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時には、ひとりごと。

久しぶりにラーメンをすすった。

ご馳走してくださった先輩に、
「どう?美味しい?」と
聞いていただいたので、

「美味しいです。
久しぶりにラーメンをすすりました」
と答えた。

「ラーメン、あんまり食べないんだ」と
納得されそうになったので、

「いえ。ラーメンは食べます。でも、
大人になったら、ラーメンを
すすってはいけないのかと思っていました」
と答えた。

「誰がそんなこと言ってたの?」と
さらに聞いていただく。

「『ラーメンをすする人はモテない』って、
どこかのグループが話しているのを
聞きました。」

答えながら分かる。
自分が馬鹿なことを
言っていることぐらい。

でもそれぐらい、
いつも周囲にアンテナを張って、
観察し続けた。聴き続けた。

ミンナがしているフツーのことを
ただマネてきた。

ダレカが殺気立たないように。
ダレカの笑顔が崩れるのが怖い。

今日食べたいものを、
答えるのが怖い。

ミンナが楽しそうにしている
遊園地が怖い。

ヘンナコにされないように、
ミンナが話す言葉を反復する。

自分の思いや気持ちは
わからないけれど、
相手が求めてそうな言葉を
口に出してみる。

そして喜ばれる。
その時
「今日も正解が出せた」と安心する。

そうして大人になったら、
聞き上手だと
褒められるようになった。

フツーのミンナには言えないけれど、
嬉しいことに沢山出会った。

水洗いして、ティッシュで拭かなくても
みかんを食べていいこと。

自分の荷物を
新聞紙の上に置かなくてもいいこと。

本を借りる前に
手を洗わなくていいこと。

ビニール袋の音を
たててもいいこと。

贈答品をティッシュを引かずに、
冷蔵庫に入れてもいいこと。

自分はもっと
バイキンだらけだと思っていた。
ダレカの許可がないと、
何もしてはいけないと思っていた。

少しずつ、少しずつ。
自分を変えていけたらいいな。



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