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【MTG】15年ぶりのカード・タイプ追加(「バトル」考察)

機械兵団への進軍で、カード・タイプ「バトル」を持つカードが新設されました。定形外でない通常のカードで使われるカード・タイプの新設は、プレインズウォーカー以来となる15年ぶりの出来事であり、MTGのルール好きにとっては見逃せないイベントです。今回は超レアなルール変更という観点から、バトルというカード・タイプを考察します。


ルールへの影響

カード・タイプが増えることで、ルールや既存のカードにはどんな影響があるでしょうか。

攻撃時の選択肢が増える

今後、プレイヤーかプレインズウォーカーに加え、バトルが戦場にあるときはバトルも攻撃の対象に選ぶことができます。

直接的なダメージと、バトルを倒すことによるアドバンテージ獲得という選択肢を攻撃プレイヤーに与えることで、プレイに幅を持たせる効果が期待できます。バトルを使う側のプレイヤーにとっては楽しい選択であり、ポジティブな影響といえそうです。

干渉できるカードが限定的で「浮いて」しまう

他方、使われる側のプレイヤーから見るとどうでしょうか。バトルへの攻撃を防ぐ手段は

  1. 攻撃をブロックしたり、ダメージを軽減する

  2. 対象に「バトル」と明記されたカードで対処する

  3. 「any target」や「土地でない~」のような対象を列挙しないカードで対処する

に限られてしまいます。

機械兵団の進軍には「2」のカードが多く投入されているため、リミテッドでの問題は少ないと思いますが、構築環境では、バトルを想定したセットと想定しないセットが混在するため、「バトルの対処をあきらめる」か「バトルへのガードを上げてカードパワーを下げる」かの楽しくないジレンマを突き付けられる可能性が高いです。この課題は、バトルを想定していないカードが多い下環境になるほど深刻になります。

特に、クリーチャーの枚数を絞るため「1」の対処を選択しにくいコントロールデッキにとって、そのストレスはより大きくなるでしょう。

実は、プレインズウォーカーを新設した際にも同様の課題が発生していました。ただし、プレインズウォーカーはMTGの顔であり、多少特別扱いされることに一定の納得感はありましたし、長期にわたって定常的にプレインズウォーカーや対処できるカードが投入され続けた結果、今では登場当初ほど浮いた存在でなくなりました。

つまり、この課題を解消するためには、今後も定常的にバトルが登場し続けることが重要だと思います。

バトルの拡張性

しかし残念ながら、バトルというカード・タイプ自体に与えられた

  • 守備値を持つ

  • 攻撃されることがあり、守備値が0になると墓地に置かれる

  • 守る者が1人指定され、守る者はバトルを攻撃できない

という特性を見る限り、どのバトルもプレイ感が似たものになってしまうため、既存の非クリーチャーパーマネント呪文であるエンチャント・アーティファクト・プレインズウォーカーに並び立つほどの存在感を発揮することは難しいと感じています。そうすると、プレイヤーはいつまでも楽しくないジレンマを強要され続けることになってしまいます。

一応、包囲戦に与えられた

  • コントローラーの対戦相手が守る者になる(守る者の指定)

  • 最後の守備カウンターが取り除かれたとき、それを追放して変身状態で唱えてよい(倒されたときの挙動)

という特性はバトル・タイプによって変わるため、ある程度のバリエーションは作れますが、私の想像力では大きな広がりを見出せませんでした。

新カード・タイプが必要な理由

そもそも、MTGにおいてカード・タイプの追加がめったにないのは、ルール基盤が確立されており、大抵の効果は既存のカード・タイプで実現できてしまうためです。バトルと同じ効果のカードも、既出のカード・タイプを使って実装することはできなかったのでしょうか。

ダメージ置換能力を持たせたエンチャント

「戦場に出たとき守る者を指定する。守る者以外がコントロールする発生源が守る者にダメージを与える場合、代わりに同じ個数の守備カウンターを取り除いてもよい」というエンチャント・タイプなりキーワード能力を持つエンチャントを作れば、うまく働きそうです。

多人数戦において守る者がいなくなってしまった場合の処理まで一つの能力に混ぜるのは複雑すぎるという意見はあるかもしれませんが、できないことではないと思います。

またこのやり方では、バトルを攻撃することによってボーナスを得るようなクリーチャーは作れないため、完全に同じ形とはいかないですが、エンチャントを使う方法でも、かなり近いものは実装できそうに感じます。

その他気になったこと

ルールへの影響以外にも、今回収録されたバトルについてちょっとツッコみたいポイントがあったのでついでに書いておきます。

どういうフレーバー?

カード名を見る限り、どのバトルもファイレクシアが多数の次元に侵攻していることを表現してそうですが、守る者を指定し、バトルを倒した際に得られるボーナスは、各次元でファイレクシアンの攻撃を防いだことを想起させます。どうもルール上の取り扱いと、表現されているフレーバーが食い違ってるような気がしてしまいます。

なぜ横向き?

横向きのカードは、単純に手札の中でもWEBサイト上でも扱いにくそうです。タップ・アンタップも若干わかりにくいですし。次元カードに合わせて横向きにしたんだと思うんですが、今後色々なセットで使うことを考えると、次元丸ごとの広範囲な戦闘ではなく、局所的な対決を描くケースが増えそうなので、次元カードにデザインを寄せる理由も薄そう。普通に縦向きにしても、右下の守備値アイコンで見分けられるのでは。

とはいえ、予想を裏切ってほしい

全体的に愚痴っぽい内容になってしまいましたが、私はMTGのルールが美しいと思うあまり、基本的な構造に影響を与えるような変更にはどうしても敏感になってしまいます。カード・タイプの新設には部族という失敗例があることに加え、成功したと言われるプレインズウォーカーでさえ、デザイン領域の限界に頭を悩まされるという話を聞くことがあり、正直心配です。

ただ、こうして実装されたからには、バトルというカード・タイプが私の予想をいい意味で裏切ってくれることに期待したいと思います。皆さんはバトルについてどんな意見を持っていますか。ぜひ聞かせてください。

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