フラテルニテ 桧垣瑛についてのこと

http://clockup.net/fraternite/
2014年にCLOCKUPから発売されたエロゲ、フラテルニテを2024年にプレイした女です。

登場人物の1人である男性、桧垣暎のルートがあまりにも色々なものに突き刺さって最高だったので、感想を文字に残すべくノートを開きました。
自己満な文章なので支離滅裂かつ的外れな内容になっているかと思います。
あくまで桧垣瑛という人間についてのみ綴っているので物語の詳細や他の登場人物のことについては触れておりませんが、オールネタバレしているのでご注意ください。


なんとなく鬱ゲーをプレイしたいな〜とまとめ記事を漁っていた時に面白そうと思い興味を持った作品だったのですが、普段ボブゲを嗜んでいる人間なので、不純な動機ですがギャルゲーでは異例の男性キャラにスポットを当てたルートがあることが購入の決め手でした。
ビジュアルもキャラ設定も好みだし、行為シーンまで見られるなんて最高!と購入時は浮かれていましたが、いざ物語を読み進めてみるともう切なくて切なくて、あまりのリアリティに心を痛めながら、でも桧垣瑛が一人の人間として愛おしくて、魅力的で大好きになりました。
声優さんのお芝居も本当に素晴らしかったです。普段の声がまず知的で品があってかっこいい、そして女性声を出しているときも全く無理している感じがなく端麗な声で、行為中のお芝居含め違和感皆無でした。声優さんは演じる上で稽古時も収録時もすごく苦労されたようで、もう感謝しかありません。
瑛はメインの攻略対象ではありませんでしたが、短い話の中で、特に心情描写がすごく丁寧で、TSというセンシティブな問題だからこそ瑛の抱える思いや苦悩がダイレクトに伝わってきてしんどかったです。

ここからは具体的なストーリー内容に触れるので整理のためにも簡単にキャラクター説明をすると、瑛は幼いころから性自認のズレにより、自分は周りとは違うことに疑問や孤独を抱えており、身体の二次成長を迎えることでその理由が、男性の身体で生まれながらも心は女性であるトランスジェンダーであることが明確化します。
しかし、政治家の父を持つ瑛は父親の名誉を守りたいという一心や、周りから認められないであろう不安からそんな自分自身を偽って、本当の自分を隠して生きていくことになります。
しかし、ある日同様の悩みを抱える友人を通して物語の諸悪の根源である友愛クラブの存在を知り、園田と出会うことでクラブに通うようになりました。
瑛は、物語スタート時点から既にクラブに属しており、その中でのみ女装をし、本来の自分を偽ることなく女性の姿である瑛さんとして過ごしていました。
クラブの中では、その姿に疑問や嫌悪感を持つ人間はおらず、おそらく同じ悩みを抱える人もいる中で、瑛さんが本当の自分として生きることができる世界中で唯一の場所でした。
学校では、本来の自分の姿を隠しながら生活していますが、人当たりがよく人望も厚く、転校してきたばかりの大智を気にかけすぐに友達になったり、生徒会や弓道部の活動に勤しむ誰から見ても才色兼備の完璧優等生でした。公式で美少年設定なのでおそらく大モテです。
私個人としては、学校での姿は精神的には必死に取り繕っていたかもしれませんが決してすべてが偽りではなく、心の優しさも美しさも本物ですし、桧垣瑛として誠実に立派に生きていたことは瑛本人が持つ優れた能力や努力の形であったと思います。自分を隠している瑛にとって、学校生活の中で偽りの自分を慕われ認められることは、良くも悪くも男である瑛を保っていた理由でもあったんじゃないかと思います。
ただ男として学校で過ごしている姿の中でも、やっぱり表情や立ち姿、話し方などにどこか女性らしい物腰の柔らかさや、端麗さがあって美しいなと感じました。
絶対にふとした時の所作も表情も可憐で時に儚げだったよ。思わず見とれたり、瑛に密かに想いを寄せる男子生徒だって絶対にいた。絶対
男性と女性、どちらの姿でも人柄の良さや穏やかな性格は変わらず、瑛の一人の人間としての魅力は全くブレていませんでした。瑛の真面目な部分や心の純粋さが、男性の時は頼りがいのある誠実さに表れていたし、女性の時は控えめで健気な可愛らしさに表れているように思いました。

