グノーシス主義とは
宗教は分岐、ルーツを辿るとキリがないし、これから調べる予定で自分自身まだまったくよくわかっていないのであくまでも自分なりの解釈で簡単な概要だけ書いてみます。
・グノーシス主義とは
今回は中学生大好き、厨二設定でおなじみ(?)のグノーシス主義についてです。
グノーシス主義とはキリスト教異端とも言われています。
グノーシス主義について説明するには
キリスト教とグノーシス主義の違いを比較してみるとそれぞれの特徴がきわ立ち理解しやすいです。
❶霊肉二元論について
どちらも霊肉二元論の立場をとっています。
まず、霊肉二元論とは何か?について
ところで
心の哲学という分野に
1.心身一元論
2.心身ニ元論
というのがでてきます。
心とは何か?といった際にしばしば使われる考え方です。
1.心身一元論
人間の体を機械ととらえ、様々な部品と部品が連動するからこそ生じるのが心で、部品である脳が損傷して壊れてしまうと連動できなくなり機能が停止して心はなくなってしまうというのが心身一元論
2.心身二元論
身体と心は分離していて、それぞれ独立して存在しており、たとえ身体の機能が停止しても心は別なので、機械である身体が壊れても心は存在できるというのが心身二元論の考え方
先の霊肉二元論というのも考え方として基本的にはこれと同じであり
霊=心
肉=身
と単に表記が変わるだけ。
(霊と魂は違うとか細いのが本当はあるけどね)
・霊肉二元論それぞれの考え方について
[キリスト教]
キリスト教は多くの人の罪をたった一人のイエスがすべて背負って、犠牲になったことで多くの人が救済された。
また、金曜日に亡くなった後、日曜日に復活し奇跡を起こした。
[グノーシス主義]
一方、グノーシス主義は肉体は霊の牢獄であり、牢獄である肉体から離れることを救済とします。
比べてみましょう
●←肉体+霊
○←肉体
[キリスト教]
●(はりつけ)→○(死、犠牲[金曜日])→
●(復活、奇跡[日曜日])
[グノーシス主義]
●(肉体は霊の牢獄)→○(牢獄である肉体から霊が解き放たれ救済)
これグノーシス主義からみるとキリスト教はせっかく肉体から霊が解放できたのにまた肉体に戻っちゃってイエスが救済されてないじゃん!ってなってるのわかりますか?
これがグノーシス主義が異端と言われる要素その1ですね。
❷「グノーシス」の意味と目的、グノーシス主義でいう救済とは
先程、グノーシス主義は牢獄である肉体から離れることを救済といいました。
さらに具体的にいうと
そもそも「グノーシス」とは古代ギリシャ語の普通名詞である「認識」や「知識」を意味します。
ユダヤ教やキリスト教の神やイエスは悪しき造物主(デミウルゴス)であり
この世界はまやかし、嘘の世界。
この世界を超え、離れた上位世界というのがあり
ユダヤ教やキリスト教とかの神は偽物、上位世界に真の神(超越神)がいると考える。
異端要素その2です。
上位世界を「認識」し、この世界から離れ、超越神(?)がいる上位世界に帰ることをグノーシス主義では救済とします。
物理世界はまやかしで、それに気づき(認識する=グノーシス)、そこから離脱してまた別の上位(?)世界に行くというのがグノーシス主義の考え方です。
偽の宇宙、真の宇宙ということで反宇宙二元論と言ったりします。
(映画マトリックスもこのような考え方ですね)
❸創世記の知恵の実の解釈の違い
ユダヤ教、キリスト教は男性優位の宗教とされています。
その論拠に旧約聖書の創世記の記述を挙げています。
それでは、代表的な二点を紹介します。
[一点目]
旧約聖書では神は人間の男性であるアダムを創造し、その後アダムのあばらの骨を1つとって、女性であるイヴを造った
①女性はもともと男性の一部だった。
[二点目]
神に善悪を知る木の実である知恵の実だけは絶対に食べてはいけないと言われていたのに
イヴは蛇にそそのかされ食べてしまった。しかもアダムにも食べることを勧めた。
よって、人類は原罪を背負い、エデンの楽園から追放されてしまった。
②女性であるイヴの行為がきっかけとなり人類は原罪を背負うことになり、エデンの楽園から追放されてしまった。
ユダヤ教、キリスト教ではこれらの記述を男性優位の論拠としてあげています。
一方、私が考えるにグノーシス主義ではこれを逆にとらえよくやった!蛇!イヴ!と考えます。
知恵の実を食べたからこそ、知識(認識=グノーシス)をイヴは得ることができた、それをそそのかした蛇、勧められて後に食べたのはアダムということでグノーシス主義では女性のほうが優位と考えます。異端要素その3。
これらがグノーシス主義の簡単な概要です。
キリスト教と比べることでグノーシス主義とは何か?なぜ異端なのかわかりましたでしょうか?
グノーシス主義はこの後、アウグスティヌス『告白』のマニ教などの思想に繋がっていきます。
最後にこれを書くにあたって、参考した本を紹介します。
古代秘教の本/古田敦彦(学習院大学教授)、くとうおん(作家)、松田和也(翻訳家)、東雅夫(幻想文学研究家)、藤巻一保(作家・宗教研究家)、豊島泰国(作家・宗教研究家)、ほか
学研プラス/1996
古代秘教の本―太古神話に隠された謎の秘儀と宗教 (New sight mook―Books esoterica) https://www.amazon.co.jp/dp/4056013802/ref=cm_sw_r_cp_api_i_Co07DbAJEYWWK
学研が出してる○○の本シリーズは写真も載っていて、入門書なのに結構込み入った話も載っていて優れた名書です。
グノーシスの神話/大貫 隆 訳・著/講談社学術文庫/2014
グノーシスの神話 (講談社学術文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/4062922320/ref=cm_sw_r_cp_api_i_Zu07DbAK3H3GS
グノーシス主義、マンダ教、マニ教の解説、原典を引用しながら解説しています。文庫本だしグノーシス主義をやるならとりあえず買っとけって本です。
グノーシス 古代キリスト教の〈異端思想〉
/筒井賢治/講談社選書メチエ/2004
グノーシス (講談社選書メチエ) https://www.amazon.co.jp/dp/4062583135/ref=cm_sw_r_cp_api_i_wy07Db25SBQTF
グノーシス主義の基本的な概要とその派生について解説している本です。
以上
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