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CROSS ACCELERRATOR 03 空間を自由に。

ミクシィが主催するCROSS ACCELERRATORとは?

「CROSS ACCELERATOR(クロス アクセラレーター)」はミクシィのデジタルエンターテイメント事業部が始めた新事業。これから先の時代を担う「ポストソーシャルゲーム」をともに作るため、スタートアップに広く募るかたちで開催しています。2020年の3月に始動したこのプロジェクトは企業も公募しています。

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登壇者

・一般社団法人渋谷未来デザイン 理事/事務局次長 永田 新子様

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AT&T、ノキアにて情報通信および企業システム・サービスの営業、マーケティングおよび広報責任者を経て、2007年にレッドブル・ジャパン入社。最初の3年間をコミュニケーション統括、2010年から7年半をマーケティング本部長として、日本におけるエナジードリンクのカテゴリー確立及びレッドブルブランドと製品を日本市場で浸透させるべく従事し、2017年に退社し独立。2018年4月より現職。その他、NEW KIDS株式会社代表として、企業ブランド、コミュニティ・アスリート・イベント関連のアドバイザーやマーケター向けキャリア支援活動を行っている。初の著書「アスリート×ブランド 感動と興奮を分かり合うスポーツシーンのつくり方」(宣伝会議)を2020年5月に出版。

・株式会社カヤック Creative Director / Planner / Technical Director 天野 清之様

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技術と表現を組み合わせたコンテンツ開発で様々な賞を受賞。ジャンルを超えて、映像、展示、VR、と没入感をコンセプトに企画・開発をしています。グラミーノミネートアーティストKhalidのミュージックビデオを監督『傷物語VR』PlayStationAward2018ノミネート、『からかい上手の高木さんVR』Steamストアランキング上位を獲得し絶賛第二期制作中。

・ファシリテーター 株式会社ミクシィ インキュベーション事業部長 江本真一氏

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NECにてインフラエンジニア、新規事業でのWeb2.0、コンテンツ管理領域ソリューションに携わり2011年グリー入社。SNS事業クリエイティブセンター統括、VRやVTuber事業といった新規事業を推進。ミクシィ入社後はデジタルエンターテインメント事業本部にて、ゲーム開発、M&/PMI、エンタメ事業全般の推進を担当。

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今回は、一般社団法人渋谷未来デザインで、渋谷区公認の配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」を運営した経験を持つ長田さんと、面白法人カヤックでXRの仮想空間の開発に携わる天野さんがご自身の経験や、街とひと、空間とひとについて語ります。近未来のような出来事がすぐ近くで起きていることを感じる1時間になることでしょう。さっそく見てみましょう。


今回のトークテーマは「バーチャル渋谷」。既にアクセスした方もいらっしゃるのではないでしょうか。渋谷区公認のバーチャル空間ができた理由として、渋谷区は街を使った実証実験を行っていたことや渋谷の可能性や都市の未来を追求していたという背景があったことが語られています。4月に『攻殻機動隊』とのコラボを渋谷全体で行う予定がコロナによって渋谷に人が居なくなってしまったこともあって、予定を前倒しにして「バーチャル渋谷」と『攻殻機動隊』のコラボを行うことになったことや、5万人もの人が参加し様々な意見を「バーチャル渋谷」に寄せたことが語られました。意見の中には「こういう使い方はできるの?」「バーチャル渋谷の中に家を建てたり、お店を開いたりしてみたい」といった数々の要望が届いていおり、この放送の間にも「バーチャル渋谷にはECサイトはあるの?」などの意見が寄せられ、期待の高さを感じさせる一幕も。XRの開発に携わり続けてきた天野氏は、バーチャル渋谷などが発展する中で、「アバターネイティブ」と呼ばれる新たな世代が登場するのではないか。それは生まれた時からデジタル機器が周囲にあった世代「デジタルネイティブ」のように、生まれた時からアバターが周囲にあり、バーチャル空間とリアルの両方の世界で生きることを当然とする世代の登場につながるのではないかとコメントしました。

