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フルバアニメを通じて過去の自分を問い詰めたいという話

結論

旧アニメないし原作が好きな人にこそ、新たな視点が開ける新アニメも見てほしい。
そもそも今回のアニメ化で初めて作品知ったよって人もこの機に是非とも見てほしい。

前置き

『フルーツバスケット』、学生時代に原作を追いながら読んでた世代です。
そして現在、新アニメを楽しく視聴しています。
エピソードの順番など細かな部分は忘れていたりもしたのですが、原作履修済みなので大まかな流れやキャラクターたちの思惑もバックボーンも知識としては知った上で観てます。

なのに何故、何故こうも毎週のように新しい感情が湧いて出るのか……

大好きな作品が高クオリティで映像化したことに対する感慨とかじゃないんですよ。その気持ちもあるけど。
じゃあ動画か漫画かは関係なく、すでに「知ってる」二周目目線で見てるからか?それもあるかもしれない。
しかし一番引っかかってるのは当時の自分との視点の違いなのではないか…

新アニメを見ていると「やっぱりこのエピソード好きだわ〜」となるのと同じか、下手をするとそれ以上の頻度で「そういう話だった…!?当時のわたしはどこを見てた?節穴か?」という気持ちが湧き出るのです。

そのへんの感覚を整理したくこの記事をしたためてます。

2nd seasonで起こってること

・別荘編
当時のわたし「夾くんがやさしい」「慊人さんの謎が少し解けた」
本当にそれだけか…?正気か……?の気持ちしか湧かないポイントでした
前提として、当時のわたしは6巻(1stシーズンラストのあれ)でそれはもうひどく衝撃を受けて、何度もそのシーンを読み返し、「漫画」にこんなに心を引っ張られることがあるんだと初めて知ったりもして。

夾くんの幸せを願う気持ちが先行していたゆえに透くんと仲良くしてるシーンに目が行きがちだったとは思う。思えば人生初の推しカップリングだったのかもしれない。
そういえば6巻読んでもなお「夾は楽羅とがいい」という友人に「あの話を読んでなぜそんな考えに??」と人生初の解釈違いを味わった記憶もある。話が盛大に逸れてる気がする。

要は6巻を境に夾くんと透くんを中心に作品を見てたゆえに、全体像が見えてなかった部分がかなりあったのだと思う。
単純に透くんたちより年下~同年代の頃に読んでたのでそこに視点を置くのは自然と言えばそうなんだけど。

・改めて別荘編
めちゃめちゃにターニングポイントでした…
慊人さんは何者か?を軸に、メインキャラそれぞれの立ち位置が浮き彫りになっていくというか。
夾くんは運命を受け入れつつ、残り時間の使い方と、それさえあれば充分として「残り時間の後」の人生の終わりまで覚悟してしまってるようで。
由希くんは荒療治ながら向き合うべき問題へのフタが開いた(これは後述)
透くんは呪いのなんたるかを垣間見た(これも後述)そしてそれを解く決意をする。

2ndの軸となるテーマ(だとわたしが思ってる)
・呪いとはなんなのか ・由希くんに主観を置くパート

が示されるキッカケがこの別荘編なのかな、と思います。

あと透くんを守るもみっちがカッコ良くていとおしくて、これは当時からそして今も大好きです。各キャラの「神様への向かい方」と「透くんへのスタンス」がこれでもかと対比されている…

由希くんの内面と成長

・学園防衛隊
再アニメ化は由希くんのためにあったと言っても過言ではないのではなかろうかッ!!!というのは言い過ぎですが、本領を発揮するのは間違いなくここからなんですよね…。マブダチ編あーやの言うことに同意しかない…

1stのラスト、夾の本当の姿の話。夾くん透くんにとっての最大級イベントなので見逃しがちというか例によって当時のわたしは見逃してたんですが、由希くんの物語が動き出すイベントでもあるんですよね…。本人も「(自分の気持ちに気付いたのが)あの夜だった気がする」って明言してるだろなんで見逃すんだいい加減にしろ

1stシーズンで少し強くなれた由希くんが自らの意志で生徒会に飛び込み、
そこで真鍋くんを通してどんどん中身が飛び出していく成長が輝かしい…。
真鍋は兄や夾に似てると由希くんは言うけど、そんな相手に一番に心を開くことになるのって…過去の確執や呪いがなければ兄や夾とも最初から良い関係を築けたのでは…?というしんどさもある

生徒会にいる由希くんが元から好きだったのですが、そりゃあ前向きに成長していく過程は見ていて気持ちいいに決まってるわ…。

真鍋が由希の内面を引き出していく→
→真知が「真鍋が引き出した由希」を見つける→
→由希は「自分を見つけてくれた真知の視点」に興味を持つ
すばらしい3すくみ finalシーズンも楽しみです

話の流れとはあまり関係ないけど公ちゃんの清々しさがつよすぎて好き
生徒会のパートはいつも楽しい

・22話
「俺は、嫌なんだ!」
この言葉がアニメ見ても一発で理解できなくて、なんとか自分の中で落とし込もうと頑張った結果
「自分の欲と理想が解釈違いを起こしてるのが辛くて、かつ解釈一致を叶えてくれる相手がとても複雑な感情を抱いてる相手だった」
みたいな…情緒の欠片もない言葉になってしまって不本意なんですが…

