映画「さよならの朝に約束の花をかざろう」を視聴
中世ファンタジーな舞台です。そこにイオルフという長寿の民族が住んでおり、主人公はそこのマキアという女の子です。
とある事件が起こり、イオルフの村が襲われマキアは一人で逃げ伸びます。その途中で寄った近隣の村も襲われていたのですが、ふと赤子の泣き声がします。その声がする家屋に立ち寄ってみると人間の赤子が一人母親に庇われて生き延びていました。母親は既にに事切れていました。そこでマキアはその人間の赤子を連れて行き自ら育てることを決意します。その赤子にエリアルと名前をつけます。
そのエリアルの一生をマキア視点で描いた作品です。長寿の民族と短命の人間との出会いと別れを題材にした作品なのですが、ストーリー構成もエリアルの成長を順を追って描き、その成長過程でのマキアや自分の取り巻く環境への気持ちの変化なども丁寧に描かれており楽しめました。
マキアはイオルフの里で他人を愛してはならないよと教えられるのですが、里を出たことが無いマキアにはその言葉の本当の意味が分かりません。自分の見た目が成長しない事への他人から見られる忌避の視線や、エリアルが成長するにつれて段々と見た目の年齢が近づいてくるための葛藤が魅力的です。物語の最後には寿命の違いによる別れという形になってしまうのですが、その意味を丁寧に描いています。
背景の音楽はそのシーンととてもマッチしており、音楽が鳴っていることを気が付かないほどの自然なチョイスであったと見終わった後に気づきました。
気になる点は感動演出の押し売りかというぐらいの演出面です。脚本がしっかりしていれば登場人物の心理描写はそこまで具体的に長尺を取って描かなくても良いです。そうすると幅広い人の感動を誘え、興行収入的にはよろしいのですが、作品の質を野暮なものに格下げする原因となってしまいます。
最後にレナトという竜のような生き物にのって遠くへ飛び立つシーンがあるのですが、そこから先が蛇足だと感じました。そのあとにわざわざ長尺を取って回想シーンを流し、エリアルと再会してマキアを泣かせるなどの描写を入れてしまうと一気に現実に引き戻されてしまいます。そこは露骨にありのままを描写するのではなく、そのような事をほのめかす脚本にする等やりようは幾らでもあったかと思います。
まとめ
ストーリー展開や心理描写が丁寧に描かれておりお勧めできる作品です。わざわざGEOまでレンタルしに行って良かったと思いました。