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パーソナルスペースを意識する。

▶︎パーソナルスペースを意識する。(実践編)023

恐竜時代、僕たちの先祖は大型のネズミのような哺乳類でした。その頃のご先祖様は単孔類と言って、カモノハシやハリモグラのように卵を産んでいました。そして小さくて力の弱いご先祖様たちは恐竜の格好のエサでした。母ネズミは恐竜に襲われると卵を見捨てて逃げます。自分の命は助かりますが、卵は恐竜に食べられてしまうのでまた産まなければなりません。ある時、突然変異が起きます。1匹の母ネズミがお腹の中で子供を育て始めたのです。身重の母ネズミが恐竜に襲われると自分が助かる確率がグッと減る事になります。ご先祖様は何故その道を選んだのでしょうか。理由は分かりませんが、そのことで爬虫類や鳥類に比べて母親と子供の距離感が近くなり、母子の間で愛情が育まれて行った事は確かでしょう。

人間の胎児は、受胎の日の30日後からわずか1週間で脊椎動物の1億年の進化を再現します。

それにしても母親と子供の血液型が違っている場合、子供に悪影響はないのでしょうか。実は胎盤の中には特別な膜があって、酸素や栄養のようなものだけを通しながら、赤ちゃんとお母さんの血液自体は分けることが出来るのです。

母猫は赤ちゃんを運ぶ時に首の後ろをくわえます。すると、子供は丸くなって運ばれやすい体勢なります。人間の場合も赤ちゃんを母親が抱っこし歩き回ると泣きやむことは経験則として知られていましたが、最近の脳科学の研究で赤ちゃんがリラックスする仕組みが解明されました。この現象を「輸送反応」と言います。

ある研究で母親が楽しい時は幼児も楽しく感じ、悲しいと感じると幼児も悲しいと感じていることがわかりました。母子の気持ちは伝染するのです。ところが父親が楽しくても悲しくても幼児にはまったく関係ない事もわかってしまいました。子供と父親の関係が育まれて行くのは子供が7歳を過ぎた頃からだそうです。子供は父親よりも母親と一緒にいたいのです。

以前、テレビ番組でユニークな実験を見ました。若い男性10人に1週間同じTシャツを着て貰い、それをガラス瓶に入れて蓋をします。その瓶をズラリと並べて、今度は10人の若い女性たちに、ひとつづつ蓋を開けて匂いを嗅いで貰います。すると、女性たちの好きな匂いがひとつのTシャツに集中しないで適度に分散したのです。つまり誰かの好きな匂いは、他の誰かに取っては嫌いな匂いであり、誰かの嫌いな匂いは、誰かに取っては好きでも嫌いでもない匂いだったのです。女性たちが匂いで判断していたもの、それがHLA遺伝子です。つまり自分の遺伝子と近いものを嫌いと判断し、遠い遺伝子を好ましいと感じているのです。遺伝子が遠ければ、多様性を持った子供が生まれるわけで、それだけ感染症に強くなるというメリットがあります。女性たちは男性の匂いでそれを判断していたのです。しかしこの能力は女性だけのもので男性には備わっていないようです。

たとえば女性が10代の頃に父親の匂いを臭くて不快に感じるのも、このHLA遺伝子が関係していて、もし父親の匂いを好ましく感じてしまうと近親相姦が増えることとなり、免疫力の低い子供ばかりになって子孫繁栄とは行かなくなってしまいます。ところが不思議なことに女性が結婚して赤ちゃんが産まれると、父親の匂いが嫌じゃ無くなるのだそうです。それは父親にも赤ちゃんを守って貰いたいから。この現実主義、この逞しさ。

もともと人間は女性になるために産まれて来ようとします。しかし途中でアクシデントがあったり虚弱だったりすると変異して男の子になるのです。つまり生物としては女性の方が優秀だというわけです。昔は良く、男は男らしく、女は女らしくと言いましたが、これは本来、生物として男が弱く女が強いからで、実際、男性のY染色体は徐々に短くなって来ていて600万年後にはY染色体は消滅するだろうと言われています。つまり地球上は、女性たちだけの平和で穏やかな星になるのです。

身体の周囲の心理的な縄張り空間のことをパーソナルスペースと言います。他人に侵入されると心理的な不快感が起こる空間の事で、実際にやってみると実感することが出来ます。

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