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もっさ生誕祭@下北沢440 2024/09/19


古今東西のバースデーソングが流れる中、ケーキやドリンク・特製ケーキピックが配られるなど、和やかな空気に満ちた下北沢のライブバー440。2024年9月19日、ネクライトーキーのVo.Gもっさのバースデーを記念する「もっさ生誕祭」が開催された。

定刻どおりの19:00に主役のもっさが登場すると、早くも場内から「おめでとう」の声がかけられる。
「今日は来てくれてありがとうございます!でも私気づいたんですよ。今日は私の誕生日ですが、本当に私の誕生日か?って。今日はこれまで祝えなかった皆の誕生日を祝おうと思います。みんなおめでとう!」という彼女らしいライブへの意気込みを宣誓したところで、エレアコを優しく爪弾き始める。
1曲目はもっさのオリジナルソング"pm6:00"。夕焼け・電車・白線といった風景描写を織りまぜながら、ネクライトーキーの楽曲とはまた違うプリミティヴな心象を留める歌詞に観客もぐっと聴き入る。
続いて「上京して最初の事務所が虎ノ門にあったんですけど、最上階の社長室でインタビューを受けていたら怪獣の声が聞こえたんですよ」という不思議なトークから"怪獣の鳴く街で"を演奏。一転してピックを使った力強いストロークでエレアコを鳴らす。
「私オープニングアクトなんですけど、持ち時間30分です!」と笑いを誘いつつ、ネクライトーキーの"夏の雷鳴"へ。曲中に「(マイクの)目の前にハエが止まってる〜!」とはしゃぐなど、今日はTorchツアーの時とはまた違った、肩肘張らないパフォーマンスだ。
続けて「次は人前で初めてやるオリジナル曲なんですけど…よければ合いの手を入れてください」と披露された"ほ乳類のうた"。さらに「大好きなバンドが解散した年に作った曲です」とのMCから情感を滲ませる"来年の話をしよう"。マニア垂涎の楽曲で観客を楽しませていく。
最後は原曲のリズムをスウィングさせ、テンポチェンジを廃した弾き語りアレンジの"遠吠えのサンセット"。子供向け番組のエンドロールのような、朗らかで多幸感に溢れるアクトを終えると、そのままステージから最前列の特等席へ移動した。

ここからは今回の企画の趣旨に沿って、彼女が最前で観たいアーティストを招いていく。まずはもっさの言葉を借りれば【様々な名義を持つ男】朝日の出番だ。
開始早々「それではゲストボーカルをお呼びしてもいいでしょうか」ともっさを呼び込む。「最初に歌って、後座ってもらった方が楽かなぁと…」とはにかみながら、「今日はコンポラ・ネクライトーキー・石風呂、全部の曲やりたいと思います」と宣言をしてコンテンポラリーな生活から"ひとえの少女"をコラボ。伸びやかなもっさの歌声にコーラスで花を添える。
「長いこと一緒にバンドをやってますが、こうやって皆から祝われるロックスターになったんだなと」と振り返りつつも「グッズのステッカー見ました?あれなんでしょうね?」とイジりも忘れない朝日。二人の信頼関係が感じられたところで、続いては石風呂曲"ゆるふわ樹海ガール"。もっさのボーカルとの対比が際立つような朝日のがなり声が、泥臭く焦燥を掻き立てていく。
「次はネクライトーキーの曲なんですけど、せっかくだしもっさの歌をやろうと思います」と期待を煽る言葉から"夏の暮れに"を演奏。コードを大きく変え、間奏にリグレやポしなの楽曲を取り入れるなど、魔改造を施したアレンジで新たな魅力を引き出す。さらにコンポラの代名詞"ハスキーガール"をソウルフルに歌い上げ、「この曲は最後に歌うのに丁度いいんですよ」と"ティーンエイジ・ネクラポップ"で手拍子を起こしてステージを後にした。

「ここまではネクライトーキーを楽しむ時間でしたが、ここからはそうはいきません!」と冗談交じりに告げるのはポップしなないで かめがいあやこ。ピアノの音色がフロアを包む"不登校少年少女のエチュード"で会場はさながらジャズバーのような雰囲気に変貌する。
「ポしなはかわむらくんというナイスガイが作曲も作詞もしているのですが、今日は10年以上前に作った私個人の曲もやっていきたいと思います」とのMCから"魔法使いのマキちゃん"へ。大きくなってゆく波のうねりのように、低音から高音へのレンジを広げていく。
さらに真っ赤な照明の下、どこか校歌を想起させるような郷愁を誘う楽曲や、ピアノのスタッカートとテヌートを流麗に往来する楽曲とオリジナル曲を続けて披露して、会場に秋の気配を呼び込んでいく。
ライブ直前までに今日のセットリストを提出していたのがヒラべだけだったという笑い話を挟んで、ここでゲストボーカルもっさをステージへ。「この曲はもっさと歌ったら楽しそうだなと思っていた」と温めていた"そらをとばない"を披露。ピアノとエレアコの音色が絡み、かめがい曰く「赤ちゃん合唱団みたい」という親和性の高い2人のハーモニーが心地よく響く。「今日のライブ後にピザ食べたいって言い続けてます」「ピザ食べようね〜」と最前列に戻ったもっさと和気あいあい言葉を交わしつつ、最後もオリジナルの楽曲でしっとりと締めたかめがい。深く一礼をしてトリへバトンを渡した。

「ホンマにトリでええんですか?失恋ソングしかないよ?from大阪、セットリストをちゃんと提出する男、ヒラベです!」と勢いよくギターをかき鳴らすのはregretGirlヒラベ。今月リリースしたばかりの新曲"ロスタイム"を瑞々しい音色で届ける。
「次は緊張するんですけど、ネクライトーキーの曲カバーします。リグレの機材車の移動中ずっとこれしかかかってなかったくらい好きな曲」と前置きして披露されるのは「めっちゃかわいいうた」。観客にシンガロングを促し、会場のボルテージを一気に上げていく。「この曲めちゃめちゃ気持ちいい!ヒラベの曲にしまーす」と本人も満足そうだ。
続けてバラード曲「ダレヨリ」を終えて、「ネクライトーキーは売れたタイミングとかも同じで、古い付き合いというか仲間って意識」と、20年代をサバイブしている同期への敬愛を述べる。そして「キラーチューンやります!」と"ホワイトアウト"でクラップと歓声を巻き起こす。
ここでもっさをステージに上げ、観客と一緒にハッピーバースデーの歌をもっさにプレゼント。そのまま最後はもっさ曰く「自己肯定感を爆アゲしてくれる曲」、"KAWAII"をデュエット。「イエベとかブルベとかはわからねぇけど俺はもっさだ気にするな!」と歌うもっさに、ハイトーンコーラスで応えるヒラベ。会場一体となるグルーヴを生み出してライブは終わりを迎えた。

それぞれのアクトを終えてステージに集合する面々。「みんなの演奏をド正面で浴びれて幸せでした…」と満面の笑みを浮かべるもっさの後ろで、何やら機材をセッティングしている。「それでは、この豪華なメンバーでやっていい事と悪いことがあると思うけど…最初で最後、スペシャルなボーカル4人で歌います!」とラストは"にんげんっていいな"をセッション。「でんでんでんぐり返しでバイバイバイ」を皆で歌ってめでたく大団円となった。   
「20代はずっとバンドに費やしてきたけど、30代はどうなるんでしょう」と語っていたもっさ。彼女の人柄とこれまでのバンド活動の繋がりから生まれた祝祭を観ながら、これからのネクライトーキー・もっさにまた期待が膨らむ一夜となった。







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