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第3話 きのホ。は本当にあったんだ。父さんは嘘つきじゃなかった。

2021年10月16日、ついにきのホ。が東京に上陸した。
お披露目からツイッター、YouTube、音源配信と活動を追いかけてきたものの、全てはネット上でのことであり、それ自体がネガティブな意味を持つことはないけど、やはりアイドルであるからにはライブを観てなんぼである。
基本は京都のグループであるし、関東に遠征ライブに来てくれるのも特別なことかなと思ったので観なければ、と思った。(今は割と東京のライブも発表されてますが)

ちょうど同日に近くの新宿MARZでライブをしてたくぴぽの昼現場を颯爽とこなし(めちゃくちゃ楽しかった)、カレーも食べて準備万端、僕は新宿LOFTへと向かった。
アルバム「きのうまではポジティブでした!」サブスク配信時にタイムラインが盛り上がり、その後も少しずつ周りのオタクにきのホ。の存在が浸透していたのを目の当たりにしていたため、現場には当然のように知り合いがたくさんいた。
そんなにきのホ。に関してのツイートをしていなかった知り合いまでいたのは驚いた。僕の体感ではあるが、本当に注目度が高い。
初めましての人も何人かいて、新しい始まりを感じさせるこういう場は本当に面白いしワクワクする。
僕は一応ファンクラブにも所属しておりそれなりに早い番号のチケットだったので早々に入場し、2列目のドセン付近に入ることができた。
そのまま物販へ。噂に聞いていた運営さんからの粋な計らいのサイリウムも見かけたが、持参していたので固辞しておいた。
物販にもスタッフの方が2名いて、スタッフの多さにビビってしまう。スタッフ不足でメンバーたちが物販やったりチェキ撮ったりというのも地下ではよくあることなので、いやはやこれは一線を画すなァと思った。

開演時間までオタクとしばらく談笑した後、まずはLOVE CCiNOのステージがスタートした。
まだデビューして2か月ほどのグループで失礼ながら僕は全く知らなかったけど、ポップで親しみやすい楽曲としっかり完成されたメンバーのパフォーマンスがとてもよかった。MCもしっかりしていて、フレッシュさはあるけど、言われなければデビュー直後のグループとは思えない完成度だった。

つづいてきのホ。のステージ。
ここで思ったのが、まったくの前知識なしでお披露目ライブを観に来た方が気楽だなぁっていうこと。メンバーの顔も曲も何もかも分からないので、身構えようがないからだ。
きのホ。の場合は前述の通り、ネット上で事前に活動やプロモーションを展開してきているため、メンバーの顔を知っているどころか、パーソナルやある程度のバックストーリーまで知っている状態。どうしても気構えてしまうなと思った。まぁそんなフラットな状態で観る必要はないんだけど。むしろ気持ちがのっている方が楽しい。

噂には聞いていたSE替わりのemo衛門のイントロ拡張バージョンがスタートし、メンバーが板についてそのまま歌がスタートする。
色葉ちゃんが歌いだすと、全ての不安や期待がふっとんだ。
期待までふっとんだとはどういうことなのか。
それは僕が抱いていた「アイドルの初ライブ(3回目だけど)ならこれぐらいはできてるといいな」というスレた考えからきた期待である。
きのホ。のステージはそんな浅はかな考えをはるかに凌駕していた。

それは完成度の高さであるとかダンスや歌唱の技術が高いとか、そういうところでの驚きではなかった。
もちろん、お披露目から3回目のライブという注釈が入れば、完成度は単なるお遊戯会、発表会のレベルなどとうに超えていた。
しかし、一番感じられたのは”熱“だ。
新宿LOFTという場所にメンバーが萎縮している様子は感じられなかった。emo衛門、観月京と進むにつれ、覚えるのに難いであろう独特なダンス、フォーメーションもしっかり決まってはいるが、それ以上に迸るような荒々しい”熱“が先に目に耳に飛び込んでくる。
とにかく、がむしゃらだった。皆、歌とダンスにいま持てる全てをぶつけ、フロアに向けて笑顔を投げかけ、全力で表現することを楽しんでいた。

僕がアイドルという文化を好きになった理由が、ここにあった。

ルックス、楽曲、ダンスという表面的な要素はもちろん、メンバーたちの性格、背景や人生の文脈、そういったすべてがステージに収束し炸裂するのがアイドルだ。どれか一つをとってどうこう言えるものじゃない、ドキュメンタリーでありエンターテインメントだ。
アイドルは人間賛歌だ、と常々言っているが、僕はそれを感じていた。

ライブはFC限定楽曲の来来来や予言者などを挟みながらどんどん進んでいく。その間、余計な思考を挟む余裕がないほど圧倒されていたし、彼女たちの作り出す空気の中に身をゆだねているのがとても心地よかった。

爛漫の前に挟まれたこはるちゃんのMCは内省的な内容で、きのホ。のメンバーはみな、きのホ。になるべくしてなったんだなぁと思えた。
それぞれが劣等感や孤独感を抱えながら、それでもアイドルに希望を見出して生きてきて、お互いに出会って、きのホ。として生まれ変わってここにいる。
それは運命と言ってもいいかもしれないが、各々がはっきりした意志を持ってここにいるわけで、この6人が集ったのは必然だろうと思った。

きのみきのままで感動的なゴールを迎えた後はアンコール。
ここからのMCはインスタライブでも中継されたので省くけど、うすた先生の愛ある絡みがとても素敵だった。

最後の最後は始まりの曲である観月京。
このライブでは2回目となるが、メンバーたちが推しカラーTシャツに身を包んだラフな格好で披露されたそれはここまでのツアーの総括をするような、いま彼女たちの中にある感情をすべてぶつけるような溌溂として多幸感に溢れたパフォーマンスで、最高に素晴らしかった。

あれから1週間経つが、いまも余韻に浸っている。
だが、きのホ。は既に動き出している。
11月にはライブが数本控えているし、これからどんどんライブの予定は増えるだろう。既に新曲のレコーディングなども行われているので、年内もまだ楽しみが多い。
あまりの充足感と多幸感に勝手に一段落つけてしまったが、まだきのホ。は始まったばかりだ。
これからも僕の理想のアイドルきのホ。の行く末を見ていたい。

(これからも道は)つづく、

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