期待の高まる「バーチャル渋谷」を踏まえ、トークテーマはデジタルとリアル空間の可能性に移ります。まずは天野氏の取り組みについてトークが始まります。天野氏は国内の企業とVRの可能性について共同研究しながら模索し日々アイデアやデザインを行っている一方、アニメやゲームとXRの融合によって、違う切り口の作品が生まれると考え従来のアニメーションではできないような、自分がアニメーションの主人公になって自身のリアクションで物語に影響を与えることや、個々人のアバターが様々なコンテンツと共有されることでシームレスに他の世界、例えばバーチャル渋谷と他のコンテンツに自由に移動ができるようなれば新しい体験ができると考えていると述べました。長田氏はデジタル空間は単に空間を作るだけでなく空間を利用する人が豊かになったり、新たなアイデアを生み出すことができる街になってほしいと述べ、それはリアルの渋谷という街にいる人たちが魅力的で一緒に仕事をしたいと思える街であり、自分が都市空間を作るときも魅力的な人の集まる場所にしたいと語りました。「バーチャル渋谷」はまだ始まったばかりですが、すでに多くの人の期待があり今後の動向にも注目したい動きになっています。

第三弾目_トークテーマ①


トークテーマ

バーチャル渋谷

江本:みなさんこんにちは。ミクシィの江本です。3回目のアクセラレーターのウェブセミナーとなりますが、エンタメ業界でどんなことが起きているか、今後どうなるかを1時間という時間で探っていきたいと思います。今日も素敵なおふた方をゲストにお招きしております。おひとり目は渋谷未来デザイン理事の長田さんです。レッドブルの日本支社のチーフマーケットオフィサーとして「エナジードリンク」という言葉を生み出した方でもあり、最近は「レッドブル流スポーツマーケティング アスリート×ブランド」という本を出されました。この本は私も読ませていただいたのですけど、マーケティングの本というよりは泥臭くスポーツ関係者の方と新しい概念を作っていく、というストーリーになっていますので興味のある方は読んで頂ければと思います。それでは自己紹介をお願いします。

長田さん:長田さん:一般社団法人「渋谷未来デザイン」という渋谷区の外郭団体に勤めております長田と申します。AT&Tやノキアという通信企業で営業やマーケティングをやりながら、広報に携わったことでレッドブルに入りまして10年半マーケティングの仕事をしてまいりました。その時はイベントやブランドとかいろんなことをやったんですけど、縁がありまして渋谷のお仕事、まちづくりのお仕事をすることになりました。それ以外にもマーケッターキャリアの仕事、ブランドの仕事もしながら、5Gと「バーチャル渋谷」というこれから街の進化についてチャレンジしている状況です。本は団体と関係なく個人で出していますので、よろしくお願いします。

江本:ありがとうございます。お二人目は面白法人カヤックのクリエイティブディレクターの天野さんです。天野さんはカヤックに所属され、カヤックのアキバスタジオでCXOをされています。XはXRのことで最近はVRアニメにも取り組まれているということで、今日はお話を楽しみにしております。

天野さん:面白法人カヤックのクリエイティブディレクターの天野と言います。僕はデザイン、プログラムの現場経験が20年ぐらいあるのですが、最近ではVR/ARの企画、制作に携わっています。VR/ARは、新しく生まれた「おもちゃ」だと思うので表現を探っていきたいと考えています。本日は、制作で経験した事を交えながら長田さん、江本さんと一緒にお話しできればいいなと考えております。よろしくお願いします。

江本:天野さんありがとうございます。早速テーマに入っていきたいと思うのですが、視聴者の皆様にお願いがあります。ZOOMの質問機能がありますので、気になることがありましたら、お気軽に質問をお願いします。タイミングが合えば取り上げさせていただきます。ではテーマ1に行きましょう。トークテーマは「バーチャル渋谷」ということで、長田さんが「バーチャル渋谷」を推進されているので、お話を伺いたいと思います。

長田さん:まず、未来デザインって何?というお話からさせていただくと、2018年の4月に立ち上がっていて、オープンイノベーションハブということで渋谷の可能性や都市の未来を追求するものなんですね。都市のあり方、住んでいる人、働いている人、遊びにきている人のことを、行政だけでなく企業やクリエイター、アーティストいろんな方と一緒にチャレンジしていきながら、街を舞台に実証実験をして「色んなことを作っていこう。価値を出していこう」というものです。そんな中、5G×街という形で新しい時代に向けて立ち上がったのが渋谷区公認「バーチャル渋谷」です。次のページ見ていただくと、天野さんに質問なんですけど、左側はこれ渋谷ですね。右の画像はバーチャルでしょうか?リアルでしょうか?

