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病気発覚から入院まで

結論から簡単に述べると
【肺ガン】に罹りました。


正直自分の年齢(42歳)で「ガン」に罹るなど予想すらしていませんでした。

そして呼吸器の自覚症状から
病気の疑い、検査、診断まであっという間でした。

というわけで、初期の自覚症状から現在に至るまでの経緯をnoteに書いてみます。
今後特に闘病日記みたいなのを書く予定は無いので、
ここである程度まとめておきたいと思います。

また私自身「ガン」に関して全く知らないことも多々ありましたので、
そこら辺が読んだ方の参考になればと思います。

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2020年4月【腰痛】
世界中にコロナウィルスが蔓延し、日本でも緊急事態宣言が発令され
各社が少しづつリモートワークの環境を整備しようとしている4月の初旬でした。
ある日、自宅作業したままワーキングチェアで眠ってしまいました。

椅子で寝てしまうのはこれまでも経験があり
起きると肩こり含めて全身が痛くなって、よく後悔していました。

その日も明け方近くに椅子で目を覚ましました。
すると右の腰が異常に痛いのです。
自分は軽度の腰痛持ちでしたが、その痛みとは種類が違い
打身・打撲のような骨の痛みでした。

おそらく無理な姿勢で寝ていたせいだろうと思い、そのままベッドに潜りみましたが
数日経っても痛みは消えることなく、湿布などを貼ってなんとか過ごしていました。

コロナの影響で出来るだけ病院には行きたくなかったのですが
そこそこ生活に支障が出るレベルの痛みが続いていた為
意を決して近くのAK整形外科(仮称)に行く事にします。

AK整形外科では腰の痛みはもちろんのこと
長年抱えている肩の痛みなど全て診てもらう事にしました。

結果、
腰 → 異常診られず → 痛み止めや湿布を処方
首 → 頸椎症 → 神経を圧迫しているが手術するほどではない

首(肩こり)は手術しなければ治らないが緊急性はないので経過観察を勧められる。
腰に関しては異常無しなので長くて3ヶ月ほどで治るだろうと医者の見込み。

生活に影響出ている腰痛治療を優先し
痛み止めや湿布を処方してもらう事に。

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2020年4月下旬〜5月上旬【咳・息苦しさ】
処方された薬を服用していましたが、結果痛みは全く引かず、
ある日別の体調変化が起きます。

咳と息苦しさが出始めたのです。
発生の正確な時期を失念してしまったのですが
4月の下旬〜5月のGW明けあたりだったと記憶しています。

当初は風邪かコロナを疑いましたが
熱も出ず、かといってその当時は安易に呼吸器科や内科に行ってコロナの感染リスクを高めることはしたく無いと考えていました。

その間も、AK整形外科には通っていましたが
ふと整形外科で処方されている薬(痛み止め)の中に
副作用として
咳・呼吸困難・肺水腫
と書かれている薬がありました。

もしやこれが原因では…?と素人考えで思い、一旦服用を止めて、
それでも咳が治まらなければ覚悟決めて内科に行こうと決めてました。
(ちなみに処方されている薬を止める場合は担当医師に相談した方が良いです。)
結果的には半月以上この症状のまま過ごしていました。
コロナがなければもっと早く内科に行っていたと思います。

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2020年5月末【内科診察】
通っているAK整形外科は総合病院ではありませんでしたが、
いくつか併設されている科があり、その中のAK内科に行ってみました。

担当した内科医師には呼吸の症状を伝え
整形外科で処方されている薬の副作用ではないか?という話をしましたが
「うーんそれは考えにくいなぁ…」と一蹴されます。

また私が説明している間も先生がやたら私の首を見入っているので
何だろうと思っていましたがふと先生がこう言います。
「リンパが凄く腫れているね…うーん、ちょっと胸の音聞かせてもらえる?」
といって聴診器で確認しますが、「音は悪くないな…」との事。

「一回レントゲンとCTを撮ってもらっていい?」と聞かれ
一旦レントゲンのみ承諾しました。

とりあえず別室でレントゲンを撮ってもらって再び診察室へ。
レントゲン写真を見ながら「…うーん、ここなんかあるね」と右肺全体を指します。
正直素人目には何が変なのか分かりませんでしたが若干不安になり始めます。

先生から「やっぱりCTも撮ってもらっていいかな?」との事で承諾。

再度別室でCTを撮る準備をしますが
CT待合室で「(先生も随分怖がらせるなぁ…あはは)」などと考えていました。

CT撮影後、再び診察室へ


先生
「…うーん、言いにくいけど、多分これ”肺がん”ですね。しかも結構進行している。」

自分
「…………はぁぁあ!??」


この時の自分の返答はこれのみで、その後言葉が出てこなくなってしまいました。
思考がほぼストップしたのは覚えています。

あとは何というか怒りみたいなものも感じていたと思います。
(ふっざけんなよ!)
(何でこの歳で!?)
(去年の健康診断・人間ドックは何の意味があったんだよ!)
 
