時空を超えて来たるもの〈■幕間の物語〉

ヒスイ地方のポケモンが頻繁に見られるようになった話です。

※時間軸は『真夏ノ巨人ノ巣穴』から1ヶ月程過ぎた頃です
※視点はモブキャラクターです


「最近、コランダ地方の至る所に奇妙な空間が現れるようになったんです」
 スルトの火が降り、夏のラーン湾と時忘れの歪の調査後の話……。何気なくTVをつけるとパパラチア博士が映っていた。沢山の記者に囲まれ、カメラのフラッシュの雨の中、淡々とした口調で語っている。
「そしてそこからはコランダ地方でも稀に見るポケモン達が次々と発見されるようになりました。専門家の間ではスルトの火との関連性が疑われていますが、まだ原因解明には至っていません」
 パパラチア博士の言った通り、確かに最近コランダ地方の各地で奇妙な空間が発生するようになった。SNSでもその話題で持ちきりらしく、次々と奇妙な空間の写真がアップされている。中には空間内へ侵入して自撮りをしたり、その中で発見した珍しいポケモンを撮影した写真も上がっているが、大体は強いポケモンに遭遇して命からがら逃げ延びたという発言の方が多かった。現にその危険性を重く見たリーグ協会は世間に対し、「奇妙な空間を発見してもなるべく近づかないように」というお達しを出している。
「我々は大昔の文献にちなんで、この空間を『時空の歪み』と呼称することにしました。内部の調査はリーグ協会が中心となって行われる予定ですが、一般トレーナーからの報告も随時受け付けていますので何かありましたら当研究所までご連絡ください」
 記者会見が終わると、TVを見ながらいじっていたスマートフォンを置いて伸びをする。そして、ふと窓の外を見ると遠くの草原に写真で見たあの奇妙な空間……時空の歪みが音も無く現れていた。目にした瞬間、背筋が凍りつくのを感じた。あれは近づいたら危ないと、これだけ離れていても肌で感じる。一体、コランダ地方に何が起こっているんだろう。そう思いながら横にいる相棒を見ると向こうも困ったようにこちらを見上げていた。


※第二イベント『真夏ノ巨人ノ巣穴』後、コランダ地方の各地で『時空の歪み』が発生するようになりました※