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天野さん:リアルに見えますね。

長田さん:この右側はロシアの赤の広場ところなんですけど、我々はイベントをやったことがあって、最近人に聞いた時に、どっちがバーチャルなのかリアルかわからないねという声があって、リアルとバーチャルが両方とも補完的だったり行き来したりする世界観がくるんだなと思っています。なぜバーチャル渋谷ができたかというと、昨年から街を舞台に色んな実験をしていたんですね。ARを街で体験したり、VRを使ってどうやって街を回遊してもらうのか、あるいは街でアーティストの音楽をいろんな人に聞いてもらいたいとかを実際やった流れで、当時4月ぐらいになるとインバウンドがたくさん来てこのような体験を提供できるんじゃないかと思っていた訳です。ちょうど日本で『攻殻機動隊』がネットフリックスさんから全世界に向けてリリースされるので渋谷の街を『攻殻機動隊』を楽しみながら回遊してもらおうという計画をずっと練っていたんですよ。パルコさんとか色んな方たちの場所を調整しながらやっていったのに、4月にコロナで自粛で渋谷に人が居なくなり、でもコンテンツはリリースし、私達は渋谷のアピールをしたいことから急拠方向転換したのが実は5月19日にリリースした「バーチャル渋谷」なんです。実はこんなことを企画してやっているんですが、ミクシィさん含めてたくさんの企業がこの渋谷5Gエンタメプロジェクトに参画してくれていて、面白いのが様々なジャンルの企業が50社以上も参加してくれたことですね。エンタメ、IT、アパレル、ディベロッパーや商業施設と多彩です。

「バーチャル渋谷」ですが、では実際アバターで中を歩いたりと、割とリアルな渋谷を再現しながらも、ちょっとバーチャルなテクノロジー感をだしてわくわくする街にできました。現実の渋谷では壁面がないところにも、看板を置いたりもできます。渋谷区って、渋谷に通常住んでる23万人プラス1日に渋谷駅の乗降者って延べ300万人いるんです。街の未来を作ってる時に、街のブランド価値がすごく大事で、街に集う人たちがシティプライドみたいなものを本当に持ってやっていくことがすごく大事だと思ったので、コロナ禍で大変な状況でもあるんですけど、みんなで力を合わせてやっていこうと「バーチャル渋谷」への期待もすごくあって。色んな人達からフィードバック貰ったり「こういう風に使いたい」という問い合わせが毎日来てます。渋谷って文化を凄く大事にして、文化を繋げたいのでこういうYOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディングをはじめて、ちょうど募集してるのがバーチャル渋谷民なんです。バーチャルからリアルな渋谷を応援していこうということで海外ではe-レジデントという取り込みもされてるんですけど、渋谷区としても新しいことにチャレンジしていこうとしています。バーチャル渋谷って空間を作っただけじゃなくて今後はバーチャルからリアルも応援しながら一緒に行き来できるようなこともやっていきたいので、初代バーチャル渋谷民を募集しています。

天野さん:長田さんの取り組みは素晴らしいと思っていて、僕は仮想空間と自分たちがもっと密接になっていくと信じてこういう分野のことやっているのですけど、気になってくるのは仮想空間の渋谷と現実の渋谷がどういう役割をしていくのかです。

長田さん:面白いなと思ったのが、「バーチャル渋谷」スタートの5月19日にイベントをやったんですけど、5万人の人が見に行ってくれたんですよね。中にアバターとして入った人もいればYouTubeなどでみてくれた人もいたので、SNSで接触した人や海外からも渋谷を知っている人が、「本当に渋谷に遊びに来た感覚で楽しかった」って言ってくれました。渋谷のスクランブル交差点は世界に常に発信されている場所なので知名度もあって、皆さんが来た時に「あっ」って反応があって、空間づくりに象徴的なものって必要なんだなって思ったんですね。その他にもさっき天野さんが言われた、インターネット上の分身というか、ちょっと違う自分みたいなままで「バーチャル渋谷」に入った時にどういう風な自分になってるのかは興味がありますね。今回のイベントの時に会社の人と二人バーチャル渋谷を歩きながら通りを見たり、待ち合わせして歩いたりしたのも、結構楽しかったので、楽しみ方の幅が広がってコミュニケーションもいろんな形できることに興味がありますね。

天野さん:先ほど、区民を集めているみたいなお話されていたんですけど、それは日本人じゃなくてもいいんですか?