こんな感じの怒り。

先生は淡々と「紹介状書きますので病院を決めてください」と言ってきますが
自分はほぼ上の空で「…はい」と返事していたように思います。

※この時点ではガンの可能性があるのみで確定診断をもらったわけではありません。

親族への説明、仕事、治療費
色々あたまを駆け巡りますが
とりあえず一旦帰宅し、病院を探し始めます。
少し落ち着いたところで実家に電話。
両親に事情を伝える。
うちの家系は両親含めて親族の多くが何らかのガンを患っているガン家系ですが、それでも自分の年齢でガンに罹ってしまったことに両親もショックを受けていました。
程なくして兄にも伝わり、LINEを使ってちょっとした家族会議へ。
相談の上、紹介してもらう病院は近くの国立がんセンターに決めて
翌日紹介状を書いてもらいにAK内科へ。

受け取った招待状を持って国立がんセンターへ電話して診察予約。
診察は翌週(6月の第1週)に。
この時はまだ「肺がんでは無いかも…」と一縷の望みをかけていました。

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2020年6月初旬①【国立がんセンター】
モヤモヤした気持ちのまま翌週まで待ち、いざ国立がんセンターへ。
※紹介状一式には別途レントゲンやCT画像の入ったCD-ROMもついています。
がんセンターで担当になった主治医の先生はかなりお若い方でした。(恐らく自分よりも結構若い)
まずは当日に出来る検査として下記を行いました。
・レントゲン
・PET-CT検査

他の気管支鏡検査(組織採取)やMRI(脳転移検査)は週末に行い、
翌週末にガンかどうかの確定診断となりました。

細かくは書きませんが気管支鏡検査は地獄でした。
次やるとしたら麻酔で完全に眠らせてからやってくれないか交渉したいです…。

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2020年6月初旬②【呼吸困難】
…と翌週末(6月の第2週)の確定診断の日を待っていたのですが
土日過ぎから徐々に呼吸困難の傾向が強くなってきました。

この頃はベッドに仰向けに平行で寝ることは難しく
枕やシーツで背もたれを作るような感じで
肺に圧迫をかけないように座った状態で寝ていました。

画像1

※こんな感じ
画像参照
https://ganjoho.jp/public/support/condition/dyspnea.html


それでも寝てしまうのが怖いくらい(寝ている間に呼吸困難を起こすのではと…)の状態でしたので
数日はほとんど睡眠をとれずに過ごしていました。

自宅1Kマンション内での移動ですら「ゼィゼィ」言うようになり
そろそろヤバいなと思ったところで
がんセンターの相談窓口に電話。
(救急外来は受け付けてくれないのではと色々勘ぐって躊躇してました)

主治医に確認していただきまして
「来れるなら入院の準備をして来てください」と言われ
家族に手伝ってもらい急遽病院へ。

病院へ着くと、早速、血液検査とレントゲンの撮影を行いました。
※この時は呼吸困難を鑑みた看護師の勧めで車椅子状態でした。
撮ったレントゲンを診察室で先生と一緒に確認してみると
先週の検査時から素人目で見ても明らかに変化していました。
簡単に言うと肺と心臓の間に水が溜まっている状態です。
※人間の体はどこかに不調をきたすと水が溜まりますね…

その胸部に溜まっている水を抜くための簡単な手術に入りました。
ドレナージ(排液)のため、胸に管を刺してそこから水を抜く処置をしていきます。
15分程度の手術で、局部麻酔なので意識はあります。
「もう終わりますよー」と担当医に言われたので
どのくらい水が溜まっていたか聞いてみると
「およそ1ℓくらいですねー」との事。
そんなに溜まってたの!?
※通常は1日あたり25ml〜50mlが潤滑油みたいに生成されて都度消費していくそうです。

その水が心臓の鼓動も圧迫していたらしく
一気に水を抜くとスペースの開いた心臓が逆に頑張りすぎて負担が掛かるため少しずつ抜いていきます。
というわけで手術は終了。
この管を刺した状態のまま、各種入院手続きへ。
※結果この管は2週間近く刺さったままでした

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2020年6月初旬③【確定診断】
当初、この緊急入院した週の金曜日(6/12)に確定診断をもらう予定でしたが
少し早まって木曜日に検査結果を伴った「確定診断」をもらいました。

家族同席のもと、結果を聞きましたが、


肺がん ステージ4
脳、首、リンパ、腰骨に転移あり
手術は不可能


覚悟はしていましたが、やはりショックでした。
そこから治療法の説明に入りますが
ここは割愛します。

ちなみに現在は抗がん剤での治療に入っています。

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2020年 【がんになって分かった事】
■健康診断の意味
色々調べてわかった事ですが
健康診断のレントゲンや肺活量検査など
肺がんの早期発見に対して何の役にも立たないと分かりました。
今でも肺活量はそこそこいい数値を叩き出します(呼吸困難にも関わらず)

