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ヴェネチア国際映画祭・準備編

ヴェネチアは私たちが考えているよりもずっと遠い。だがカンヌよりは近い。おそらく3つの意味で。

まず、直線距離で近い。交通の便としても少しだけ近い。ヴェネチアは、最寄り空港のヴェネチア空港からバスで20分程度だ。カンヌはニース空港から1時間以上かかるらしい。とはいえ全行程が最低15時間だということを考えれば誤差とも言える。

次に、言語の問題で。イタリア語はなんといっても、ローマ字読みすればだいたいあってる。そして発音が日本語に近いので、割と固有名詞が通じる。会話自体は英語でするにしても、固有名詞は現地語を使わざるを得ない。フランス語と比べれば、断然イタリア語の方が仲良くなれる。

そして最後に、ヴェネチア国際映画祭は一般人でもチケットを取って上映に参加することができる。カンヌ国際映画祭は基本的には関係者向けの催しであって、レッドカーペットとか、一部の併催されているイベントには参加できるけれど、カンヌ国際映画祭参加作品を観られるわけではない。ヴェネチア国際映画祭に関しては、プレスおよび関係者向け上映・パスホルダー向け上映・一般向け上映があって、一般人でも参加作品を鑑賞することができる。この意味で、ヴェネチアはカンヌよりも断然近いと言える。

であるにも関わらず、冒頭で「ヴェネチアは遠い」と書いたのには理由があって、それをここに書き残したいと思います。今後、大好きな俳優さんの出演作品がとっくに編集まで終わっているはずなのにいつまでたってもどこの国でも公開されず、まさかお蔵入り…?とやきもきしていたら「ヴェネチア国際映画祭に出品します!」というアナウンスが突如流れてきた、なんて事態に出くわした人の情報収集の一助となるために。

今回のレポートは、Venice Film Festival 76(28/8/2019-7/9/2019)について記載されています。日程等は毎年違いますし、記載内容を参考にしてなにか不利益が生じた場合もその責を負うものではございません。

1.出品作品の発表

たいていの社会人は、2~3か月前には旅程を確定し、会社に休暇願を出したいところだと思うのですが、ヴェネチアはそれを許しません。出品作品が確定したのが今年は7月25日夜でした。オープニング作品などはもっと前にアナウンスされるけど、それ以外の参加作品に関してはこの最終決定を待つ必要があります。すなわち私たちは、この日を迎えるまでの間は、職場に「8月末から9月頭に休暇欲しいかもしれませんし、欲しくないかもしれません!」とざっくり宣言することしかできません。多分宣言された方も困ります。

2.上映スケジュールの発表

さて、お目当ての作品がヴェネチアに出品されることになりました!ばんざーい!しかし戦いはここからです。会期は11日間ですが、そのうちのどこでお目当ての作品が上映されるか、次に欲しい情報はこれです。これがわからないと、職場に休暇願を出せません。「8月末から9月頭に休暇欲しいんですよねー、まだ日程確定してないですけどー。」と匂わすことしかできません。会期11日間フルに滞在できる人は話が別です。13連休とってください。

上映スケジュールが発表されるまで、できることといったらヴェネチアの宿の空きが減っていくのをやきもきしながら眺めることと、航空券の最低料金が上がっていくのをやきもきしながら眺めることくらいです。更に腹立たしいのは、いつ上映スケジュールが判明するのかすらわからないことです。7月25日に上映作品が発表された後、「チケットは8月初旬に発売するよ」というアナウンスを私たちは10日間以上見続けさせられるのです。「休み希望いつになるのか、まだわからないの?」と毎日職場で言われますので、この段階でヴェネチアに対してかなりのヘイトが溜まります。

Venezia76に関しては、8月9日の19時(JST)にチケットの発売が開始になりました。なりませんでしたけど、それは別記事します。そしてこの発売日時がアナウンスされたのが8月8日の17時くらいです。「明日の19時から発売するからスタンバっとけよ!」と突然言われます。そんな直前ではシフト調整も不可能です。職場の隅で隠れてスマホを操作することになります。

せめて上映スケジュールを確認して心の準備をした上で発売を待ちたいものですが、それも許されません。上映スケジュールの公開とチケットの販売は同時に行われます。

文末の"!!"に殺意が沸きます。発売開始直後はキューシステムを利用して販売されるので、公式サイトでスケジュールを確認しながら並んで気長に待てば良いです。無事チケット購入まで行きつけば、クレジットカードで支払いをし、チケットPDFがメールに添付されてきます。

