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【セカイと世界】魔法の解き方 23時 リフレイン【過去作】
魔法の解き方 23時 リフレイン
ここは、どこだ?
僕が踊りながら未来への海で歌っている。そこに咲いた花に風をやる。空飛ぶ魚が海を泳ぐ鳥に囁いていた。
何か、何かが違うと言うのに、その何故かがどうしても答えられない。
虹が川に架かっている。夜に太陽が出て、目の前でオーロラが揺れた。
何か、何かが違うと言うのに、その何故かがどうしてもわからない。朧気ながらに思う。こんな事あるわけはあるわけはない。こんな世界があってはならない。このちぐはぐな世界はどこからきたんだ?いや、というよりも私は今、どこにいるんだろうか。
このセカイは誰の創造なのだろうか。
あのね。
小さな子供の落書きが描かれた紙ヒコーキが、昼の月の輪郭をゆるりとなぞり、僕の視界から消えた。
このセカイはとても居心地がいいんだ。
だって、僕の理想がここにあるんだもの。
「当たり前にあった」ものが「当たり前ではない」
僕の創造の範疇で、僕が思うようなセカイに浸っていられるのだから。今まで肩までどっぷりと浸かった世界が愛おしくてたまらない。体の隅々が粟立つ、涙が流れたような気がした。
午前零時の1時間前に、百合の花がふらりと揺れた。風に揺られたのか、雨に揺られたのか、雷に揺られたのか、それとも本当に揺れたのか?身を振るったのだろうか。その答えは百合しか知らないのに。僕は、心の奥底から考えている。
「揺れないでください」「揺れるくらいなら消えてください」「揺れるくらいなら死んでください」「私を惑わせるのをやめてください」
どうやら僕のセカイはとても窮屈らしくて、揺れるセカイを求めてはいないらしい。生きにくくて仕方の無いセカイで百合は、セカイからの批判を恐れ、ただそこで身を固めてしまった。
創造のセカイは自由だけれどそれなりの制約が存在しているらしい。「〜はしないでください」「〜は控えてください」繰り返し飛び込んでくる枯葉に、密かに。
心が揺れた。
セカイと世界の隔たりを超えられる事はないんだと。紙ヒコーキだけが希望を積み込んで夜の太陽の輪郭をなぞっていた。
心地よい文字の羅列。1と0の羅列に、規則正しさと、絶対的に有無を言わさぬ事象に。
疲弊した。
セカイか、世界なのかもう何もわからない。けれど。
セカイは必要無く。
世界は必要とされる。
セカイと、世界の境界線は僕と誰かで創り上げる。
昼なのに見える星座に。
僕自身が線を引いた。
魔法を解くのはあなただ。
魔法の解き方を知るのはあなたしかいない。
このセカイで生きている僕は、あなたしか魔法の解き方を知らないセカイで、世界で生きられることを願っている。
そっと。手を伸ばしてくれる時を、これまでも、今も、これからも、まっている。
満月なのに今日は大潮ではない。
そんなセカイはまっぴらだよ。
おわり。
©︎yasu2024
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