2018年、私の3枚


旅に出る準備/Czecho No Republic

アニーバーサリーイヤーである今年、チェコはこの集大成の向こうの未来が楽しみで仕方ない1枚で私をそれはそれはドキドキさせてくれた。

でもバンドって本当に生モノで、大事なお知らせって本当にえ?今?みたいなタイミングでお知らせされて、ちょっと辛くて聴けない時期があったりもして。

「5人になって5周年!」の謳い文句と一緒に開催されるはずだったリリースツアー大阪開催日の4月20日、クアトロで4人はフロアに向かって深々と頭を下げてた。その後のミニライブの1曲目がLALALAで、流石ちゃんと遜色無い演奏でホッとした、ホッとしたけど、遜色無いとか思ってる自分が本当に嫌で、悲しかった。
「アンコール、歌える曲が無いんです」って謝る4人を見ていられなかった。笑顔で始まって笑顔で終わるのが当たり前のチェコのライブで、あんなに胸が痛いのは初めてだった。


でも4人は4人で歩くこれからの道をしっかり見据えてて、その沿道に私が居ることを望んでくれていた。そして5ヶ月後、私は最高の瞬間に立ち合う。

「紛れも無い良い夜だ」

そう言ってホロっと泣き出して、慌てて拭うマイちゃんの歌うファインデイに貰い泣きした夜。でもこの涙は良いんだよ。Springが少し出来立ての傷口にしみたけど。こんなの無礼講だ。

シンプルな作りにしてしまうんじゃなくて部分的にベースソロ・ドラムソロが加わったり、また新しい胸をくすぐるメロディラインに変わっていたり、既存曲のアレンジはどれもこれからの可能性を感じずにはいられない最高なものばかり。このバンド、本当にすごい。

この日を楽しみに過ごした私の5ヶ月も、振替公演を目指してひた走ってくれた4人の5ヶ月も、どっちも大事な"旅に出る準備"だったんだと思った。
こんな巧妙な伏線張るなんて狡い。狡すぎる。

チェコノーリパブリックにしか鳴らせない音楽を、これからもずっと鳴らし続けてください。こんなにも私の毎日を彩ってくれてありがとう。


タイム・ラプス/きのこ帝国

大好きなはずの自分が大嫌いになるほどうんと向き合わないといけないこの1年、きのこ帝国は懲りずに2度目もこうして音楽で寄り添ってくれる。
15歳の私は焦燥を絵に描いたように出来損ないの日々に追われていて、そんな私の背中を毎晩さすってくれたのは「猫とアレルギー」という1枚のアルバムだった。

いつまで生きればいいの
ああ、来世でも思い出す気がするよ
ねえ、なんでだろう少しだけ泣きそうです

1曲目のWHYを再生した途端、初めて聴くはずのこのアルバムで当時の気持ちがフラッシュバックして鼻がツ、とした。ここで聴くのを辞めてしまおうかと思うほどの期待値の高さに、ちょっと怖さすら覚えた。

I hate you & I love you 
But I don't know 君の心
I hate you & I love you 
Tell me now 誰を想ってる?

2曲目、&という曲、私がこのアルバムで1番好きだと思う曲、気付けばサビを通り過ぎて泣いてた。
千亜妃さんの声で歌われるためにこの世に生まれてきた言葉たち。

もう一曲だけ書き留めておきたい曲がある。金木犀の夜、という曲。

だいたい夜はちょっと
感傷的になって
金木犀の香りを辿る

この三行できのこ帝国と分かる。私のちょっと感傷的な夜を救ってくれるのは何年経ってもきのこ帝国です。これからもずっとそうです。


アイデア/星野源

朝ドラヘビーウォッチャーの母のチャンネル独占権によって半年前から延々と私を起こしてくれた曲のこと、すっかり知り尽くしていると思っていたのに何も知らなかった。
お馴染みであるマリンバの音色と何処か覚えのある歌詞たち、マリンバに釣られて次はサケロックでも流すかななんて呑気に聞き流してちゃだめ、そうして配信日深夜0時の私は腰を抜かすことになる。

2コーラス、静寂と打ち込みの音の中で淡々と歌われる歌詞は1コーラス目の明るい朝の印象とは打って変って、夜の闇とも取れる精神世界を歌う。サビ前に至っては「中指を」なんて歌う。
エレクトロニックなムードの尾を引いたまま、Cメロは弾き語りパートに変わる。信じられない。
最後は大サビの合図と一緒に、朝の花火が開いて散るように終わる。開いた口が塞がらないとはこの事。

音楽家じゃ無いので素人っぽい見解になってしまうけど、あくまでメロディーを変えないままであれだけの表現を1曲の中に綺麗に収めるのってそんなに容易なことじゃないと思う。

あと、「僕のアイデアたちの供養だ」というお葬式がテーマのMVには膝から崩れ落ちた。そのアイデアがもう普通じゃない。凄い。月並みだけど本当に、本当に凄いって言葉だけがぽろぽろ溢れる。零しても零してもまだまだ溢れる。

そして何より、いつ片時も離れず私の側をぴったり寄り添ってくれるような温かさと、さりげなくも無理矢理明るいほうへ連れて行ってくれる無条件な希望がぱんぱんに詰まってるこの曲が好きだ。

星野源と同じ時代に生まれたことを本当に幸せに思う。そして、彼の音楽の緻密さとあどけなさを凄いと思える私であることが嬉しい。何度だって星野源の音楽に救われる自分で居たいー。

とまあこんな感じで、書ききれない多くの名盤もそのままに2018年を締めくくってみました。「今を生きて」を聞いてじーんとくる大晦日。今年はアジカンのツアーに連れてってもらったのも大きい出来事だった。念願だったこの曲が頭の上から降ってきて、形容し難い幸せ味わえたなあ。

勝負の年、勝負が案外あっさりと過ぎ去ってしまう気がしないでもないが、勝ち越してみせます。いいや勝ち越さなきゃ2019年、呑気に音楽なんて聞いて生きてゆけない。カモンバッチコイ!

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