「私を底辺として。」三角みづ紀
私を底辺として。
幾人ものおんなが通過していく
たまに立ち止まることもある
輪郭が歪んでいく。
私は腐敗していく。
きれいな空だ
見たこともない青空だ
涙は蒸発し、
雲に成り、
我々を溶かす酸性雨と成る
はじまりから終わりまで
首尾一貫している
私は腐敗していく。
どろどろになる
悪臭漂い
君の堆肥となる
君は私を底辺として。
育っていく
そっと太陽に手を伸ばす
腕、崩れる
現代詩文庫『三角みづ紀詩集』(思潮社)より
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