そしてある日クラブで男子生徒にご奉仕フェラしている最中に、大智に自分の女装姿を見られることになります。
思いもよらない状況に動揺し後ろめたさや恥ずかしさを感じながらも、自分は外の人間から見たらただの変態の異常者に見られることは当たり前だと自覚しているところが、私はクラブの中で瑛がまともな思考能力や自分を客観視できる人物であったことがわかる心情描写だなと思いました。
まぁクラブ内の他の人間が突き抜けすぎていただけですが。
そしてなにより、瑛が目の前の男性への行為を続けながらも、大智に自分のこんな姿を知られたことが辛い。だって白坂くん″だけ″には自分が異常者だと思われたくないから、白坂くんが自分のことを理解してくれたらどんなに嬉しいだろうって考えてるのが大智への好感度だいぶ高くて可愛い。
こんな自分を理解してくれたらいいな、は大智もクラブに染まってくれたらいいなの意味もあると思いますけど。
あと最後に全部飲んだよ?って上目遣いで口を開けてくれるのもう秒でフル勃起すぎて痛い。
そして、しばらく進めていくと一番のメインイベントである課外授業(売春)が行われます。
大智と瑛とおぢの3Pです。
おぢの要望により大智と瑛は恋人同士でそれをおぢが寝取るというプレイなのですが、
設定を大事にするお客様なので、ホテルの近くから二人は恋人として手を繋いで歩くことになります。
瑛は大智を無理に付き合わせることに対して申し訳なさを感じており、大智はあくまで自分の目的のためだと感情を無にして応えるので、この場面にドキドキや甘さは一切ないのですが、私はそれでも手を繋ぐ2人の光景を想像してドキドキしましたし、瑛も心の中で少しでも嬉しさを感じていたらいいなって思いました。てか頼む、瑛は大智のこと恋愛対象として意識していてください。
で、事が始まりおぢからのNTRプレイを大智に見せることになるのですが、以前大智は無感情です。
ここからの瑛が本当にしんどくて、自分自身を解放して、おぢと交わりながら幸せそうに乱れ淫らに、でもどこか切なげにこれが本当の私の姿だから見ていてほしいと大智に言うんですよね。
心の底から絞り出すようにっていう表現がもうなんとも胸が苦しくて、普段は心の奥の奥の底に本当の自分自身を押し込んで押し殺しているんですよね。
本当の自分で快楽を得ることに確かな幸福と救いを感じながらも、友人である大智に見られていることで後ろめたさも残していたんじゃないかと思いました。罪悪感や背徳感がNTRられ彼女設定とリンクしてる!すごい!
でもここは見られていることに対する興奮が上回っていたとも思いたい。もうなんでもいい、行為中の瑛さんが本当に美しいから。
てかこのおぢ、優しく完璧に瑛を女の子扱いをしてくれて、瑛さんが欲している言葉と快楽を与えてくれるの普通に良客すぎて感謝した。まともじゃないけどまともな客だよ。
しかし、1回目のフィニッシュを終えたおちが失態を犯す。
スカートで隠れていたの瑛の局部を取り出してしごき始めてしまい、
瑛は煩わしい自分のそれから快感を得てしまうことが、自分が男であることのなによりの実感であり抗えない事実であることに嫌悪感と悲しみが込み上げ、涙を滲ませてしまいます(辛い)(でも最高)(辛い)
必死に苦しさに耐えながらぎゅっって瞼を閉じて涙をはじき出す描写が切なすぎてやばい。
でも客は客なのではっきりNOを伝えることはできなくて、もちろん生理現象にも抗えないのでそのまま射精を迎えてしまうんだけど、
自分から噴きあがる液体が、おぢよりも大智よりも濃くて量が多いことにさらに絶望します。
もう、ここの描写がまた巧妙でしんどくて、濃くて多いの表現から瑛が普段の行為ではドライでしかフィニッシュしておらず、日常的な自慰行為もしていないんだろうなってことがわかるんですよね。
それはつまり、生理現象に必死に抗いながら、見えないところでも一人で必死に男としての自分を殺しているんだなって思うともう、瑛、瑛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーになり、なんかもうここまでのことをこちらに想像させるシナリオすっごになりました。全然違かったらあれだけど私は絶対そういうことだと思っておきます。
途中大智に口でするところが抜けていましたが、大智の萎えたそれを口に含んでごめんねって思いながら奉仕するのが切なくて愛おしくて死にました。結果的に元気になって射精してくれるんで大智も瑛さんもよくやったになりましたけど、それも大智にとってはあくまで生理現象ですからね、つらい。
なにはともあれ声優さんのお芝居も画の美しさもシナリオも、切なさとどエロ要素が詰まっていて本当に本当に最高でした。
行為中の瑛の語尾に♥が付いていた瞬間もあって、瑛さんが本当に幸せの渦中にいるんだなって一緒に満たされるような気持になりました。頭よわよわのめちゃめちゃになるほど溺れられてよかった。
清楚でおしとやかなのに、えっちなこと大好きでえっちなこと沢山言えるの最強すぎる。
おぢ受け100000000000点。品を壊さずにガツガツとしてないのに性に奔放で思うがままに淫れる姿がたまんねえよ〜〜〜〜!!!!!
もう一瞬一瞬全てがえろすぎて、鑑賞で観ればええやんと思いながらボイス登録が大変なことになりました。
そんなこんなで課外授業を終え、クラブに戻った二人が少し話をするのですが、大智が今幸せか?と問うと、瑛が僕が本当の自分でいられるのは世界中でここだけだから幸せだと答えるんですけど、大智はそれ以上何も言わなくて、
ただ自分の前では「私」でいいよと伝えるんですけど
大智は、瑛に関してはクラブに属している事実を心のどこかで認めている部分もあるような気がしていて、言葉をかけることはなかったけど、決して否定はしないのがいいなと思いました。
クラブにいることを否定したら瑛そのものを否定することになっちゃうし。クラブを本当に壊していいのかの迷いがここでも生まれてるのがよかったです。
で、大智に自分の前では「私」でいいよと言われたが、白坂君の前では少し恥ずかしいかなって照れくさそうに微笑むんですけど、これって、瑛が学校の中で男として接している大智との時間もそれはそれで本人にとっては大切に思っているからこその発言だったんじゃないかなとも思ったりして、またなんか切なくなった。
初めてクラブ内で瑛さんの姿を大智に見られた時は、大智に軽蔑されて嫌悪感を抱かれるであろうことを当然だと思いながらも、大智にだけはこんな姿知られたくなかったとショックの色を見せていた瑛が、大智に本当の自分を理解してもらえたことでさらに大智への信頼度がぐっと上がっているのが見えました。
この2人を姉妹ブランドのよしみでノーサンに転生させてくれないか?(危ない)
そもそもBLとかいうジャンルで括れないんですけどねこの2人は!!(情緒不安定)

