補助金活用のススメ

中小企業者のための補助金活用のススメ

1.キャッシュフロー対策と補助金

補助金は「原則後払い」です。
キャッシュとして振り込まれるのは、事業が終了してからになります。
具体的なフローは、①公募、②申請、③採択、④交付申請、⑤交付決定、⑥事業開始、⑦中間検査、⑧確定検査、⑨額の確定、⑩請求、⑪振込、となり、着金は一番最後です。
新型コロナウィルス等でキャッシュフローが厳しい方への支援策は「資金繰り対策」となりますので、そういった方は早めに日本政策金融公庫や最寄りの金融機関へ相談することをおススメします。
キャッシュフローに余裕がある方は、先んじて補助金活用を検討してもよいと思います。

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2.「上限〇〇円」の罠

公募要領等に「上限〇〇万円」と記載されても、必ずしも満額もらえる訳ではありません。以下に各フローにおける補助金受取可能性の額の推移を示しました。

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このようにフローが進むにつれて補助金受取可能額は構造的に下がる仕組みになっています。
具体的には、以下のとおりです。
①公募時点では、「上限〇〇万円」と記載があります。
②「さすがに上限はもらえないだろー」と思ったあなたは少し減らした額で申請します。
③採択されれば通知がきます。この時、申請者が多い場合、予算上限等から、申請額満額ではなく、「採択額」が通知されます。
④採択後の交付申請では、見積書等の書類を用意し、申請額を精査します。
⑤事業を実施し、実際に使った額のうち、中間検査・確定検査で証拠書類が揃った項目が最終的な支払額となります。
補助金活用を検討する際は、上記のとおり、フローが進むにつれて、補助金受取可能性額は逓減する構造になっていることを留意する必要があります。

3.補助金の「目に見えないコスト」

補助金を利用する際には、「目に見えないコスト」が存在します。
すなわち「書類整備コスト」です。
具体的には「専任1人」くらいのコストは見込んでおいた方がいいように思います。
以下に、参考として1つの契約で用意すべき書類の例を示します。

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このように一連の書類を用意する必要があります。
費目によって用意すべき書類も異なります。「人件費」「旅費」は用意すべき書類が多い印象です。
テクニカルにこの負担を軽減する方法としては、「契約の件数を減らすこと」「書類整理が比較的な簡単な費目を選ぶこと」です。
加えて、事業が終了するタイミングでは「実績報告書」を提出し、事業終了後も5年間は「事業化状況報告」を提出する必要があります。
このように補助金を利用する場合は、「書類整備コスト」に見合うリターンがあるかを考える必要があります。

最後に・・・

ひとまず以上です。
「ものづくり補助金」等、入口要件がかなり緩和された補助金が出るようになりましたので、元公務員の経験を基に、中小企業者さまのお役に立てればと思い、記載しました。
上記は国関係の補助金ですが、補助金の種別によって対応も様々だと思いますので、あくまでご参考として認識して頂ければ幸いです。

最後に最近公募になった補助金のURLを記載します。
❏設備投資・システム開発なら「ものづくり補助金」
❏販路開拓なら「持続化補助金」
❏IT導入による効率化なら「IT導入補助金」

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