長田さん:今回は区民ってよりは、応援する人って感じなんですけど、第二の故郷のような街を目指していきたいと思いますね。ふるさと納税的な感じはありますよね。

天野さん:今回は区民ではないのですね。僕は「バーチャル渋谷」の区民になって自分の場所が欲しくなったりすると考えたんですが、区民になった特典みたいなのがあると面白いなと思います。

長田さん:実はまだそういった設計までは行ってなくて。色んな人から「ここに家を建てたい。お店を開きたい」とニーズやリクエストがきて、街みたいな空間ができると所有したい意識って出るんだなと思って、バーチャル渋谷民になった人たちにどんなメリットがあるのかは、これから考えていかなきゃいけないって思っています。渋谷にリアルに行った時にメリットがあるようにしたいですね。バーチャルのみならず渋谷に遊びに来たらこんなことできるし、バーチャル空間でこんなことできるっていうメリットがあったらいいなと思っています。こういうバーチャルの街ができてるところってまだまだほとんどないんじゃないかなと思うと、日本から渋谷からチャレンジしていくのは、すごく可能性があるなと思ってますね。

天野さん:リアル渋谷とバーチャル渋谷のお互いが干渉できるようになってくると、横断的に自分のアバターがいろんな世界を行き来できる。服やお金も共通化した方がいいんじゃないかとか思いますね。

さらに、バーチャル空間とゲームも共通化されるんじゃないかって思ってしまったので、これは早めにバーチャル渋谷区民になっておこうかなと思います。

長田さん:今はそこまで深い住民民募集というよりは、「バーチャル渋谷」のファンみたいな感じで、リアルに渋谷に住むのは難しいけど、自分がどこかに属したい時に、私は渋谷区民じゃないけど、バーチャル渋谷民だよみたいなのができたら、街のブランドとか価値に紐づいていくんだと思いますね。あんまり特権階級みたいなのとかお金いっぱい取っちゃうとかだと住みづらくなっちゃいそうかな。

天野さん:お金がないと住めませんとかになると、現実と変わらなくなっちゃいますね。仮想だと空間は無限に作れるけども、バーチャル渋谷なので、渋谷らしいシンボルがあるところに住みたいと思うじゃないかと思うのですがどうなんでしょうか?

長田さん:私も全部見越している訳ではないのですけど、バーチャル渋谷を立ち上げてから色んな方からお問い合わせをいただいたり、話したりしていて、みなさん、こうなったらどうなるんですか?とか先のことまで考えているなって思いました。特にゲームをやられてる方は深く追求されますね。

天野さん:僕もゲームはある程度やっているんですけど、VRプラットフォームの根っこにある技術はMMOと言われるゲームシステムと同じですね。MMOをやっていた人たちは「こういう時代が来るんじゃないか」って期待していたと思います。どんどん期待していた時代が近づいてくるので、この先どうなっちゃうんだろう。って純粋にワクワクしてます。

江本:視聴者様からのコメントで、「渋谷で働けるようになると楽しそうですね。また働くまで行かなくてもふるさと納税のバーチャル版みたいなバーチャル納税とかできますね」ときています。まだ取り組みされたばかりかと思いますが、お金が動くところのアイデアは渋谷区の方とされているのでしょうか。

長田さん:今の空間ではお金の動きはなくってEC機能もないんですけど、ニーズとしては、街なのであそこに行ってものを買いたい。服を買いたい。いろいろ体験したい。って結構出てきていています。今のバーチャル渋谷は狭い空間なんですけど、どう拡張するのかというのも今みんなで考えていて、渋谷のアイコニックな場所を拡張していきながらも、いずれは別の都市空間みたいなものは考えなきゃいけないなと思っています。「バーチャル渋谷」で私が良かったなと思ってるのが、コロナで会えなかった私の知り合いの息子さんとおばあちゃんが「バーチャル渋谷」に入って会って、一緒に歩いたって聞いたんですよ。普段は、おばあちゃんも渋谷まで出てこれないけど、「バーチャル渋谷」で孫とあったって微笑ましいじゃないですか。さっき天野さんも言われていたインターネットだと距離の関係ないコミュニケーションが生まれながらも、マネタイズの仕組みやいろんなビジネスもできたらいいけど、人と人とがこういう状況だから「バーチャル渋谷」でコミュニケーションできたり、それによってお互いに体感ができることも大事だなと思ってます。

