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『月の彼方で逢いましょう SweetSummerRainbow』感想

 先月の5/29に発売された、『月の彼方で逢いましょう SweetSummerRainbow』をクリアしたので感想を書いていこうかと。まとめておきたいことが結構あったので(一部ネタバレ含みます)。

OPムービーでもうやばいでしょう…幸せ溢れまくってるの…画面から漏れ出してる。

 この作品は2019年にtone work'sさんより発売された ""つきかな"" こと、『月の彼方で逢いましょう』(勿論プレイ済)のヒロインの1人、佐倉雨音(さくら れいん)のスピンオフ作品。今作もスクール編とアフター編からなっており、それぞれ『月の彼方で逢いましょう』雨音√のダイジェスト版が収録されてて、復習もできるし、今作から始める人でも全然大丈夫な仕様。神対応ですな。是非多くの人にプレイして頂きたく思います。



 ってことで早速感想を。。。(ネタバレあります)

栞菜名言

 一言でいうと、まじでこれでした。いや、本当に。
ボリュームも申し分なしだし、そのボリュームに相応しい感動がちゃんと詰まってた。元々、つきかなの雨音√の出来がめちゃくちゃよかったので、期待はあったけど、期待以上。スピンオフ作品って本編で描きたかったけど、描けなかった内容を描いてくれるイメージが何となくあるので、なくても大丈夫というか、既に満足してるとこに内容が追加される訳で。延長線、おかわり、って言ったらいいのかな、同じような満足感をもっかい味わえると思ってるんですけど、今作は正直、本編以上に感動しちゃって。ここまで含めて真の雨音√だわ。っていうくらいの内容だったんです。まじ神ゲーでした。



 まず、スクール編は3年生の夏休みにサマースクールへ参加し、雨音の生まれ故郷のサンフランシスコへ初めて(つきかな雨音√でありそうでなかった)行くことになる話。もう”生まれ故郷”ってだけで何かを察するわ。それに恋人になってからの夏休みはヤバいっす。
 スクール編でよかったのは、主人公である奏汰の活躍ぶり。雨音と恋人になってから、色んなことを意識するようになった彼。進路のこともそうだけど、先を見据えて変化していく心境、サンフランシスコといういつもとは違う環境、そしてどんどんより良くなっていく2人の関係。2人の間と周りを取り巻くもの、色んなものが雁字搦めになっていく中で、奏汰が苦悩や反省をしつつも、目の前のこと、彼女のこと、これからの2人のことをどれも同じくらい一生懸命考えて、行動している姿が素直にかっこよかった。
 やっぱりこれだけのことを同時に考えてたら、気づかない、ミスをする、とかは当然考えうることで、でもそれを言い訳にせずに向き合った彼は立派だった。自然とあらゆるものが変わっていく中で、もし雨音が苦しむようなころがあれば、そうはさせないように変える側になって彼女を支える。このくらい大袈裟にリードしてくれた方が雨音にとっては嬉しいだろうな、と今迄の2人を見ていると納得というか、こういう台詞で決めてくれた方がお似合いなので、これで満足。いつどこでどんな時でも彼は彼女のナイトでした。

 雨音もこのままでは将来、立派なお嫁さんにはなれないと、彼女なりに努力している姿が印象的でした。特に料理。お弁当作りに励んでいる姿が記憶に強く残ってる。そういう変化、成長の中に良いとこもあれば、悪い(とまでは言わないが)とこもある。っていうのがスクール編の乗り越える障害みたいなものになってたと思うんだけど。いいテーマだったと思う。雨音にとっては何が大事なものか多分ちゃんとわかってなくて。というのも両親から本当に大事にしてもらった、何が大事なものかを教えてもらった、とかが経験や知識として完全に心身に馴染んでない、信じてないんじゃないか、っていうのはわかるから。全部ひっくるめて ""雨音らしさ"" って表現をすると、そういう大事なものが変化の過程の中で気づかないうちに零れそうに、失いそうになってて。取り戻せなくなる前に気付いて、ちゃんと口に出して、お互い確かめ合って、2人の大事なものにしようと、このサマースクールのタイミングでこの物語を据えてきたのは大正解というか、雨音√の上で割と欠かせない話なんじゃないかなぁ、って思いました。アフター編にもしっかり響いてきてたし。

 ピークを越えた物語終盤、つきかなの魅力の1つだと思っている伏線というか、シリアス部分の回収。相変わらず見事でした。ちゃんと泣かせにくる。メリハリがいいんよ。ダルけそうになった最高のタイミングで差してくる。雨音の両親はちゃんと雨音のことを愛していたよ、というメッセージ。この内容があってこそ、雨音は雨音として、両親のことだけでなく、自分のことをちゃんと愛せるように、信じられるようになっていったので本当によかった。ラストシーンの笑顔が全てを物語っているわ。素敵でした。

つきかなSSR スクール編

 


