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お店巡り企画 #7 中井駅【菜来軒】

練習場のある下落合駅の隣駅、中井駅の中華料理屋【菜来軒】の五十嵐さんにお話を伺ってきました。五十嵐さんとは商店街のアポを取っているときに中井商友会の会長としてご紹介いただいたのをきっかけに知り合いました。そこで偶然、中華料理屋さんをしているということで今回のインタビューにつながりました。

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お店を始めたきっかけは?

このお店は自分の父と母が始めたお店なんです。この土地に何のゆかりもない父と母がたまたまこの土地に暮らし、42年続いたのがこのお店です。私が次いで10年なのでもう50年以上になります。
子供の頃は料理人になる気は全然なくて、むしろ親の苦労を知っているからやりたくないとすら思っていました。だけど、16・17歳の時にたまたま友達と入ったご飯屋さんがきっかけで「人に喜んでもらえる仕事っていいな!料理人てかっこいいな!」って思って、憧れるようになったんです。
だからきっかけは両親じゃなかったんですよ。(笑)


専門学校を卒業後、すぐお店を継ぐことになったのか?

料理の専門学校の卒業後は中華料理屋さんで修行を始めたんですが、実は3週間ほどですぐ逃げ出しちゃったんですよ。
勝手に辞めてしまったので、そのことを謝りに専門学校の先生のもとへ行ったら逆に謝られて、「もう1度僕のことを信用してほしい」と違うお店を紹介されました。
そのお店もやっぱり凄い厳しい厨房だったんですけど、不思議とその雰囲気は嫌じゃなくて、その熱いやり取りの中に自分も入っていきたいと思えたんですよね。
前のお店と何が違ったのか今でも分からないくらいなんですけど、一番下っ端から入って副料理長になるまで10年ほどお世話になりました。

複数の店で修行しようと思った理由は?

1つのお店しか知らず、ずっと同じお店の中にいてしまっては井の中の蛙になってしまうから、他のお店にも行ったほうがいいと言われていました。
そんなとき、料理の鉄人というTV番組で中華の鉄人・陳健一さんに挑んだ高木政雄さんと出会ったんです。
たまたま付き添いで行った会合に高木さんも来ていて、料理人なのにスーツを着ているその姿がすごくカッコよかったんです!
それであの人のもとに修行に行かせてくださいってお願いをして、行かせてもらえることになりました。

料理人 高木政雄さんの影響。

この人がホント天才って言われていた人なんですね。
味見をお願いしても、作っている音を聞いていて、あとは料理の色だけ見たら「大丈夫だから出してごらん」って言うんですよ。それくらい肌感覚で料理ができちゃう人だったんですよ。
考え方もすごく面白い人で、僕が修行に行かせてもらったときのお店はすごく小さかったんですね。
だから「もともとすごい有名で大きなお店で働いていたのに、こんな小さいお店で働いていると都落ちだって言われてしまいませんか?」って聞いたことがあったんです。
そうしたら「ここのお店は都落ちなの?僕はプロだからどこへ行ったって完璧な料理を作るだけだから気にしたことがないよ、どこへ行ったって作る料理は一緒だから」って言われたんですよ。その言葉にすごく感動してしまって、その人のもとでは1年半しか一緒に働けなかったんですが、その間の濃さがすごすぎて、今でもなにかあるとあの方の言葉を思い出して影響を受けていますね。

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本場を知るため中国人のお店で働く。

その後は、本場の味っていうものを知りたくて料理人が全員中国人のお店で働くことにしたんです。
そこの料理長も中国の特級料理人っていうすごい資格を持っている方だったんですけど、その方たちがいつも言うことが、「自分の足で行きなさい、自分の足で探しなさい」って言うんです。足を使って相手と会って話したり食べたりするとそれが血となり肉となるっていう話をするんですね。
それで、メールで済むような話でも実際に会いに行くと、全然違う話が始まったりして、そのぶん親近感が沸いて可愛がってもらえたりしたんですよね。
それが現在、商店会の会長になっても活かされるてるなと感じることがあるんです。自分から足を運んで商店会の方たちに話を聞きに回ると、色んな人から色んな話が出てきて、それがすごく役に立つんですよ。
全然関係ないようだけど、そうやって今までやってきたことって繋がっていくんだなって実感しますね。

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菜来軒に戻ってきたきっかけとは?

親父が体調を崩したのをきっかけに継ぐことにしました。
正直な話、ずっと高級店で働いてきたので、いつかは自分もそういうお店を出したいって考えていたんですよね。だから、この中井でお店を継ぐって考えたときはいまいち前向きになれず、高木政雄さんにも相談しました。
そうしたらあの方は「ラッキーだね!その街で一番のお店になっちゃいなよ!色んなお店がある中で、小さいお店がその街で一番になったら面白いじゃん!」っておっしゃったんです。自分にはその発想がなかったので、それからはすごく前向きに思えるようになったんです。
それからですね、このお店では「黒胡麻担々麺」を売りにしてやっていこうと決めたんです。
この黒胡麻担々麺が全国的にも有名になって、あちこちから黒胡麻担々麺を食べるために中井まで人が来るようになったり、通販で売られるようになったりできたらいいなって思っていて、自分たちは自分たちなりの一番を目指そうってなったんです。それが妻と話している私たちの夢になっていますね!

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インタビューしてみて

最初はフレンチのシェフになりたかったという五十嵐さんのお話は、天才と呼ばれた高木政雄さんと共に働いていたときのお話など色々な経験をされていて、まだまだ興味深いお話をたくさん聞かせていただきました!
五十嵐さんイチオシの黒胡麻担々麺も最高においしいです!いつかスタジアムグルメとしてこれが食べれたら…なんてことも勝手に妄想しています!

菜来軒
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TEL 03-3371-4041
住所 東京都新宿区上落合2-19-7 シャルム田中 1F
アクセス 西武新宿線・都営大江戸線 中井駅より徒歩3分
営業時間
昼 11:30~14:30 (L.O 14:00)
夜 17:30〜22:30 (L.O 22:00) 
定休日 日曜日


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