服を着ると痛い・・・そんな僕が選んだ道
小学6年生の時、憧れの革ジャンを手に入れた。といっても、小学生のクソガキが高い本物の革ジャンを手にすることはできず、ユニクロの5,000円くらいの「ネオレザーライダースジャケット」が僕が手にした最初の革ジャンだった。11歳のクリスマスプレゼントに選んだのは革ジャンだった。
憧れたものに袖を通した時の高揚感、ちょっと大人になれたようなくすぐったい感情。この写真から伝わるでしょうか?
翌日、僕は親の反対も気にせず、小学校に革ジャンで登校する。
ランドセルに革ジャン。最高な組み合わせだ。
だけど、ユニクロで袖を通した時から気がついていた。いや、もっと前から気がついていた。
「服ってどうして痛いのだろう」
服を着ると生地が触れるところが痛い。これが普通だと思っていた。誰かに服を着たら痛いのかどうかなんて話をしたこともなかった。だから、服とは痛いもので、それをみんな我慢して着ているものだと思っていた。
中学1年生の時に「感覚過敏」という言葉に出会うまでは。
感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの諸感覚が過敏になっていて日常生活に困難さを抱えている状態をいう。これは病気ではなく症状なので、診断されるというものではない。発達障害に多く見られる症状だが、それだけでなく、うつ病、自律神経失調症、認知症、脳卒中、てんかん、高次脳機能障害などさまざまな病気の症状としても感覚の過敏さはあるし、最近、耳にすることが多いHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)でも感覚の過敏さがある人もいる。
感覚過敏という言葉に出会った時、小学生頃から感じていた、うるさい場所が苦手、食べられるものが少ない、服や靴下が痛いとう不快な状態の理由がわかり、気持ちが軽くなったのを覚えている。
冒頭の小学生で革ジャンに憧れたエピソードからもお分かりいただけると思うが、僕はオシャレが好きでした。今、僕は高校1年生です。かっこいい服を着たいし、オシャレな服を買いたい欲望はある。
感覚過敏という言葉を知った中学1年生の僕は、諦めきれず、服を買っていた。上の写真、デニムジャケットは2万円以上したし、パーカーも1万円以上していた。お店に服を見に行くのも好きでした。(お年玉は服につぎ込むタイプでした)
中学2年の時、とあるご縁でモデルをやらせていただいたことがある。ヘアメイクもして、制服バージョンや私服バーションで撮影をした。ファッションの世界が好きだった僕にとってとても楽しい経験になった。ただ、スタイリストさんが持って着てくださる服を着るのはやっぱり痛く、モデルは憧れるけど僕には無理かもしれないと思った。
中学2年生、ちょっと背伸びをしてスーツを買いました。また一歩大人に近づけたような高揚感と、オシャレなお店で服を選べることが幸せに感じたのでした。
ただ、やっぱり服が痛いのです。中学2年の秋。僕は制服も苦痛で、それだけが理由ではないけど、当時通っていた私立中学を退学し、いわゆる不登校生となった。そのころから、オシャレもしなくなった。痛いのを我慢してまでオシャレをしなくていいと思うようになったのだ。
僕のデフォルトの服は、同じ種類のパーカーと、ズボンは中学校の制服のゆるっとしたズボンだ。(色という選択肢だけは残している)
パーカー生活も悪くはないが、このパーカーだって着ていると痛みを感じる。縫い目が肌に触れると痛いし、タグはチクっと刺さるし、生地も痛い。特に使い込んで洗って行くと綿素材は生地が硬くなるし毛羽立ちも増えてくる。その小さな毛羽立ちが何万本もある針のような感じで僕の肌に刺さってくる。
やっぱりオシャレがしたい。服は痛くて辛いものだと思って、諦めてしまったが、もう一度、服を選ぶ楽しみを経験したい。
だから自分で服を作ることにした。
縫い目が外側で、タグはないもの。そして、生地は自分で触って痛くないものを選ぶ。いろんな生地を大量に触ってきた。
服を作ろうと決心してから、もう1年が経とうとしている。とりあえず、僕は、縫い目が外側で内側には段差がなく、タグはプリントで首などにも触れない場所にしたパーカーを作った。今、それを着て生活している。
パーカーの次は、Tシャツも肌着もズボンも靴下も作りたい。
そして、僕と同じように感覚過敏で服が痛いと感じている人たちにも、僕の作った服を着てもらいたいと思っている。生地に関しては、不快感がないものは人によって違うから、なかなか販売となると難しいけど、「着れる服がない」と諦めている人が服を選ぶ楽しさを感じられる体験をしてもらいたいと思っている。
ブランド名は『KANKAKU FACTORY』に決めた。
感覚過敏だと気が付いてから、感覚の過敏さを辛く感じることもあった。世の中のイメージとしても、感覚過敏は「神経質」「過敏すぎる人」「弱い人」という印象があるように思う。そのネガティブなものを、楽しいものに変えていくのが僕のやりたいことの1つでもある。
『KANKAKU FACTORY』
感覚を生み出す。作り出す。作り上げるものは、誰にとっても楽しい感覚であってほしい。
まだ完璧ではない。未完のブランドだ。完璧を求めて数年かけるならば、応援してくださる方々と一緒に悩み、改善し、成長できるアパレルブランドになりたい。
もうすぐ、15歳の僕が全身全霊をかけてアパレルブランドを立ち上げるよ。
感覚過敏でオシャレが楽しめなかった人が服を選べる世界になるように。
そして、すべての人にとって着心地のよいやさしい服を作りたい。
9月15日頃、CAMPFIRE(Goodmorning)でブランド立ち上げのためのクラウドファンディングを公開します。みなさんの力を貸してください。単発のプロジェクトで終わらず、愛されるブランドにしたい。その最初の一歩をどうか、一緒に歩いてください。
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