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お店巡り企画#3 天津飯店 新宿本店

お店巡り企画の第三弾、今回は弊社のパートナーとしてアスリート事業部の事業部長を務めていらっしゃる北原亘さんのご紹介で、西新宿にある老舗中国料理店【天津飯店の3代目社長 貝塚弘光さんにインタビューさせていただきました!

北京編集

Q.お店の成り立ちを教えてください。

A.(貝塚さん)天津飯店はここまで中国料理一本でやってきて、今年で創業66年になります。中国の天津市出身の祖父が日本に渡り、祖母と一緒に屋台を引っ張って餃子を売ったのが始まりになります。今では直営10店舗、FCで3店舗経営しています。
祖父とは小さい頃から一緒に暮らしていました。2007年に祖父が亡くなったとき、中国でも葬儀を行うことになり、そのとき初めて祖父が生まれ育った中国の実家を見に行きました。祖父が暮らしていた実家は馬糞と土を混ぜて固めた壁で造られているもので、その光景を目にしたとき言葉にならないくらいの衝撃を受けました。
自分は生まれてから何不自由なく生活させてもらってきましたが、祖父の生まれ育った家や背景を知って、何も知らずにいた自分が恥ずかしくなったのと同時に、祖父が色んな苦労を乗り越えて築いたこの天津飯店を私たち家族が引き継いでいかなければいけないという使命感に駆られ、自分たち兄弟で受け継いでいこうと決意しました。今では66年続いたこの天津飯店グループを自分たちの代で100年企業にして4代目に引き継ぐことを目標としています。

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Q.御祖父様は天津市に奨学金制度をつくられたと伺いました。

A.(貝塚さん)いつも祖父は「これからは教育が大事だ」と言っていました。自分が小学校までしか出ていないこともあって、子供たちに学べる環境をつくってあげたいという想いから天津市に正心小学校という小学校を建てたり、南開大学に寄付をしたりもしていました。実際に現在も奨学金制度は残っています。

Q.現在も中国との繋がりを感じることはありますか?

A.(貝塚さん)もともと戦後間もない頃に祖父が日本に渡ってきたのも、食文化を通じて日本と中国の架け橋になりたいという想いがあってのことでした。日本と中国の食文化は近しいものがあり、生活に欠かせない「食」を介することでより人々の暮らしに響きやすいのではないかと考えたからです。
自分も4分の1は中国の血が入っていますし、中国や香港には親戚もいます。お店のほうにも中国人の従業員が働いてくれています。
池袋には狗不理(ゴウブリ)という肉まんの専門店を出しているんですが、狗不理というのは中国の10大レストランと呼ばれる名店でして、そことは祖父との繋がりもあり、提携させてもらって出しているお店なんです。なので実際に中国の狗不理の職人の方に日本まで来てもらって本場の味を提供しています。
また、コロナが中国で流行りだしたときにはマスクを段ボール何箱と送ったりもしました、その後、中国が回復してきて逆に日本がマスク不足になると、今度は向こうから「マスク送ろうか?」なんてやり取りがあったりして、今でも助け合うような繋がりを感じられました。
ニュースを見ていると日中と政治的には色々と問題が取り上げられていますけど、個人間での交流でいえば心の繋がりの感じられる良い話しか聞こえてきませんね。

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Q.コロナ禍での影響など教えてください。

A.(貝塚さん)2月頃から徐々に影響が出始めました。デパートなどにも出店させてもらっていますが、武漢が最初に大きく取り上げられたこともあって、真っ先に中国料理店の客足が減っていきました。
直営の10店舗は4・5月は完全に休業して、6月から営業再開としました。休業していようが従業員の給料はもちろん払わなくてはならないし、店舗の家賃などもかかってくる。かなり苦しい状況であったのは事実ですね。

Q.そんな中でも東京医科大学病院の医療従事者の方たちに向けて無償でのお弁当の提供を行っていると聞きました。

A.(貝塚さん)4月から休業することになり、食材が大量に余ってしまったんです。このまま腐らせてしまうのは生産者の方にも申し訳ないですし、自分たちの従業員からも、「こうなってしまった以上は何かできることはありませんか?」と相談を受けました。こんな状況の中でも従業員の中からこう言った声が上がったことは誇らしかったですね。
ウチのお店は西新宿にできて36年になりますが、昔から東京医科大学病院の方たちにはよく使ってもらっていました。
コロナ病棟に関わらず各病棟の方に届くよう約100食分のお弁当を週に1回、2か月間続けています。
この活動を続けていく中で、いままで来てくれていた方からも、お弁当をきっかけにウチのお店を知ってくれた方からも「自粛があけたらすぐに食べに行きます!」と嬉しいメッセージをたくさん頂きました。
もう一つ嬉しかった事があります。それはウチの活動を知った近隣のお店からの申し出で、少しでも協力したいという想いから食材の提供をしていただいたことです。みんな苦しいはずなのにそんな中でもこうやって助け合うような繋がりを感じれたことが本当に嬉しかったです。
西新宿って一見冷たそうなビル群が立ち並んでて、人の繋がりとか感じられなさそうなイメージもあるかと思うんですけど、そこにいらっしゃるのはみんな同じ人間ですから、こういった助け合いもできたんだなと感じましたね。

カモ丼

Q.西新宿に本店を構えた理由を教えてください。

A.(貝塚さん)36年前、祖父は他の中国人の経営者達と共に日本で最初の中華街を新宿につくろうと計画していたんです。まだ今と違って土地もあったし、新宿という街に魅力を感じていたんだと思います。
ただ、フタを開けてみたら祖父しかお店を出さなかったんです。(笑) まだ都庁も無いし、高層ビルもそんなに無いなかで160坪もある大きいお店を出してしまって、お客さん呼び込むために毎日のようにパンフレットをもって頭を下げて回っていたと祖父がよく言っていました。

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Q.お客さんへの想いを教えてください。

A.(貝塚さん)36年間、元旦も休むことなく365日営業してきたこのお店が4月・5月の2か月間も休業するしかない状況になってしまいましたが、これからはより一層感染対策も従業員の体調管理もしっかりして、どんなときでも安心してご来店いただけるお店として、この場所にこの先も在り続けたいなと思いますので、これからもよろしくお願い致します。

インタビューしてみて。

御祖父様が日本に渡ってきた創業当時、ここ日本で商売することは色んな苦労があったと思います。それでも日中の架け橋になりたいという想いをもって築いたお店が今では3代目にまで受け継がれ、このコロナ禍でも率先して街のなかで助け合う繋がりをつくりだしている。単にお店を継続させるだけでなく、創業者の想いもこうして受け継がれていくんだなと感じました。
こうした背景を思い浮かべながら味わう老舗中国料理の味はまた格別だろうと思うと早く食べに行きたい気持ちになりました。
天津飯店ではHPで手作り餃子のネット販売も行っていますので、まずはこちらから味わってみるのもアリだなと思います!

ジャンボ餃子

天津飯店 新宿本店

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TEL 03-3342-0685
営業時間
LUNCH 11:30~15:00
DINNER 17:00~22:00




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