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有機化学実験(4)–セッケン

前回はエステルの合成と性質についての実験をまとめました。
有機化学実験の4回目はセッケンの合成と性質についてです。

1.目的

油脂をけん化してセッケンを合成し,その性質を調べる。

2.使用器具・薬品類

試験管,50mLビーカー,100mLビーカー,薬さじ,ろうと,キッチンペーパー,ガラス棒
やし油,飽和食塩水,蒸留水,沸騰石,エタノール,6mol/L水酸化ナトリウム水溶液,紅花油,フェノールフタレイン溶液,ミネラルウォーター

3.事前準備

(1)やし油は常温で固体なので,ウォーターバスにつけて湯煎し,溶かしておく。
試験管に取り分けた状態で湯煎しておくと,ウォーターバス前に行列ができない。

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(2)軟水・硬水を準備する。
軟水はどれでも良い。この時は南アルプス天然水。
硬水はcontrexが使いやすい。

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(3)油脂(サラダ油などなんでも良い)は点眼瓶などに取り分けておくと便利。

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4.操作

(1)試験管にやし油1mLと沸騰石,エタノール1mL,6mol/L水酸化ナトリウム1mLを入れ,弱火で一様になるまで加熱する。

油滴が消えるまで加熱する。

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(2)ある程度冷めたら,飽和食塩水20mLの入ったビーカーに加えて,軽く混ぜる。冷ましすぎると,試験管内部で固体になるので注意。

(3)キッチンペーパーを用いて,簡易的にろ過し,セッケンを取り出す。
ろ紙とろうとなど使用しなくても大丈夫。

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(4)セッケンをお湯に溶かしてセッケン水を作り,試験管4本に4mLずつ取り分ける。

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(5)それぞれの試験管に油脂,フェノールフタレイン,硬水,軟水を加え,よく振って観察する。

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油脂を加えると,乳化するため白濁します。
フェノールフタレイン溶液を加えると,赤く呈色することより,塩基性であることがわかります。
硬水を加えると,白いもやもやした個体が生成します。(不溶性の塩)
軟水を加えても,特に変化はありません。

(6)合成洗剤を用いて同様にセッケン水を作り,試験管4本に4mLずつ取り分ける。

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(7)それぞれの試験管に油脂,フェノールフタレイン,軟水,硬水を加え,よく振って観察する。

油脂を加えると乳化するのは,セッケンと同様です。
フェノールフタレイン溶液を加えても変化はありません。
硬水,軟水を加えても,同様に変化はありません。

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5.片付け

セッケンと合成洗剤なので,水道水で希釈しながら流す。
特に回収はしない。
セッケンはなるべくキッチンペーパーに回収するように声がけする。

6.終わりに

セッケン水に硬水を加えて少し静置しておくと,どんどん白いものが出てくるのが,結構おもしろいなと思っています。
セッケンの溶け残りがあると,発生した不溶性の塩なのか、セッケンなのかわかりにくいので,しっかりと溶かして「セッケン水」にすることがポイントです。
この内容は,私が実施した内容をまとめたものです。

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