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宇野維正先生考察第七十段 三原勇希 × 田中宗一郎 POP LIFE: The Podcast ストレンジャーシングス&ピークTV回の宇野先生編

今回の宇野先生考察はお馴染みのPOP LIFE: The Podcastのストレンジャーシングス回とピークTVの宇野先生の発言をピックアップしていきます。

ストレンジャーシングスと言えばかつて宇野先生は『ストレンジャーシングスとチャンスザラッパーが好きな文化的感度が高い人たちがハマっているのが欅坂46』という名言を放った事がありましたが、チャンスザラッパーもかなりプロップスを失ってしまい、欅坂は櫻坂になり坂道グループでは厳しい立場なっていますが宇野先生はその辺はどう思っているのか気になる所ですね。ではピックアップしていきます。



『ピークTVと言うのはプレイングバッドとかゲームオブスローンがわー!と盛り上がっていた2010年代の前半にかつてのテレビの全盛期とは違うテレビの全盛期だとして生まれた言葉で10年以上使われてる言葉なんだけどそれが紆余曲折しながらもコンテンツ的には間違いなくいままたピークが来てる』
『はい、映画音楽ジャーナリストの宇野維正です』
『僕もマイアミバイスとかツインピークスとか映画の並列する中で割と観ていた方。それこそ24とかね。だけど、やっぱり根底から覆ったと言うか、一番凄いのがテレビシリーズだって言うのが確定したのがブレイキングバットでそれ以降は基本的にはそのスタンスですよね。一部の映画の大巨匠は置いておいたとして普通に生産されている作品のクオリティの上の方で比べた時にテレビの方が重要じゃない?って思ったのがブレイキングバットかな?あれが2008年とかだから。それ以降は変わらない。タランティーノとかクリストファーノーランとかポールトーマンアンダーソンとかテレビシリーズを撮らない。俺はフィルムで撮るって言う映画監督が作ってる作品はそれは別の意味で特別だけど、それを除いたらテレビシリーズのが全然重要じゃない?って言うのはずっと10年以上続いてるし視聴してる。僕は広い意味では映画とかを紹介する業界にずっといるんだけどそれが共通認識として広がってないことにただただボカンとしてる』



『宇野は音楽回には呼ばないって言われて本当に呼ばれてなくて、わざわざこんな回に呼んで頂いてありがたい話なんですけど。』



日本ってだってイカゲームでさえちょっと流行るの遅かったからね。時間差あったから。けど、一週間経ったら日本でも流石にストレンジャーシングスが一位になると思うけどね。日本は本当に特殊だから』
『満塁貯めた時に満塁ホームランを打つのがストレンジャーシングスのやり方。流行ってる物の決定打を出す。ケイトブッシュを使った事に関してもケイトブッシュブームは数年前から起きていた。そういうやり方に僕は興奮しなくなった』
『でも、それが大衆コンテンツの凄さなんだろうとは思う』


『ストレンジャーシングスに83年にスミスを好きなキャラクターが出てくるけど、あの時代にアメリカの田舎のティーンでスミスを聴いてるやつなんて絶対にいない。アメリカのカレッジチャートをスミスが席巻する前だからね。俺、気になって色々調べちゃったもん』



『そこはバクでもあるけどバグをうまく見せてる』
『俺はスクールカーストって言葉が大嫌い。本当は発音もしなくないんですけど』
『ストレンジャーシングスの文化的役割がちょっと弱まっていると感じざる得ない』


『ナードギークの人たちの好きな物で人の優劣を図るのが今は一番嫌いなんだよ。それはずっと僕たちは自分の含めてあったけど。それが嫌になったし、それが諸悪の根源でサブカルの連中がそんな事ばっかり00年代に入ってからもやり続けたからカルチャーは死んだんですよ。特にこの国。この国のカルチャーを殺したのはそいつらだから。人が何が好きかで優劣なんてないの。何が好きでも良いの。それが大前提だから。それをストレンジャーシングスみたいな人気コンテンツが繰り返すことによって。例えばほら、ポリスアカデミー3行こうぜって言ってたらそんなの興味ないみたいなさ。そうじゃないだろ。ポリスアカデミー3に寄り添えみたいな。人の趣味で人をジャッジする事は本当にくだらない事だから』

『今だとB'z聴いてるって聞くとどこが良いのか教えてって思うもん』
三原さん「一緒やん」




『我々みたいな正しい大人にならないと乗り切れないから』



『マジでまがいなりにもタナソーさんと俺が食えてるのそのマインドがあるからですよ。はっきり言うよそれは。人の好きな物で優劣付けてる人間なんて生きていけないよこんな時代。』

