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執筆のとっておきの4つのコツ ~全米No.1ベストセラー作家・クリス・コルファー

「 A 」の部分は書けたけど、つづく「 B 」のアイデアが浮かばない!
そんなときには?

2020.11.14、YALLFestでのスピーチから、執筆についてのアドバイスをご紹介します。

その1 文体よりも筋書きが大事

クリス:文体(スタイル)よりも、筋書き(ストーリー)の方が大切です。
作家としては、つねに、タイプの違う文体に惹きつけられるものですが、たとえどんな文体で書こうが、その背後に良い筋書きがなければ、全く意味がありません。

なので、何とか文体を良くしようと時間を費やしたり、誰かの文体を真似る努力をする代わりに、筋書きに焦点を当てましょう。
良い筋書きを書くのに専念していれば、自分の文体が自然に定まってくることを、僕がお約束します。

 ▼ クリスさん所有のタイプライター(1914年製)。

その2 実践的スランプ脱出法

クリス:スランプだと思ったら、どんなときだろうと腰を上げ、別のことをやりましょう。
散歩したり、映画に行ったり、テレビを観たり、本を読んだり、犬と遊んだり…何か気分転換できることをして、あなたの創造性をリフレッシュし、再起動できるまでの時間を与えてやるのです。

そして、書けないのに、机にしがみついて苦しむのはやめて下さい。
座り込んでもがいていると、もっと苛立ってくるからです。
しかも、イライラすればするほど、また書けるようになるのに時間がかかってしまうのです。

▼ 今は亡き愛猫、ブライアン。

クリス:ここで、僕が気づいたことを。
例えば、次にくる文をひねり出すのに苦労しているとします。
すると、その文のさらに後ろにくる文を考えることで、悩んでいた文を思いつくことがあるのです。
すなわち、「A」という箇所にいて、次の「B」がなかなか出てこない場合、「C」について考えることが、時々、魔法のように隙間を埋めてくれたりするのです。

ですから、できないときには、先へと目を向けるのをおすすめします。
もし、今の部分で行き詰まっているならば、筋書きの後ろの方に目を向けてみて下さい。
今の箇所とつなぐアイデアをくれる、大抵2、3ページ分ぐらいのものを、そこから見つけ出すのです。


その3 完璧でなくていい

クリス:完璧だと思えることは、これから先も、絶対にないでしょう。
歴史に残るどの作家でも、小説やら詩やら短編を書き終えたときに、心の底からこう言った人はいないと思うのです。
「よし、これでいい。完璧だ。」と。

あなたはいつでも、ご自分の作品を良くしたいと願っていると思いますが、どうか、そのために苦しまないで下さい。
これは生きる知恵なのですが、それ以上良くならず、ただ変えているだけならば、そこが「やめどき」だということです。
あなたは、やり遂げたのです。よくやったのです。
次へ進んで下さい。次の本へと移ったり、書いたものを出版できるように努力するのです。

▼ 『ザ・ランド・オブ・ストーリーズ・4』の原稿。

クリス:それでも、あなたはいつまでも、完璧だと感じることはないでしょうし、そうであっていただきたい。
僕は、本を出して約10年になりますが、出版前に戻って、あっちもこっちもいくつか文を書き直したい気持ちがあります。
つまり、完璧などというものは、神話にすぎないのだと覚えておいて下さい。

良いストーリーさえ書いていけば、語り尽くしたいストーリーが出来てきて、きっとうまくいきます。
成功しているフランチャイズの傑作のいくつかは、ひどい書き方なのを思い出してみて下さい。
一つめの「文体より筋書き」というところでお話ししたとおり、良いストーリーを書いていれば大丈夫なのです。


その4 希望を失わないで

クリス:どんな人からアドバイスを受けるかに、気をつけて下さい。
作家をやっていると、ご存知のとおり、自分の創造性がまるで「振り子」のように働いたります。
インスピレーションの高みへと振れることもあれば、絶望の底へと振れることもあり、多くの作家が、不運にもそこで行き詰まってしまいます。
そして、彼らはさほど、人に勇気を与えてくれはしません。
ですので、自分の気持ちをしっかりと保って、決して他人が落胆したり絶望しているのに影響されないようにしましょう。

また、心の中に物語がある限り、それを語る当然の権利があることを、つねに忘れないでいて下さい。
世界は広いので、誰もが、自分ならではの読者を見つけることができます。
なので、どうか、希望を失わないでほしいのです。

そして、どんなときでも、思い出して下さい。あなたをひどく失望させる世の中ほど、あなたのことをより必要としているのです。

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クリス:僕も、皆さんの作品を見るのが待ちきれません。
ぜひ頑張って、執筆を楽しんで下さいね。

ー クリス・コルファー 2020.11.14  YALL Festのスピーチより


めーぷるより一言
私も、日々、色々な言葉に励まされて生きています。
苦心して言葉を紡ぎ出してくださるライターの方々に、あらためて感謝いたします。