第三弾目_トークテーマ②

トークテーマ

デジタルとリアル空間の可能性

江本:デジタルとリアル空間の可能性ということで、天野さんにお伺いしたいんですけど、デジタルだとゲームやアニメという巨大産業があると思いますが、カヤックのCXOとして取り組んでいることを教えてください。

天野さん:仕事の半分は企業の研究開発のお手伝いをしています。日本の国内だけでもあらゆる企業がVRに注目していて、新しい可能性を模索しているような段階です。研究開発の中でアイデアを出させていただいたり、ベータ版の開発をお手伝いさせていただいています。あと半分の仕事はコンテンツ制作になります。アニメやゲームにXR技術を組み合わせたコンテンツ制作の仕事が多いです。VRでは、自分がアニメの主人公になってもいいと思っています。ユーザーの体験によって変わる追体験のVRアニメを作れたら、通常のアニメでは描けないような別アプローチとして表現を作れると考えています。そんなことを考えて、『からかい上手の高木さん』VRは、自分が主人公になってアニメを追体験できるものにしました。作ってみて色々分かってきたのですが、アニメ、ゲーム、演劇、映画、などあらゆるものがVRでは交じっていくことを実感しています。

長田さん:アニメゲームがもうだんだん融合してくみたいな世界になって、さらにバーチャル渋谷の中だったら、どっちが自分なんだろう…どっちも自分ですよね。

天野さん:さらに、ゲームの自分と日常の自分をもっと共通化されていくかもしれませんね。『フォートナイト』は今世界で遊ばれてるゲームで巨大なファン・コミュニティになってるんですけど、最近では『フォートナイト』の中でトラヴィススコットがVRライブを開催し、同時接続数が5千万のアクセスされています。世界中から一瞬で同じ空間にすごい人数が集まって体験するなんて面白いですよね。

長田さん:二つですよね。共通化している自分なのか、全く違う個々の自分なのか。

天野さん:一つのアバターであらゆるメディアを扱えるようにできないかとか思ってます。そしたら、ゲームの中も日常と言えるかもしれません。

長田さん:リアルでしかできない価値ってあるじゃないですか。食べたり飲んだりとか。天野さんが昔にされていた美容師さんとか。リアルじゃないと成り立たないって業種もありますが、街って空間はリアルな体験とバーチャルな体験の両方があるとおもうんですけど、天野さんはリアルな体験とバーチャルな体験はどう補完しあうと思いますか?

天野さん:僕らの時代はちょうど両方を体験しているので、リアルの良さも分かるし、デジタルの楽しさもわかるので、それに優劣をつけるのが非常に難しいと思っています。
これからの時代は、リアルに重きを置いてくるのか、それともバーチャル空間をメインと捉えるのかは分からないと思ってます。なぜなら、原始人はインターネットもなければ、何もなかった時代で常にあらゆる外敵から自分を守るということを考えて生きていると思うんですけど、彼らが持っていた感情や価値観は現代人にはすでに理解できず、僕らと未来人は、これと同じくらいの差ができてしまうのではないでしょうか。価値観は時代と周りの状況によって常に変わっていくことは間違いないし、現実空間は素晴らしいしご飯もおいしいと思う僕らの感覚であって、未来人が同じように思うか不明です。仮想空間では肉体がなく、現実感が薄くなっちゃうし、情報体ですからどう補完されるのか予測するのって難しいですね。

江本:天野さんが話されている映画『レディ・プレイヤー1』みたいな近未来の話題は、ゲーム業界の人はわかるけど、一般の人はわからないんじゃないかなっていうのがあります。バーチャル渋谷に参加されている方は、実際に都市開発や空間開発されている人たちが多いと思うので技術的なことや、人がバーチャル空間ではこういう感情になるよねと言っても受け入れられないじゃないかなと思っていますが、その点について長田さんは工夫されていることはありますか?