Sala Grande(画像)とPalaBiennaleは指定席のようです。他はたぶん自由席。19時とか20時の回のチケットを買うと、割引クーポンがもらえて、これを使うと他のチケットを少し安く購入することができます。なので夜の回のチケットを購入する予定の人は、それを先に買おう。e-ticketのメールにクーポンナンバーが記載されています。

3.宿を予約する

ヴェネチアの宿は高い。この時期、ドミトリでも7000円くらいする。ニューヨークレベル。安いと思ったらきっとそれはヴェネチア本島ではなく、イタリア本土メストレの可能性。この出費を抑えるには、2つの方法がある気がします。気のせいかもしれません。

1.メストレに宿泊する

メストレからヴェネチア本島へは鉄道や市バスで移動することができ、所要時間10分~15分。メストレ駅周辺にはホテルやドミトリー、アパートメントホテルなど沢山あります。駅前の新しいドミでも2000円台とか。ヴェネチア感がまるでない様子ですが、観光に来たんじゃない、映画を観に来たんだ、と思えばノープロブレムです。

ただしひとつ、致命的な問題があります。さっきもちょっと書いた夜の回、22時30分上映開始なんてのもあって、そうすると終わるのが下手したら0時30分。ほとんどの上映が行われるリド島からヴェネチア本島への移動はヴァポレットがあるから大丈夫だけど、ヴェネチア本島からメストレに帰れません。私の調べた限りでは、終電が0時20分でした。市バスが1時30分まであるようですが、知らない土地で深夜にバスってかなりハードルが高い。あいつら平気で運休するので…。そうすると、ヴェネチア本島に宿をとるしかありません。ただ、メストレに連泊して、深夜回がある日だけ単発でヴェネチア本島でドミを取る、とかはありかもしれない。

2.アパートメントホテルを利用する

単独行動でなければ、これがいいと思います。ヴェネチアにはたくさんアパートメントホテルがあり、まぁ安くはないですが、2人以上ならだいぶお得。キッチンが使えるから食費を浮かせるし、洗濯機がある部屋もあります。鍵の受け渡しが面倒なのと、エアコン壊れたとか、そういったトラブルがあったときにすぐ部屋を変えてもらえたりできないというのがデメリットかな。1回しか利用したことないからわからんけど。

リゾートシーズン+映画祭ということで、宿なくなるんじゃないかとかなり警戒していたのですが、おそらくなにかしら妥協すれば、チケット販売を待っても、宿がどこもないという事態にはならなさそうです。ただもちろん、条件のいいところから埋まるのは世界の常識なので、なるはやで。

4.航空券を取る

航空券は映画祭と関係ないので書かなくていいかなと思ってたんだけど、ひとつだけ。

これは昨年(Venezia75)出品作品の上映スケジュールですが、このように、基本的には1作品につき連続した2~3日間で数回上映があります。まずプレス・関係者向け回(ブルー)があって、それからパスホルダー向け・一般向け回(ピンク)があります。で、気になるのがこのFree Coupons(グリーン)です。これは、現地で前日に配られるもので、パスホルダー向けの回で空席がありそうなものに対して設定されるもののようです。多分だけど。すべての作品でFree Couponsが設定されるわけではなく、しかもどの作品のどの上映会で設定されるかは現時点ではわかりません。おそらく直前に公開される(であろう)PDF版プログラム(これは昨年のやつ)には載ってます。pubblico**ってやつ。

で、なんでこれが航空券と関係があるかというとですね。例えば9月3日と4日に一般向けの回が発売されていたら、もちろんこれらを購入します。それで5日の飛行機で帰ってもいいんですけど、4日もしくは5日にFree Couponsが出るかもしれないんですよ。出ないかもしれないです。出ない場合の方が多そうです。でも出たら悔しい。観られるもんなら可能な限り観たい。Free Couponsに賭けるなら、+1泊して6日の飛行機を選ぶのも選択肢です。

空路でヴェネチア入ってもいいし、ミラノやローマに入って電車でヴェネチアに来るのもありだと思います。それにしても上に貼った作品、一般向けは1回しかなかったんだ…つら…。まぁ上映1回でも行くけど…。


次回はチケット騒動についてまとめたいと思います。まだ書けません。なぜならまだ戦いは終わっていないからです。

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