休職新聞 短篇2

アタチは猫である。
名前は茜。
ある日、不仲と猫界隈で評判の母娘の家に調整役としてやってきたの。
お義母さんは実の娘(お義姉さん)よりアタチの方が好きみたい。義姉さんが亡くなった旦那さん似なのが辛いのと、かまってちゃんなとこが苦手みたい。

その点、アタチは相手との距離感を取るのには自信があるの。元々、大人になっても大きくならない猫種なので老若男女、猫界のみならず人間たちもアタチのトリコ。

今日は午前中、開店準備中のパパ(八百屋)のお手伝いをしてたら、よくくるおばあさんが「ハナちゃーん、元気?」とか言ってきたけど、それアタチのお義母さんの名前。アタチは茜。パパがおばあちゃんにさりげなく訂正をしてくれる。次まで覚えてるか怪しいけどね。
パンとバターのいい匂いの袋を持ってたけど
パパの前だけあっておねだりは厳禁。ぐっと我慢。
アイドル猫は陽だまりでお昼寝しようかしらね。

昼過ぎ、いつもの年齢不詳女がやってきて撫でくりまわす。この人、なんでこんな時間にフラフラしてんのかしら。うちのパパを見習って働きなさいよね。
「昨日は茜のママにやられたよ〜」とかヘラヘラしながら絆創膏だらけの手で撫でる。何か変なカンジ。ママがしたことたことなんだからアタチに責任はないわよ。

だいたいママの機嫌を読むのは大変なのよ。実の娘の麦お姉ちゃんだって苦労してるし。ヒトごときが甘いのよね。
年齢不詳の狸女はその後、去っていったけどそろそろ小学生軍団の下校時間。奥の倉庫に避難しなくちゃ。

 喚く子たちと物価高には勝てないわ。(物価高はパパと奥様連からの情報よ)

三代目八百屋小町もそうそう暇じゃない、意外と重労働よ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?