有効なのは
・腫瘍マーカー(当てにならない時もあり)
・胸部CT検査
・可能であれば全身のPET-CT検査

一番確実なのはPET-CT検査です。
ガンの疑いのあるところが
画像ではっきりとわかります。

自分も全身像(美術解剖学の挿絵のような)で見ましたが
骨も含めて分かりやすいくらい色が変わっていました。

ただこの検査すんごい高いんです。
保険適応なしで10万くらい。
保険適応で3万ちょいですが、それも何かしらの保険適応させるための診断結果が必要かと。

■骨の痛み
当然整形外科ので分かるレベルではないと思いますが
いま現在からの結論から言うと
首と腰はガンが転移しており
突然の腰痛の原因は肺がんからの転移でした。
※こちらは放射線治療で対応。
肺がんは転移が早く、骨に転移した場合、肩こりや腰痛として症状が出るそうです。
これねー…もっと啓蒙すべきだと思います。
それこそ健康診断を受ける病院内のポスターとかでビビらせるくらいに。
知識として全く無いので正直骨の痛みとガンを結びつけませんよ…

■高額医療費制度
医療費が高額になった際、収入から支払いの限度額を抑えられる素晴らしい制度です。
支払い後に還ってくるパターンもありますが
予め認定証を申請しておいて、入院時に提示すれば
退院時の支払い自体が控除された額で済みます。
こういう時、保険のしっかりしている日本で良かったなと思います。

詳しくは下記参照
https://www.its-kenpo.or.jp/hoken/situation/case_07/kougaku/index.html
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030/r150/

注意
所属している保険組合によって、申請方法が変わってきますので
それぞれの組合のHPで調べてみて下さい。

■生命保険
重要です。
自分は就職した初年度から生命保険に入っていますが
正直そこまで生命保険の恩恵を感じていませんでした(それはそれで幸せな事ですが)。
ただ今回ばかりは非常に助かりました。

・入院費
・放射線治療費
・一時金
・先端医療保証費

特に”がん特約”などのタイプではなかったのですが
それでも上記三大疾病などの保証にはかなり安心させられた部分があります。
毎年僅かながらに担当者と内容を見直していたのですが
それが功を奏した形になりました。

あとは入院日の保証を手厚く設定してあれば
個室での入院も可能かと思います。
※1日あたり2万近く保証があれば
相部屋は何かとストレス溜まる場合もありますので。

■就労不能になった場合
自分と同じ世代であれば当然バリバリ働いている時期だと思います。
とはいえ自覚症状や抗がん剤の副作用で就労がままならない時はあると思います。
そういう時は
・有給休暇
・傷病手当
・障害年金
この順で会社から用意されている制度を使っていきましょう。
これらは所属している会社の就業規則によって変わります。
今一度、就業規則を見直してみましょう。

病院によっては常駐しているソーシャルワーカーや社労士の方がいらっしゃるので相談してみると良いでしょう。
申請に関しても色々相談に乗ってもらえるはずです。

注意点
傷病手当は18ヶ月という期間が決まっていますが、
一度始めてしまうとストップ出来ません。
”実質”ではなく”期間”なので途中で体調が良くなって働いたりして、
給与を貰っても傷病手当の支払いが一時ストップするだけで、
傷病手当期間のカウントは止まりませんので始める場合はご注意を。

詳しくはこちら
https://www.hokennavi.jp/cont/column-knowhow-034/

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◆今後に関して

特に余命に関しては聞きませんでした。
恐らくステージからの統計で出すことは出来るでしょうが
あまり意味もなく、余計な負担になると感じたからです。

いずれにしても諦めませんし、しぶとく生き延びるつもりです。

あと、後日分かった事ですが
自分のガン遺伝子変異の種類は肺がんの中でも0.1%というレアケースで、分子標的薬も治験レベルでしか存在していませんでした。

結局何が原因だったんだろうか…

今後は通常の抗がん剤治療→分子標的薬治療と色々試していく形となりますが、医師からは「根治はないと思っていてください」と言われています。
手術が出来ないとはつまりそういうことで、一生付き合っていく覚悟で奇跡的な寛解に近い状態を目指す事になると思います。

とはいえそこまで悲観的では無いです。

最近のガン治療の進歩は早いです。
10年前と比べても飛躍的に進歩しています。
数年延命させる事が出来れば、新しい治療法につなげられる望みも出てきます。
新しいの治療法としては
光免疫療法
がん ウィルス療法
中性子捕捉療法(BNCT)→ヤマトのりとか話題になりましたね
CAR-T細胞療法
新世代分子標的薬
ここら辺が期待できそうです。
特に光免疫療法と新世代分子標的薬には大いに期待しています。
がんばれ楽天メディカル

20年くらいしたらナノマシンによる治療も出てきそうですし
ガンはそこまで恐い病気ではなくなるかもしれません。

だからこそ発病するなら、せめて60歳を越えてからにしてほしかったですね…
入院している他の患者を見ても若いのは自分だけです。
他はみんな60〜80歳ぐらいだと思います。
さすがにこれには気が滅入りました。
何でこの歳で発病してしまったのだろうかと思わない日は無いです。

ガンという病気は唐突で理不尽で不平等です。
それ故に納得出来ない気持ちも多々ありますが
とりあえず生き抜いて行こうと思います。

長くなりましたが以上ご報告でした。

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