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百合漫画総評007 - 雨でも晴れでも

まえがき

去年末からものすごく良い作品に出会ってしまって書きたい事この上ないのだが、色々と理由があっておそらく出すとしても年末以降かなと……
作者の忙しさの話ではなく心情的な問題なので、通常通り他作品についての寸評・総評は続けていくのでご心配なく。

本題

作・あらた伊里 (tw)
既刊:3巻
発売:2020/06/27

あらすじ

山田美古都(やまだ・みこと)は自分にコンプレックスを抱える高校生。それが故に友達は一人もおらず、毎日放課後は学校近くの有頂天神社でひとりお茶を飲むのが習慣となっていた。
しかしある日、生徒会の猫崎蓮(ねこざき・れん)が神社に現れ、美古都および神社での活動を「巫女部として承認した」と告げる。
実際は猫崎の私的行為によって承認された巫女部だったが、やがて神社は他の「寄せ集めの部活たち」の溜まり場になっていく。
猫崎の思いと美古都、そして寄せ集め部活内での関わり、そして生徒会を巻き込んだ青春が始まろうとしている。

作中環境

基本環境:学生
百合要素:すれ違い百合
辛い要素:B-

百合×青春×ややギャグ×複数CP

作者が言及しているとおり、元々ギャグめで書いていた作品を直した作品とのことで、本編中にはゆるりとした『面白さ』が流れている。が、その背景にはしっかりとした百合の基本的要素(感情の行き違い・嫉妬・和解)が敷かれており、それらが強い反発を起こすことなく処理されている。
また、作中のメインは山田と猫崎だが、部活動の他のメンバーにも絡みが存在し、しかも作中で全て解決されている。ようやっとる。俺なら狂う。

百合が不完全であることへのアンチテーゼ

形而上学的な話でアレだが、百合作品の良さは『背徳的な恋愛感情から始まる作品全体としての(雰囲気の)歪さ』がキモだと考えている。
前節の話からお察し頂けるだろうが、この作品はその大きな流れから少しずれて『誰一人大きく損せず円満に解決する百合』へ近づこうとしている。
平たく言うと『日常系百合ではない百合だが一般向けを目指している作品』という言葉になってしまうのだが、ちょっと表現が極端すぎるのであまり悪い広め方をしないように。
当然、セオリーを逸脱する作品は好みが分かれる作品と貶められがち(クソデカ述語)なのであるが、3巻で完結している(長くない)という丁度良さもまた、この作品全体の評価点と言えるのではないだろうか。

あとがき

珍しく絵がないとさみしいね(今回は作風的にギャグ・シリアスのメリハリがあって、どのコマも偏った紹介になってまう可能性があったのでナシにしました。詳しくはほんへ読んでね)。

それではまた。

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