽性であればMRSAと推定する。本培地には、メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(MRCNS)、Corynebacterium属、真菌も発育するが、これらはマンニット分解能と卵黄反応が陰性であるため、MRSAとの鑑別は容易である。また、Bacillusが発育し卵黄反応陽性を示す場合があるが、コロニー形態で鑑別できる。

変法卵黄加マンニット食塩寒天培地EX

はブドウ球菌の選択分離用培地である。
ブドウ球菌以外の多くの細菌は食塩によって発育を抑制される。

S. aureusはマンニットを分解し黄色集落を形成する。集落の周りも黄変し卵黄反応による白濁と真珠様光沢を示す。マンニット非分解菌は培地pHが変化しないため、白色あるいは青紫色(pH指示薬のブロムクレゾールの色調)の集落を形成する。
S. aureus以外の菌が発育する場合があるが、マンニット反応、卵黄反応、集落形態にて鑑別可能である。


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