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[要約] Zoom Out アーサー・へイズ

Arthur Hayes

https://cryptohayes.medium.com/zoom-out-c343750dd3bd

長期的な視点に立ち、変化する金融サイクルを理解した上で、ビットコインをポートフォリオに組み込むことが重要である。

金融市場は常に変化しており、目先の動きに翻弄されるのではなく、長期的な視点を持つことが重要である。 過去の金融サイクルを分析することで、政府による金融抑圧やインフレ、地政学的リスクの高まりが、ビットコインの価値を高める要因となることがわかる。 今後予想される金融環境の変化を踏まえ、ポートフォリオの一部にビットコインを組み入れることを検討する価値はあるだろう。

本稿は難解なアーサーへイズ氏のブログを要約、必要に応じて他のソースから情報を補完しています。正確な情報が必要な方は原文を参照ください。


現在の市場観と分析の目的

多くの人が、目先の金融市場の動きに翻弄され、「仮想通貨の強気相場は終わったのか?」、「ビットコインはなぜナスダックと連動しないのか?」といった近視眼的な疑問を抱いている。しかし、本当に重要なのは、現在が地政学的にも金融的にも大きな転換期であるという事実だ。 世界は米国の単独覇権体制から、中国、ロシアなどを含む多極化へと向かっており、それに伴い、世界の金融構造も変化を余儀なくされている。

本稿では、目先の市場のノイズを離れ、より大きな歴史的サイクルという視点から、現在の金融市場を分析する。 特に、世界の経済が米国の金融政策に影響を受ける「パックス・アメリカーナ」のサイクルに焦点を当てる。 この分析の目的は、過去のサイクルを理解し、未来を予測することで、より賢明な投資判断を行うためである。

金融サイクルの理論的枠組み

歴史的に、金融サイクルは「ローカル期間」と「グローバル期間」の2つに分類できる。

ローカル期間
政府が戦争や過去の負債をファイナンスするため、貯蓄者を犠牲にして金融抑圧を行う期間。インフレが加速する傾向にある。

グローバル期間
金融規制が緩和され、国際貿易が促進される期間。デフレ傾向となる。

つまり、ローカル期間(インフレ期)には金、グローバル期間(デフレ期)には株式が有効な投資対象となる。一方、国債は、政府による財政赤字のファイナンスやインフレ誘導によって、長期的に価値を維持することが難しい。

投資家の視点からは、それぞれの期間に適した投資対象を選択することが重要となる。

システムを信頼するが、政府を信頼しない場合
株式への投資が適している。

システムと政府の両方を信頼する場合
国債への投資が適している。

システムと政府のどちらも信頼しない場合
金やビットコインのような、国家システムから独立した資産への投資が適している。

20世紀の金融サイクル分析

歴史的転換点を踏まえ、過去100年間の金融サイクルを3つに分類する。

1933-1980年:パックス・アメリカーナの台頭 - ローカルサイクル

第二次世界大戦後、米国は世界経済の復興を牽引し、莫大な利益を得た。 しかし、戦争による財政赤字をファイナンスするため、金保有の禁止や預金金利の抑制といった金融抑圧政策を実施。 その結果、インフレが進み、株式市場が唯一の投資先となった。

1980-2008年:パックス・アメリカーナの全盛期 - グローバルサイクル

冷戦終結後、米国は唯一の超大国として世界貿易を牽引し、ドルは金融保守主義のもとで価値を高めた。 この時期は、金に対して株式のパフォーマンスが良好だった。

2008年-現在:パックス・アメリカーナ vs. 中東 - ローカルサイクル

2008年の金融危機後、米国は再び金融緩和に転じ、量的緩和政策を開始。 同時に、ウクライナや中東における代理戦争の激化により、世界は再びブロック経済化へと向かっている。 国家は戦費調達のため、貯蓄者への金融抑圧を強めており、インフレ圧力は高まっている。

このサイクルでは、ビットコインという新たな選択肢が登場した。 金と同様に国家システムから独立しているが、デジタル通貨であるため、より速く、より効率的に価値を移転できる。 特に、デジタル化が進み、無限に発行可能な法定通貨との比較において、ビットコインは金よりも優位性を持ちつつある。

量的緩和政策の終焉と新たなサイクルへの移行

2008年以降の量的緩和政策は、市場に多額の資金供給をもたらしたが、その多くは実体経済ではなく、株式市場に流れ込んだ。 企業は、低金利で資金調達を行い、自社株買いを通じて株価を上昇させてきた。 また、中国などへの生産移転によって人件費を抑制し、利益率を高めてきた。 その結果、米国は中国へのサプライチェーン依存度を高め、安全保障上のリスクを抱えることとなった。

今後は、量的緩和政策の終焉とともに、政府による金融抑圧が強まり、銀行融資や財政政策を通じて特定の産業や企業への資金供給が強化されるだろう。 このような状況下では、インフレから資産を防衛するため、ビットコインのようなシステム外に存在する価値貯蔵手段の重要性が増す。

今後の市場展望と投資戦略

米国では、2024年度の財政赤字が1.9兆ドルに達すると予測されており、政府支出の増加は継続する見込みだ。 景気後退の可能性は低いが、金融抑圧とインフレが続く環境下では、ビットコインへの投資が有効な資産防衛手段となるだろう。

過去のサイクルと同様に、政府は金融システムを通じて資金配分をコントロールし、貯蓄者の利益を犠牲にする可能性が高い。 今後注目すべきは、中央銀行のバランスシートではなく、政府の財政赤字と銀行の企業向け融資残高である。 これらの指標を通じて、政府による金融抑圧の度合いを把握することができる。


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