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Monaparty アセットの自動販売機

Dispenser という新しいメッセージが追加となります。Dispenser に当たる和訳はいくつかありますが、このメッセージの働きに最も近いのは「自動販売機」です。
…ですが、Dispenser メッセージの説明は割と長くなりそうなので、稿を改めることにします。

つづき。

BTCPay メッセージも、あった…ような?

Monaparty には、BTCPay というモナコインで Monaparty アセットを購入するためのメッセージが、既にあります。Dispenser は、この BTCPay を置き換えるものとして開発されています。

Counterparty では BTCPay を数年内に廃止する予定のようです。Monaparty も同様の判断を取る予定でいます。

Dispenser メッセージの挙動

どんなものなのか、ざっくりと挙動だけ示すことにします。

まず、アセットをモナコインで売りたい人が、Dispenser メッセージを発行します。

Dispenser メッセージが解釈されると、メッセージで指定したアセットが指定した分量だけロックされます。ロックする量よりも残高が少なかった場合は、もちろん不正なメッセージとして排除されます。

Monaparty ノードは、(Monaparty のではなく、下層の)モナコインのブロックチェーンで、Dispenser メッセージを発行した Monaparty アドレスへの送金の発生を監視します。そのような送金があった場合、ロックしたアセットから、送金された MONA に応じた量のアセットを、送金元アドレスに付与します。

BTCPay との比較

BTCPay は、DEX の機能を用いていたため、いくつかの手順を踏まないとアセットの購入ができず、使い勝手に難点がありました。

Dispenser を用いた場合、購入希望者は、事前に知らされた(またはエクスプローラを使うと知ることができる) Monaparty アドレスへ MONA を送金するだけでアセットを手に入れることができます。BTCPay に比べると、かなりシンプルで使い勝手も楽でしょう。

Dispenser メッセージの使いどころ

Dispenser メッセージは、かなり広範囲に使えそうですが、いくつか想像しやすいものを例示してみたいと思います。

まず、投げ銭へのお礼があるでしょう。

もう 5 年前になり当時を知らない方もいらっしゃる気もするので注釈します。Counterparty が登場した頃の暗号通貨系のブログでは「投げ銭(ビットコイン)をくれたなら、ブロガーが発行したトークンを投げ返します」という遊びが、(特に日本で)流行りました。その時代に Counterparty に触れていなかった方は、CNPCOIN とか SHUMAI とかでググると歴史をたどれると思います。(たとえばこのような)

おそらく当時は手作業で返していたと思うのですが、Dispenser メッセージを使うことで、上記の「投げ返し」作業を Monaparty に丸投げすることができるようになります。

そして、Monacard の販売もあり得るでしょう。

現状でも Twitter を介した Monacard 頒布の手段として、"モナパちゃん" という有力なサービスが稼働しています。

しかし、Twitter の規約変更リスクが常に存在すること、基本無料の頒布となるため絵師さん方々への厚意に頼る形になりやすい、頒布直後はトランザクションに刻まれないのでトラストレスではない、など、(世界中のあらゆるサービスが万能ではないのと同じで)モナパちゃんでは解決できない課題はあります。

解決できない課題が障壁となるようなケースで、Dispenser メッセージが選択肢となる可能性はあるでしょう。

Dispenser メッセージの死角

なんだかとても便利そうな Dispenser メッセージですが、弱みもあります。

技術的に見たときの最大の弱みは、"売り切れ時の対応" です。預託したアセット全部が売れた後に MONA を送られた場合、Monaparty ノードは何もしません。このようなケースに対しては、手動でアセットを送るか、事前に「売り切れ後に送られたモナコインは寄付と見做します」宣言するか、何らかの対応が必要になります。

そして、法的な弱み…というか日本の資金決済法対応で悩ましい点…は、使われ方によってはアセットの一部が二号仮想通貨と見做され得るというところにあります。

本家 Counterparty での議論を追っていると、Dispenser メッセージのユースケースとして、ICO 目的のトークンセールが含まれているように読めますし、やろうと思えばできます。本稿読まれる方なら常識と思いますが、トークンセールは資金決済法的には完全にクロの扱いです。Monaparty としては、日本国内においてそのような利用を決して推奨しませんが、積極的な排除もできません。"運営" のコントロールが効かないのが暗号資産なので。

まあ、現状の Monaparty やモナコインの立ち位置から考えて、これらで ICO しようと企む人が出るとは考えづらいのではありますが… (やるなら BTC を集めやすい本家 Counterparty を使うでしょう)

Monaparty 固有の事情

Monaparty には、本家 Counterparty には無い「上場不可」「再移転禁止」というフラグがあります。これらフラグと、Dispenser メッセージとの整合を取らせる必要があります。

まず、再移転禁止フラグが立っているアセットについて。アセット所有権を持っていないアドレスからの Dispenser メッセージは不正と見做します。

次に、上場不可フラグが立っているアセットについて。今回は、上場不可フラグが立っているアセットを対象とした Dispenser メッセージは不正と見做します。

この判断には、悩ましいところがあります。上場不可にする意図は2つ考えられるからです。一つは「2号仮想通貨に該当するリスクを避けたい」、もう一つは「板取引で投機的な売買をされたくない」。後者の場合には「上場は嫌だけど MONA で売りたい」は有り得そうです。しかし今回は、将来的な緩和の可能性は残しつつ、資金決済法的に安全な側に倒す判断としています。

まとめ

2019 秋の Monaparty 祭りで追加が予定されている Dispenser メッセージについて、概説しました。

いろいろなアプリケーションで使える懐の広い機能と思うのですが、使いどころを間違えると日本では資金決済法に抵触しかねません。そのあたりを踏まえたご活用を切に願う次第です。

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