主役はとらふく(2024双聖戦夏 本戦一回戦 第二半荘 南2局〜)


双聖戦ルール


ウマ 15
オカ 15(35,000点持ち40,000点返し)
和了止め
西入アリ
本戦は2回戦のトータルスコアを競う


第一半荘の結果

終始冷静な打ち回しで見事なトップ

二半荘の合計を競う双聖戦本戦
第一半荘の結果はこちら

とらふく +42,2
たくみんサンチーム ▲12,1
mjあわい ▲30,1

とらふく見事な打ち回しで第一半荘は貫禄の勝利。第二半荘も東一局からトータルスコアを捲られるたくみんの親連荘を喰らうも、東2局でお返しの連荘。トータルスコアを捲り返す。その後は一進一退の攻防を繰り広げる。そして…。


南2局

ここからとらふくの技術が光る1打が出る

上記の局面並の打ち手なら形を維持しながら、両者に対して中筋の打5sではないだろうか。とらふくは違った。

打南

下家のあわいは1m切りリーチの為、良形率が上がっている。南がアタリ牌になってる可能性はやや低い。これは5sにも同じ事が言える。

一方トータルスコアを争う上家のたくみんはどうだろうか。リーチ後に8sを手出しし、明らかに押してきている。最低でも一向聴はありそうだ。オタ風からとはいえ字牌からの切り出しで字牌待ちになってる可能性は低いようにみえる。万が一南を持っていたとしても今の段階ではロンでは無くポンの可能性もある。そしてもしポンだった場合は手牌が短くなったたくみんはリーチに対して放銃に回る可能性が高くなる。また嵌5sダマテンの可能性も僅かに残っている。

以上の要素からとらふくは打南。結果からいうと南は何でも無い牌で通った。しかし放銃時の打点が上がる為、この南は選べない打ち手もいるのではないか。私は選べなかった。

この南1つ取っても素晴らしい打牌だがここからがとらふくの真骨頂。そう、ここからなのだ。


最終ツモで残念ながら和了は無かった

打南から見事な回し打ちを見せたが残念ながら和了りは無さそうな状況。ここで何を切るか。聴牌維持の打9sはノーチャンスの2枚切れで99%通る牌である。


点数状況の再確認

前提条件としてあわいはリーチで100%聴牌。たくみんもかなり押しているので99%聴牌。聴牌維持の9sは99%通る。

第一半荘の結果を再掲
とらふく +42,2
たくみんサンチーム ▲12,1 (上家)
mjあわい ▲30,1 (下家)

仮にノーテン流局になった際の点棒状況は下記の通り
とらふく 38,100点
たくみんサンチーム 45,400点
mjあわい 20,500点
※供託リーチ棒1,000点

この状況で聴牌を維持して南2局をもう一度やったほうがいいか、伏せてオーラスに行ったほうがいいか、実戦中に正確に判断できる人がどれくらいいるのだろうか?皆さんもどうすればいいか少し考えてみて欲しい。













計算が複雑で嫌になりましたか?

結論から言うと伏せた方が僅かに良い。仮に伏せてこの点数状況のままオーラスに入った場合、最終的な着順はたくみんトップ、とらふく2着。この着順になる可能性が最も高い。問題は素点である。

これがかなり際どく、たくみんの条件はとらふくから満貫直撃or倍満出和了or倍満ツモである。仮に倍満出和了なら供託リーチ棒及び本場を含めて200点捲りになる。

守備に徹したとらふくからの満貫直撃が難しいとなればたくみんは倍満の手組をせねばならず対してとらふくは1,000点でも何でも和了れば良い。

この時点で比較的とらふくにとって分が良い条件だが、あわいが和了って連荘すると条件が大幅に緩和される。本場が増えるものの供託リーチ棒が回収されるのでたくみんの条件はとらふくから跳満直撃or三倍満倍満出和了or三倍満ツモになる。

話を戻すと実戦中の限られた時間の中でこれを判断するのは非常に難しい。連荘を選択する打ち手もいると思う。



とらふくの選択

とらふくは打5sでノーテンを選択。繰り返すが潤沢に時間をかければ決して難しい判断ではない。ただこれを実戦の中で冷静に判断できる打ち手は果たしてどのくらいいる事だろうか。

とらふく狙い通りの点数状況でオーラスへ。



南3局1本場

遥かに遠い6-9p

狙い通りの南3局1本場。上家たくみんが国士模様の切り出しの中、ダマテン6-9pを入れてとらふくの勝ちかとと思いきや親のあわいが追いつきリーチ!その後6-9pを食い流されてあわいの和了に。これでリーチ棒は回収されたがとらふくの中で誤算が発生していた。


