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有機化学実験(2)–アルコールとその誘導体

前回は脂肪族炭化水素の実験をしました。
有機化学実験の2回目は,アルコールとその誘導体です。

1.目的

アルコールの性質を調べる。
アルデヒドとケトンの性質の違いを調べる。

2.使用器具・薬品

試験管,銅線,ピンセット,薬さじ,ゴム栓,マッチ,ガスバーナー,廃液入れ,メタノール,エタノール,ヘキサン,ナトリウム,ヨウ素,フェーリング液,1mol/Lアンモニア水,1-プロパノール,2-プロパノール,1-ブタノール,5%グルコース水溶液,2mol/L水酸化ナトリウム水溶液,0.1mol/L硝酸銀水溶液,沸騰石

3.事前準備

フェーリング液は直前に混合して使用するので,A液とB液を1.5mLずつ別の試験管に取り分けておく。沸騰石もついでに入れておく。

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らせん状の銅線は,自分で試験管等を用いてらせん状にしてもよい。
もちろん,商品として販売しているので,それを購入するのが簡単。

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4.操作–アルコールの性質

(1)4本の試験管に以下の薬品をとり,溶解性を観察する。
  エタノール+水,エタノール+ヘキサン

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1-ブタノール+水,1-ブタノール+ヘキサン

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エタノールは水にも有機溶媒にも溶解しますが,1-ブタノールは有機溶媒にだけ溶解します。

(2)メタノール5mLを試験管にとり,米粒大に切ったナトリウム片を入れる。ゴム栓を乗せて発生する気体を捕集する。反応が終了したら,マッチで火をつける。

(3)メタノール3mLを試験管にとり,らせん状に巻いた銅線を赤熱させたものを液面に近づけ,銅線の色の変化を観察する。液面に近づけたり離したりを数回繰り返す。試験管の匂いを嗅ぐ。

5.操作–アルデヒドの性質

(1)試験管に硝酸銀水溶液3mLとり,アンモニア水を振りながら少しずつ加える。褐色の濁りが生じるが,それが消えるまで加える。

ホルムアルデヒド水溶液を用いる場合は,ちょっと濁りが残っている程度,完全に無色透明になる前でアンモニア水を加えるのを止めるのがポイント。
(グルコース水溶液を使用する場合は,あまり気にしないで大丈夫)

(2)5%グルコース水溶液を約1mL加え,約60℃のお湯にそっとつける。静置し変化を観察する。

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(3)フェーリングA液(青)にフェーリングB液(無色)を加え,ホルムアルデヒドを5滴加える。弱火で注意深く加熱し,色が変化したら加熱を止める。静置後,観察する。
(A液にB液を加えたのは,器具の都合上。B液にA液を加えても,もちろん大丈夫)

よく,ホルムアルデヒド水溶液を加えるのを忘れがち。
当たり前だけど,加えていないと反応が起きない。

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静置すると,酸化銅(Ⅰ)の赤色沈殿を確認することができる。

6.操作–ヨードホルム反応

(1)試験管にそれぞれ1-プロパノール,2-プロパノールを0.5mLずつとり,ヨウ素を少量加えて溶かす。溶け残る場合は,上澄みを別の試験管に移す。

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(2)ヨウ素の色が消えるまで,水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ加える。その後,水を2−3mL加え,静置後に観察する。

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2-プロパノールの方で,ヨードホルムの黄色沈殿が確認できた。
1-プロパノールでは生成しない。
ヨウ素の量が少ないと,黄色の沈殿をはっきりと認識できないケースがあった。
逆にヨウ素を多くして溶け残ると,1-プロパノールと2-プロパノールの差がわかりにくいと感じるケースも。
時間があれば,60℃くらいで温浴すれば良いらしい。

8.片付け

(1)廃液回収
廃液は全て回収。
班ごとの廃液ビーカーにまとめたら,ドラフトへ運ぶ。
銀鏡反応の試験管のみ,溶液ごと別に回収。

(2)銀鏡反応の試験管の処理
放置すると雷銀を生じ,爆発する恐れがあることから,別途回収し,6mol/L硝酸を加えて処理する。重金属廃液として処理。

9.終わりに

この内容は,私の実施した内容を記録としてまとめたものです。
次回はエステルの合成についてまとめます。


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