2ndシーズンから透くんと夾くんの雰囲気が色めいてきてるの、もちろん本人たちの気持ちが芽吹いてきてるのもあると思うのですが、由希くんのフィルター越しに画面が写されてるのかなぁともとれて。
2ndは、由希くんの想いや見てる世界に重点が置かれてるパートなのかな、という考えがあるのでそう感じるのかもしれない。

透くん夾くんがまだ自身の気持ちと向き合い切れていない一方で、由希はいち早く自己分析を済ませて目的地を見つけられたのかなと思います。
先陣を切るのが子(🐀)らしくて良いなあと思ったり…

ファーストは夾が本来の自分を取り戻すまで、セカンドは由希が自分を見つけるまで。そしてファイナルが透くん中心に動く三部構成になるんだろうか… 区切り方が美しいな…

呪いとはなんなのか

変身することが呪いなのか?動物に変身できるなんて楽しそうなのに、それは解かなきゃいけないの?と序盤を読んでた当時は思ったものですが。
いや今でも人外推しな癖はあるんですが、呪いってそういうことじゃないな…?と察し始めたのがこの中盤戦でしたね…。

①呪いA → 物の怪のこと。変身したりする。
②呪いB → ①によって生じた歪み。軋轢。生きづらさ。
③傷    → ①②によって負った傷

と切り分けたとき。
1stシーズンは透くんが③を癒し、十二支たちが心を取り戻してくまで。
2ndシーズンは透くんやリンちゃんが①を解こうと動き、そして本質は①でなく②なのではないかと提示されるまで。
由希くんは②を自力で少しずつほどき始めてる。
紫呉さんは最初から…なんなら物語が始まる以前から②を見据えてるのかなあと思う。ただし的は得てても手段に人の心がない。

・紅野さん
解くべき呪いは「物の怪そのもの」ではなく、物の怪という異端から生じた「拗れた関係性」のほうにあるのではないか……という部分に迫っていくのが2ndで、それを体現してるのが紅野さんで。

クレノさん、どう考えてもめっちゃめちゃキーパーソンなんですよ…
当時のわたし「急に出てきて何考えてるかわからなくて何故か〇されて可哀想だった」くらいの印象しか抱いていなくて
本当にそれだけか…?正気か……!???の気持ちしか湧かない

アニメ表現の豊かさはもとより、演じている梅原さんの声が好きなのでちょっと別の方向に感情揺さぶられてるところがあるんですが いやその話はいい 原作→アニメで一気に解像度が高まったキャラクターでした。アニメ化してくれて本当に良かった。うおちゃんへの想いも葛藤も痛いほどに伝わってきた…。

呪いとは物の怪のことなのか?物の怪が消えれば呪いは解けるのか?のアンサーが2nd最終話に詰まってますね……

真っ先に呪いが解けたクレノさんが一番生き方を固定されてしまっていて。
仕打ちの辛さで言えば猫憑きが一番過酷で物理的な束縛も伴うのだけれど、それとは別方向の不自由さが生じてしまってて。
そんな目にあってるのが自由に空を飛べたはずの鳥憑きであること。本人の優しさが枷になってしまっていること。すべてが皮肉でしんどい

紫呉さんとの対比が際立つ人ですね……対談は絶対にやめてあげてほしい…
最終話の紫呉さんの声があまりにも邪悪でびっくりした 邪悪

・2nd最終話
慊人さんの言葉から反射的に1stのED曲『Lucky Ending』を思い出しました。
なあああにがラッキーじゃと取り乱しつつ、ハッピーではなくラッキーという言葉が選ばれてることに何かが拗れる音がした

もともと特定のキャラクターを歌ったものではないと思ってたし、今回ビッケブランカさんのインタビューを調べたりなどもして、『フルーツバスケット』の概念…?を歌っているのかな、とは思うのですが。初めて聞いたときは直感的に神様と十二支たちを思い描いたのですよね。ED絵に引っ張られたのもあるかもですが。

慊人さんと紅野さんに思いを馳せながら聞くと新しい味わいがありそうだな…と気付きつつ胃痛の予感しかしない

番外・リンちゃんとハル

どことなく大人っぽい雰囲気で当時の自分のアンテナには触れなかったんですが改めて見るとこう…
ぶっきらぼうだけど人の幸せを大切にするリンちゃんと、表面上突っぱねられてもちゃんと分かってるハルくん(一時は荒れたけど)、正直透くん周りよりずっと少女漫画してるよなって…(流血沙汰からは目を逸らす)
ヒロちゃんを交えたときの関係性も、当然透くんとの関係性も好き。

結論②

つらつらと書いてしまいましたが。
「当時のわたしは」と前置きして話してる部分以外は概ね今回の新アニメを見て初めて感じた部分、初めて気付いた部分です。
少なくともこれだけの見落としがあるよお前!!というポイントの詰め合わせであり、アニメ化がなければ気付かないまま人生終えてたかもしれない。ありがとう再アニメ化……

当時のわたしの読み込みの甘さはほんと否めないんですが主人公たちを中心に見ていて、お話同士の関係性やそこでそのイベントが配置された意味を考えてないんですよね……それはそれで楽しみ方としてはアリだと思うよ…というか今のわたしがメタ視点に寄りすぎてるのではとカウンター食らいかけてるよ…?

二度楽しむことができて本当に良かったなあ finalも絶対の信頼と期待を寄せて楽しみにしてます。

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