そしてしばらく経って、大智が久しぶりにクラブに顔を出すと、嬉しそうな様子の瑛がいるんですけど、話し方や声色のわずかな変化から園田の洗脳が以前より強まっているのが感じられて、吹っ切れてるというかどこか心の焦点が合っていない上ずった感じがして、危うさをはらませる声優さんの演じ分けが凄いなぁと思いました。
瑛は一貫してまともな精神状態だったので、この瞬間あ、これはダメだと不安と恐怖に襲われた。
理由を聞くと、園田の助言でやっと本当の自分になる決心がついたとのことで、明日何かが起こるみたいなんですけどこの時の大智はもう心を失いきっている諦め虚無状態なので、興味も示さず話を受け流します。

次の日、学校内で突如悲鳴が上がり廊下に出ると女子生徒の服に身を包みから血を垂れ流し廊下を徘徊している瑛がいます。
結論から言うと生徒会室で自分のブツを自分で切り落としました。
本当の自分になれたと笑顔を浮かべながら立っているわけなんですけど、涙が滲んでいるのがなんとも切なくて、それはやっと男の自分から解放された喜びの涙なのか、壮絶な痛みからくる涙なのか、自分が守ってきたものを捨ててしまったことによる自責の涙なのか、その全てなのかは計り知れませんが、そんな瑛の姿と惨劇を見て、感情も心も失っていた大智が、辛かっただろう苦しかっただろう悩んだだろうって瑛の気持ちを汲み取ろうとする姿がもう胸が苦しかったです。けど私はこの大智の寄り添いに救われました。もう何を見ても何も感じなくなっていた大智だったのに。
顔も輪郭の部分が血濡れていて、一度訳あってトイレに寄ったようなのでその時に自分の姿を鏡でみて、自分の顔に両手をあて恍惚の表情を浮かべていたりなんかしたら萌えるなと思いました。
結果的に瑛は出血多量で倒れてしまい、そのまま物語から退場するのですが、最後に太智がもう一度、瑛に今幸せか?と問うんですけど、その問いは当然届かず答えは返ってこず、課外授業あとの会話との対比が切なかったです。
あの時幸せだと言われて何も言い返せなかった大智ですが、あの時大智が何か言ってあげられたらよかったのかな。でも本当に何も言葉が出てこなかったのかもだし、もう大智は何をしても裏目に出て相手を不幸へ導いてしまう可哀想な星の人だしね。
結果的に、切り落とされたブツは高い価値を付けられ売買され、ブツを切り落とす際も一部始終を生徒会室でカメラに収めるという客の要望に応えていたことが明らかになり、あくまで瑛の苦悩や決断は汚い大人に利用されていていただけだったことが事実で第三者からみたらどこまでも救いがない。
カメラに映る瑛は園田への感謝を伝え、喜びを感じながら行為に及んでいましたが、痛いものは痛いですし苦しいものは苦しいので涙は溢れるわけで、やっぱり心のどこかでは自分はこうなるしかなかったんだと心身ともに痛みを感じていたら辛い。
瑛は他の登場キャラクターとは違って、倫理観もまともでしたし頭がおかしくなっているわけでもなかったのかなと思うので無残に死んでった彼女らのように苦しみも痛みも快楽に変わるわけでもなく、普通の人間らしく、痛みも苦しみもダイレクトに感じてしまっていたんじゃないかなと思います。
あくまで私の考えですが。
だからこそ大智も瑛を心から不憫に思い、瑛の気持ちを想像することができたんじゃないかなと。
瑛は狂ったクラブにいましたが、一貫して自分という人間に、抱えている悩みや欠陥に一生命向き合っていただけのように思えます。
最悪な形であれ、瑛にとってはこのクラブにきっかけをもらって、居場所を見つけて、変わることができて、救われた一人だったわけなのでこれでよかったのかもしれない。