『僕も本音では趣味で優劣思ってますよ。でも、それを言うか言わないかというかどう言う表現をするか?って事なんだよ』

『ホラーのジェイソンとかフレディは歌舞伎みたいになってしまった。よっ!フレディ!みたいな』

『製作者の夢のコンテンツだよね。やりたい事全部やれてるんだもん』

『クリエイターは怒りとか恨みとかすごく重要でそれがない人間はダメだと思ってる』

『一番力のあるクリエイターが一番お金をかけて作ってるのがこれなので』

『ショーンレディは現代のスピルバーグじゃないですか』
『ストレンジャーシングスは長いんだよ。韓国ドラマですよこれ。』
『われわれはボクサーなんで50分しか戦えない。』
『ストレンジャーシングスは2010年代半ばの基礎教養なので』
『色々言いたいことはあるんだけどね』
『エルの役者の彼女が同時期にゴジラとかに出てるだけイマイチ弾けない感じ。ティーンスターの悲劇と言うか』

【寸評】

宇野先生は音楽回には呼ばない発言をタナソーがして呼ばれていない事について何か言いたげな宇野先生ですが、確かに映画、テレビシリーズ回だけで音楽回にも呼ぶとかなり宇野先生だらけになってしまうのでこれぐらいの頻度の方が良いような気はします。

ストレンジャーシングスのスミスの件はなかなか興味深い話でした。

他人が好きな物を馬鹿にするのは良くないと言ったのにどんどん発言がブレていて三原さんにも突っ込まれる宇野先生。宇野先生はかなり人が好きな物を馬鹿にしてるイメージなので聴いていて違和感がありましたが、三原さんのツッコミでもやもやが晴れました。




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『映画音楽ジャーナリストの僕の全然観切れてないのに普段、学校で勉学に励む学生や会社で働くビジネスマン、ビジネスウーマンが観れる訳ないよね』
『僕が大学に入った当初はツインピークスがブームで友達と東京中のレンタルビデオ店を手分けして探して見つけたらみんなで2時間観るのが生き甲斐みたいな生活を毎週していた。当時は週に二時間だったが、いまは一週間に何時間コンテンツを観ないといけないのか。しかも全てレベルが高くて』


『30年近く経つと本当に世の中は変わる』
2年前ぐらいに良く話してたのはNetflixの社長が我々の敵はAmazonでも HuluでもなくてFortniteだ。画面の前の奪い合いをしててそれは同業他社じゃなくてゲームだ。って事なんだけど2年経ってNetflixの株が暴落。子供たちはFortniteやってなくてみんなApexやってる。うちの子供とかも。いまはディズニープラス対Apexの時代になっていてまさかNetflix対Fortniteの時代が2年で終わるとは思いもしなかったって話ですよ』
『僕は個人的にスタンダップコメディを集中的に観るようになってNetflixのコメディアーカイブは流石で新作も出てるけど。Netflixに頑張って欲しいなと思うのはコメディにも力を入れてるから。改めてNetflixは外せないなと』
『僕ぐらいの英語力だと基本、字幕を頼りにするけど一応、耳でも聴いてるからちゃんと補完システムが自分の中でも出来ちゃってる』
『リンカーン弁護士で検索すると日本でもなんで吹き替えがないの?って言う意見が多い。字幕主義とかではないけどこれが今のリアルなんだなと』
『リンカーン弁護士の仕事のスタイルに凄く憧れた』
『日本のAmazonに言いたいのはタイラーザクリエイターのライブを流してくれと。ウィークエンドのライブを流すのにタイラーザクリエイターはやらない。Netflixがとにかく偉大なのは権利問題がなければ海外で観れる物は日本でも観れるようになってる。Amazonは選別かけてるのは言い訳にならないよねNetflixはやってる訳だから。Netflixはそこの信頼感は違う』
『僕の中では2008年からずっとトップはブレイキングバットとベターコールソウル。それはずっと変わらない。』
『僕は基本的に現代が舞台の作品が好きなんですよね』
『海外でしか観れないコンテンツをなんかの手段で観てこれ見よがしにツイートするのははしたないなと思っちゃう。何故ならみんなで共有するのがみんなで観るのが楽しいってタイプだから』

【寸評】

宇野先生のネットフリックスの社長の話は当時もしてましたが2年経ってここまで状況が変わるのは面白いですね。確かにゲームは全然分かりませんがフォートナイトの話は聞かなくなりApexの話は良く聞きます。

宇野先生のブレイキングバッドとベターコールソウルへの愛はこれまでも良く聞いていましたが2008年から現在までで最も好きな物だとは。宇野先生研究においても興味深い発言でした。


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