長田さん:私は元々まちづくりの人間じゃなくて、違うところから参加しているんですけど、まちづくりって都市の開発もありますけど、最終的には人なんよね。単純に平面を作り、空間を作るだけじゃなくて、その人達にとって豊かになることが私はすごく大事だなと思っていて、魅力的な場所には人が集まってさらに豊かになってくるのでバーチャル空間は今ある街の人たちの集まりじゃなくてもいい可能性はあります。渋谷に今いる人たちも多様なんですけど、空間を超えていけば新しく集う人たちが出来てくると思うので、全世界から「バーチャル渋谷」に集ってもいいと思っています。そこからアイデアが生まれてくると思っていて、私はそこだと思っています。自分が今渋谷にいるのも、前職でも渋谷区の企業で働いていたり渋谷に住んでいるんですけど、周りにいる人が本当に魅力的で一緒に仕事をしたいって思ったり、遊んだりって思うので、天野さんのような方とこのような機会でつながって、次にできることがあるじゃないですか。私は都市空間を作るのは最終的にどんな人がここに集まってどんなことをするのかが大事だなと思っていて、そのために努力したいなと思ったんですね。

江本:今質問があったのですが、視聴者の方から「渋谷のお土産を作ってるんですけども、リアルだと物理的に離れてるからレア感がありますよね。バーチャル渋谷で売った時に一瞬で行ける場所になるけどレア感を出すことができるでしょうか?」という質問がきています。

長田さん:渋谷って何でも物が溢れちゃっているので、お土産って難しいなって思っていて、バーチャル空間だからこそのお土産って作れるんじゃないですかね。お店にあるものじゃなくて先程のトラヴィスも『フォートナイト』の中でECもしてましたよね。それがリアルで身に着けるものかもしれないし、アバターが身に着けるものもしれないですけど、ここでしか手に入れられないものになると思います。我々が実験したいと思ってるのが、今年ハロウィンやカウントダウンがある時にこういう空間をどういう風に使って、何ができるだろうということは準備をしていきたいなと思っています。

江本:色々アイデアはありそうですね。デジタルとリアルって天野さんも仰ってましたけど例えばお土産でもデジタル渋谷に行って買ったら、リアルにも配送されてもらえるとかバーチャルの中では自分のアバターにアクセサリーが付けられますとか、そういうレア感を出せそうな気がしますね。

長田さん:面白いですよね。アバターがブランド品身につけたら。

天野さん:デジタルデータは、複製ができてしまうので、本物か偽物かを見分ける技術や表現みたいなのが生まれてくるかもしれませんね。例えば、購入した服でバーチャル渋谷に来ると服が光りますとか、偽物は光らないとか。

江本:残念ながら時間が…長田さんのお話の中にあった「バーチャル渋谷」で何げなく会話しながら歩くのが面白いなと思って、forコミュニケーションってコミュニケーションを取ってもらうようなサービスばっかり僕らは考えているのですが、今の「バーチャル渋谷」って主役ではなくて会話のBGMみたいな感じだったので改めてハッとさせられました。

長田さん:アバターだから普通に歩いていて声も掛けたりできるんで、もっともっと出会いがあってもいいじゃないかなって思ってます。

江本:最後に一言いただけますか。

天野さん:XRの業界は、みんなが興味持って間もないものなので正解がないところに面白さがあると思うんですよね。誰もが『ドラゴンクエスト』『スーパーマリオ』のような、みんなに愛されるものを作るチャンスがある業界だと思ってるんで、僕も新しいものを作れるように頑張ります。

長田さん:皆さん聞いていただきありがとうございました。わたしもXRって本当に皆さんから教えていただきながらやっていて、バーチャル空間の街づくりという新しい形はコロナ禍でいろんなアイデアが複合されて出来ていくと思うのでご質問があればいただきたいというのと、色んな違う知見を持った人同士がいることで、新しいものが生まれるなと思っているので今後もミクシィさんや天野さんと追及していきたいと思いました。

江本:本日はありがとうございました。

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CROSS ACCELERRATOR 03 空間を自由に。ご視聴をいただきありがとうございました。次回CROSS ACCELERRATOR 04 通信環境で自由に。を放送予定です。お楽しみに!