そして私はてっきり出血多量で亡くなってしまったかと思っていたのですが、どうやら瑛が生きていると製作陣から言及があったようで、もしそれが事実なら私にとってのなによりの救いだよー!!
ただ、ブツ切り落とすと性転換の手術ってできないらしいから本当に悪趣味ですよ。
園田や愛、汚い大人に利用されなければもっと違う形で自分自身と向き合い、幸せになれていた未来もあったのかもしれないので辛い。まぁこのゲームに正しさを求めたり、明るい未来を思い描くことがおかしいですけどね。
それでも瑛は自暴自棄に陥ったりや頭の正常な部分は失っていないように思えたので、こんな結末の後でもいつかクラブが必要なくなって自分らしく生きる中で新しい幸せや出会いを見つけられていたらいいな。
しっかり行為シーンもあって、エロゲーとしても完璧なものを見せてもらったので、これがギャルゲーなんて考えられないと思ったのですが、才色兼備で人望も厚くて生徒会で政治家の息子で、一見すべてを持っている勝ち組人間なのにギャルゲーかつ悪逆非道のフラテルニテの世界に産まれてしまったばかりに、桧垣瑛ルートができたことが皮肉でした。
でも作中の中で一番リアリティがあって考えさせられる話だと思いましたし私はこのゲームで瑛に出会えて本当に良かったです。
普段BL作品を食い漁る人間だからこそ、本当に今までにない感情や世界を見せてもらいました。
ジャンルは決してボーイズラブではありませんでしたが。
瑛ルートをプレイして思ったことが、BL作品ではノンケの男っていくらでも出てきますけど、大智をみてこれが本当の男だしノンケだよなってなった。
大智が瑛さんの姿にドキッとする描写が一度もないのが辛い。まあ愛以外には誰にもドキッとしてないか。
現実ってそう甘くない。(現実の世界でもないしギャルゲーの世界ですので)でも瑛は心が女性でしたし、大智に少しでも惹かれていてほしいなぁとも思うし、理解者兼友達として大事に思っているのもいいなと思う。もうなんでもいいから笑顔でいてほしいし幸せでいてほしい、生きているなら。
彼氏にこのルートの内容を強引に語り聞かせたら、男性向けのゲームで誰がそんな話喜ぶのって辛辣に言われて心理、、、になりました。普通の男にはやっぱり理解も興味も得られないのがどこまでいってもリアルでやられました。
実際に、ギャルゲーですし男性のプレイヤーの方は不快に思われた方も少なからずいたんじゃないでしょうか。
ただ、私と同じような趣味嗜好を持つ女性にはぜひプレイしてほしいなぁと感じたルートでした。 
最後になりますが、桧垣瑛のみならず他の登場人物とシナリオもどれも最高で本当に神作品だと思いました。色々と抵抗のない方は(色々と)是非!
次はユーフォリアやりたいな〜
長々と書きすぎたのでこれで終わります。
本当にこの作品で桧垣瑛という人間に出会えてよかったです。素晴らしいシナリオとお芝居をありがとうございました!
救われたが瑛が今もどこかで幸せでありますように。

フルコン後の製作陣コメントの瑛さんのイラストがやばすぎて卒倒しました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!れ、!!!!!!!!

瑛ルートを解説してくださっている方の動画です。
この動画が購入の決め手だったので心から感謝です。
ありがとうございます。
https://youtu.be/GnDl8sO3imA?si=YNptrSiAVqTv0soo

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