南3局2本場

現在の点数状況

先の和了が裏1の跳満だった事でとらふくとあわいの順位が入れ替わってしまった。これがとらふくの誤算。たくみんの条件が大幅に緩和されてしまった。ただ条件自体も難解なものに変容していた。

たくみんの条件は
三倍満以上ツモ
400-700ツモ〜1,600-3,200ツモ
とらふくからの直撃は無条件
あわいから三倍満直撃

とらふくとトップラスの並びが出来たのでとらふくからの直撃は無条件になった。さらに400-700ツモ〜1,600-3,200ツモの間はツモ和了が可能になった。それ以上の点数だと着順が変わってしまうので三倍満以上が必要になる。また300-500ツモは素点が足りない。異常なまでに難解な条件。

そして見逃せないのがあわい。6,000オールを和了った事により絶望的と思われていた通過がやや現実的なものになってきた。流石は前回大会ファイナリスト。皆さんもあわいの通過条件を考えてみて欲しい。



絶望の2pカン

絶対に放銃できないとらふく。混一色濃厚で三副露している親のあわいに対して、たくみんは危険牌のド真ん中ドラ5sをプッシュ。場は既に煮詰まっている。


4pは今通ったばかり

絶対に放銃できないとらふくは前巡に5sを合せ打ちオリた。それにしてもこの牌姿「だけ」みたら4pが通ったばかりで2pが枯れているので打4pでも一旦は良いように見える。しかしとらふくは打9p。徹底的にオリる。


辿り着いた聴牌

ノーテン流局なら1,000点差を争う条件がさらに緩和されてしまう。流石に聴牌は取っても良さそうではないか。4pはあわいの現物でたくみんは4pが通ってからツモ切りを繰り返している。


とらふくは打9p

頑なに切らない4p。待ちは良くないといえ聴牌。まかり間違って7sが世に出ればその瞬間決着である。この4pは一体…。




ツモり四暗刻4-7p待ち

なんとたくみんには4-7p待ちのツモり四暗刻の聴牌が入っていた!!そして悲しい事に唯一届かないあわいからの出和了は見逃さざるを得なかった。当然の見逃しだが見逃しの際に発生したであろうラグをとらふくは見逃さなかった。

補足しておくが見逃した際に必ずラグが発生するネット麻雀において見逃しを察知するのは決して難しい事ではない。あくまでも通常の状態ならば…だ。この舞台で冷静にラグを観察し4pをビタ止めしたとらふくの冷静さには戦慄を覚える。

そしてこれはリアルタイム観戦してないと分からない事だが、恐らくたくみんは見逃しの際に偽ラグに見えるように最速キャンセルではなく僅かに一呼吸置いて見逃していたと思う。もしそうであるならば牌譜にも残らないギリギリの攻防。


東加カンからドラ単騎を見事にツモり上げる

水面下で高度な駆け引きが行われてるなか、決着の時は唐突に訪れる。東を加カンしてあわいがツモってきた牌はラス牌ドラの中!唯一の8,000オールの手順!


二半荘目の結果

これは一体どうなってるのか!?並のトップだと届かないハズだったがオーラスでまさかの8,000オール。考えられる中ではかなりの高打点。無茶苦茶際どいように見える。一半荘目との結果を合算すると…



 







とらふく +11,0
たくみんサンチーム ▲21,0
mjあわい +10,0

なんとなんと1,000点差でとらふくトップ!道中リーチ棒が出ていたら逆転されていたのだ!薄氷の逃げ切り!

後日、本人に聞いたところとらふくはこの点数状況をかなり正確に把握しておりリーチ棒は出せないという認識だった。これはまさにハナ差圧勝!

こうなるのであれば、あわいは渾身の手順を踏んだオーラスの親倍を和了らず、聴牌連荘という選択をしないといけなかった。ただ、限られた時間の中で二半荘合計1,000点差を見切るのは至難の業である。この和了は致し方無いようにみえる。



総評

1,000点差を争う非常に難解な条件戦を最後まで正確に打ったとらふくの名局だった。

もしかしたら実戦において僅かな錯覚はあったのかもしれないが南2局のノーテン宣言とオーラスの4pビタ止め、この素晴らしい選択の価値が損なわれる事は無い。

不思議な事に大舞台のハイレベルな対局ではドラマが起きやすい。とらふく、たくみん、あわいこの3人で作り上げた名局だった。

3人共お見事!お疲れ様でした!!

ここで取り上げた打牌以外にも三者の素晴らしい打牌は数多くあったので興味ある方は是非実戦譜もご覧下さい!

雀魂牌譜:https://game.mahjongsoul.com/?paipu=240812-3a515ef2-cf18-41e1-a0db-fd381c8b86a6_a108075337

雀魂牌譜(一半荘目):https://game.mahjongsoul.com/?paipu=240812-fdb79896-fc95-4e37-8f29-c6a5b76acf1f_a108075337

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