 そんでもって、アフター編よ。新婚生活を始めてからのお話。
こちらが本当に好みな内容で最高でした。幸せを極め尽くしてたわね。

 自分って、キャラの関係性を好きになることが多いんだなと、この作品を終えた後に自分の中で答えのようなものが出たのが、一番大きかった。奏汰も好きだし、雨音も好きだし、2人の間に生まれたつきこちゃんもやっぱし可愛く育ってくれて好きだし、そんな3人の家族模様を見ているとやっぱり心の底から幸せになって欲しいと願わざると得なくて。幸せで溢れた日常イベントを見守っているだけでこんなにも幸せになれるのかと。幸せのお裾分けって強い。家での些細な会話から、花火大会に、運動会、クリスマス、誕生日、本当にどれも良くって。てか、つきこちゃん愛おしすぎるっっっ!!!もう二人が愛情たっぷりに甘やかして育ててしまうのがわかるなぁと。女の子だから、奏汰のデレ具合が最高でしたね(笑)

 花火大会は雨音の言葉が刺さりまくって、キュンキュンしてました。

雨音
「くすすっ、冗談。死んだって離婚してやらない」
奏汰
「え」
雨音
「あなたとこうなりたくて、ワタシがどれだけ待ったと思ってるの?」
奏汰
「雨音…」
雨音
「どれだけ嫌われたって、遠ざけられたって、絶対に別れてやらない。くすすっ」

いやぁ、ヤバいっしょ。。。これは。めちゃくちゃ好きになる。雨音のことも勿論だけど、この2人のことが。幸せそうな2人の会話が最高なんよ。2人の代名詞とも言える、永遠の運命をひしひしと感じます

 運動会は絶対やってくれると信じてた、この2人ならではの声出しが見れて大満足でした。あれは最高。雨音よくやってくれたわ。愛する嫁と娘の頼みとあっては、応えないわけにはいかないよなぁ。前振りとして、めちゃくちゃ落ち込んでしまったつきこちゃんのシーンがよく効いてたなと。下げて上げる。この起伏が気持ちいい。ていうかもうさ、運動会っていうみんなが見てる場で、「パパ!目覚めて!」って雨音が言ってるのだけでもテンション上がるし。つきこちゃん、めちゃくちゃ一生懸命で、パパが応えてくれて超嬉しそうだし。微笑ましいとかいうレベルじゃなかった。ニヤニヤ止まらんし。尊すぎて心臓限界だったわ。やり取りの中にこの家族らしさが詰まりすぎてたのはこの運動会イベントだったと思う。イラストまじ可愛い。

運動会


 そして、個人的には一番のピークポイントだった。雨音の誕生日。もう大号泣でした。ホントにやばかった。雨音本人も言ってたけど、あの演出はズルい。泣かないなんて無理。
 雨音が奏汰と出会う前の境遇だったり、翻弄され続けた人生を振り返ると、どうしても涙を堪えきれなくて。奏汰と出逢えて、ママになれて、ここまで幸せになってくれて本当によかった、っていう想いがどんどん溢れてきちゃってヤバかった。嬉し涙というか、雨音の気持ちに共感しすぎてた自分がいる。彼女も泣いちゃって、余計に貰い泣きだし。
 雨音パパからのメッセージを受け取って、両親から愛されていたというメッセージは事実としてわかっていたり、何となく記憶にあったりしていても、"愛"や"幸せ"を身を以って体感する、"大好き"って言葉をちゃんと受け入れる、っていうのは雨音にとってはそう沢山はなかったはずなので、本当に嬉しいよな、っていう気持ちが凄い込み上げてきたんよ。目の前でちゃんと実感する、噛みしめるっていうのは、その瞬間だけのかけがえのないものだから。しかも、この誕生日の前に、親になって初めて本当の意味で理解した両親の想いを経たからこそ、実感がちゃんと実感になっていたから。本当に今作のベストシーンでした、大好きです。

 あとは細かいとこで言うと、親友の円や賢斗、つきかなでヒロインをつとめた皆の顔をまた拝むことができたのはめちゃくちゃ嬉しかった。みんな魅力的で大好きなので(ただ灯華やうぐいす先輩は流石に難しかったか…仕方なし)。tone work'sさんの作品、形成された人間関係をアフター編の最後の最後までずっと大事にしてくれるの大好きなんです。あの頃を思い出してしまうような、懐かしい出来事を入れてきたり、大変なときはどんな状態でもみんなが助けてくれたり、人間関係の温かさが作品全体への温かさに確実に貢献してるなと改めて思いました。飲みの席や、奏汰の雨音のお宅にヒロインがお呼ばれした時のやり取りがめちゃくちゃ面白くて好きでした。


 とまぁこんな感じで、書きたかったことは書けたので、そろそろ締めくくっていこうかなと。本当に面白くて、好みで、最高の作品でした。霧子さんが作中でも言っていた(今作屈指の名言)けれど、「感動というものは、人の本能に呼びかける」っていうのを改めて感じた
 スピンオフだからといって、ただ追加のイチャラブで終わるんじゃなく、どうしてもこの話を盛り込みたかった、この話を書かなきゃ雨音の物語は完成したとは言えない!っていう意気込み、メッセージを感じ取ることができてよかったです。素敵な物語を描いてくださったシナリオ担当の白矢たつきさんを初め、作品に関わった全ての人に感謝しています。ずっと自分の中に残しておきたい、大好きな作品がまた1つ増えました。本当にありがとうございました。次回作も楽しみにしています。


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