無題

アメリカに核が落ちた日
彼は死んだ

彼の傍らで
彼の手を握り彼を看取った

彼は安らかに眠るようにして
死んでいった

午前7:35、日本時間
アメリカのワシントンに核が落ちた

ニュースで知ったのはそれから
わずかの間

何が始まるのか
何が終わるのか

テレビのキャスターは真剣な顔で
ニュースを伝える

もう治らないと伝えられて二月前
彼はこの家に帰ってきた

失うことの怖さよりも
少しでも留めておきたい彼の姿

日に日に近づいていく彼の死

終わりが来る
そんな思い

世界の終わり
ふっと彼の死に顔を見る

そこにある彼の顔

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