息づく天白(浜松市:細江・引佐・天竜方面調査)

画像1 新型コロナウイルスで人込みへの外出が憚られる中、人びとの記憶にひっそり残る(、あるいは忘れ去られた)、民間の信仰の足跡を調査するというのはなかなか良い趣味なのかもしれない。ということで、今回は浜松市、細江、引佐、天竜方面に天白の調査に行って来たのでその報告をしたい。
画像2 まず、訪問したのは浜松市北区細江町中川にある三島神社。到着すると地元の自治会の方々が会合を開いておりにぎやかだった。立て看板には境内社の欄に「天白社 天白羽神」の文字が。居合わせた男性にこの天白のことについて聞いてみた。が、「分からない。祭りをやっているのは本社と境内社の白山神社のみ」とのこと。合祀前の鎮座地も含め引き続き調査が必要そうだ。
画像3 つづいて伺ったのは、都田川と井伊谷川の合流地点の南岸の一角に鎮座する「白羽天白社」である。1993年に書かれた地元住民のライフヒストリーの中の記述から、この位置にあることが判明した。合祀はされてないが、もとは別の場所にあったようだ。「白羽天白」という社名だけあって、祭神はやはり天白羽神だろうか?
画像4 つづいて発見した天白は、浜松市北区引佐町渋川地区、茶畑(跡?)に鎮座する「天白様」の小祠である。小祠自体は大正期に設置されたものらしい。旧引佐町の石仏等をまとめた調査記録からここにあることが判明した。写真から分かる通りかなりの景色の良い場所である。
画像5 最後に訪問したのは浜松市天竜区横川地区にある天白社。この日にめぐった天白社の中で唯一独立した社殿を構えたもの。中は薄暗くよく見えなかったが、伊弉諾、伊邪那美の文字が見えたようだった。傍らには大きな楠の木が生えていた。もともとはこれがご神体だったのかもしれない。
画像6 天竜区横川地区の天白のふもとには、洗い場のような場所があり、常に水が湧いている。ここを「天白井戸」というそうな。上述した楠ではなく、湧水点がご神体だったという可能性もある。が、真偽は不明である。
画像7 写真:2019/08/09撮影、参考文献:引佐郡教育委員会1922=1998『静岡縣精髄引佐郡誌』引佐町歴史と文化を守る会1987『引佐の石仏』細江町農協1993『ふるさとよもやま話』

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