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宇野維正先生考察第四十七段 木津毅氏 ホストのIT`S A SIN PODCASTにゲスト出演した宇野先生編

今回の宇野先生考察は木津毅氏がホストを務めるIT`S A SIN PODCASTにゲスト出演した宇野先生の発言をピックアップしていきます。

以前に宇野先生がホストで木津氏がゲストのスターチャンネルPODCASTがありましたが(WE ARE WHO WE ARE RADIO)のホストとゲストが反対版ですね。

では宇野先生の発言をピックアップ行きます。



『よろしくお願いします。前のWe are who We are  の時は僕がホストで木津くんにゲストで来てもらって、今回は反対になって、こんな依頼断れれる訳無い。』
『すごく面白かったです。俺は昔話は能動的にはしない様にしてるけど』
『あんまり好きな言葉じゃないけど答え合わせみたいな』
『当時、イギリスだとデレクジャーマンとか観てたけど』
『聴いてるミュージシャンの半分ぐらいはゲイのミュージシャンだったと言っても過言じゃないけど当時はそれを認識してなかった』
『観て仲間いいなあって思ったの』
『ゲイのアーティストはバンドじゃなくてユニットが多いの』
『救いがない話だけど観ててそれほど憂鬱な気持ちにならないのは仲間と支え合ってるから』
『観ててそう言えばゲイのミュージシャンはみんな2人組だったな。ペットショップボーイズとかワム!とかアンドリューはヘテロだけど』
『クイーンとか例外はあるけど』
『イギリスってエルトンジョン、フレディマーキュリー、ジョージアマイケル。王室とかの前で歌ってる人はずっとゲイだった』
国の代表みたいな人はゲイだった、イギリスのプライオリティ。それがこの作品にも出ている』
『これだけのヒットメイカーの作品でも色んな局で断れてたけどチャンネル4で放送して大ヒットしたざまあみろ!って気持ちはあるよね』
『HIVが昔より重大な病気でなくなった事がこれを描けるようになったじゃ無いのかな?」

『こんな時代にバカな事を言ってあらゆるフェスからキャンセルされたバカなラッパーとかいましたね。ダベイビー。』
『ダベイビーがフロリダでやったローリングラウドで「2、3週間で死ぬ病気にかかってない奴ははスマホのあかりを照らせ」という。ようはエイズになってないやつは手を上げろと言う酷い掛け声をした』

『そのあと、本人はあんまり反省してなかったけど翌週からのフェスはキャンセルにさせられて、エルトンジョンやマドンナなどの大物からも辛辣な苦言呈されていた』
『ダベイビーは暴言を売りしてきた人でなかった。本当に無知だったし、ラップ、ヒップホップコミュニティに根強くあるホモフォビアみたいな物をこんな形で露わにするみたいな。頭抱えてる人が多いと思う。デュアリバとかゲイコミュニティからの支持が強い人ともいっぱい絡んでるし』
『特殊なラッパーではなくど真ん中のラッパーが言ってる』
『この問題はダベイビー相当しんどいと思うよ』
俺はキャンセルカルチャーに対して否定的な立場を取る事が多いけどこれに関しては言ってる事に全く弁解の余地がないのと、その後の反省が全く見られないことの合わせ技で。
『もちろんフェスをキャンセルしないでそこで罵声を浴びて責任を取るってやり方もあるとは思うけど、問題発言した人をフェスからキャンセルすることが正しいとは思わないけどらダベイビーをめぐってキャンセルが起きるのは仕方ないと思う』
『フランクオーシャンは一段、二段抜けすぎて宝石屋さんになってしまった』 
『ホーマーってブランドを立ち上げてニューヨークにお店を出して、オンラインでは買えなくて、宝石をデザインしてお店で売る。プラダとも手を組んで共同しながら実業家としてやってる。リアーナもそうですけど、ミュージシャンの副業ではなく音楽が副業になってしまうという流れになってしまっている』
『作品の成功への野心は見てて気持ち良いんだよね。フランクオーシャンやリアーナの実業もそこにある。幼少期に困窮してたからこその』
『木津くんってあんまり野心家じゃないよね?』


『吉田豪さんとかに宇野さんはデリカシーがないとか言われるので気をつけて話さないといけないんですけど』


『もしエイズがなければ全然歴史は変わっていたと思う』
『テレビの深夜番組に影響を受けた。もちろん小林克也さんのベストヒットUSAもだけど、何よりも圧倒的に影響を受けたのはピーターバラカンさんがTBSでやっていたポッパーズMTV。さっき言ったIT'S A SINやソフトシェルの曲の背景を全てこの番組で知った。今思えばこの番組自体がゲイの曲を積極的にかけていた。いまバラカンさんってルーツミュージックに近いイメージだけど当時は80年代のイギリスの音楽の伝道師だった。YMOの仕事もやっていて電子音楽の伝道師でもあった』
何でカルチャークラブとかデュランデュランとかスパンダーバレエとかワールドヒットしたかと言うと明確な理由があってMTVが黒人を嫌ったからなんだよね。ようするにアメリカのMTVがデカっくなっていく家庭で白人の保守層が黒人音楽を流すなって抗議した。それに配慮した。デビットボウイはそれにめちゃくちゃブチギレれてた。ボウイの80年代のMTVのインタビューで最高の奴があってお前ら黒人音楽流さないだろ。ってキレてる奴がある。』
『リアルタイムで番組の中で言ってたデビットボウイの偉大さなんだけど』
『この流れはthrillerで変わっていく』
『その流れの中でのマイケルジャクソンのグローバルスター化とプリンスのスター化。この2人が出てくる前は、こんなにMTVってフォーマットに人気があるのにかける曲がなくて目をつけたのイギリスの白人アーティスト。ビジュアル的にルックスも良いし白人の綺麗な顔をしたアーティストのMVが大量に流されるのが第二次ブリティッシュ・インヴェイジョンの実態』
『それに並行してマイケル、プリンス、マドンナがブレイクしていくMTVの力で』
『この作品の中でもカルチャークラブが出てくる』
当時の感覚では黒人より女装してるオカマのが良かった訳です。今はオカマは差別用語ですけど、当時の言葉ではね』
『でも、ああいうもので育つと偏見はなくよね』
『カルチャークラブのカーマカメレオンのオカマとカマカマをかけるのは偶然のマジックでキャッチーな事なんですよ』
『いま、ロックインジャパンと言うとロッキングオン社がやってるあのイベントの事を思い出すじゃないですか。あれさ、始めた時にあれ著作権大丈夫なの?って思ったんだけど85年にロックインジャパンフェスが横浜スタジアムで行われて俺は観に行ってるんですよ。トリがカルチャークラブ、ほかにスタイルカウンシル、ゴーウエスト、アソシエイツ。スタイルカウンシル以外ほぼほぼって言う。ようするにイギリスのエレポップ祭りですよ。そう言うのがロックインジャパンって名前で横浜スタジアムで、台風とぶつかって大変だったんだけどさ。全部、そういう現場をみてきて俺は普段、昔話はしないんだけどさ。懐かしいね。テキトーだったよ。もちろん企業の協賛とか沢山ついてさ。あのおおらかを知ってるからこそこの作品の裏でHIVの深刻さを今見れて良かったと思う。未だに一番好きなアーティストはフランクオーシャンで、一番好きな監督はルカグァダニーノだからさ』
そういうのは80年代から培われてるからさ。俺はゲイじゃ無いですから一番好きとか言えないなとか思わない。だって最高なんだもん』
『彼らが素晴らしいのはゲイだからとも思わないしね。けど、この作品でゲイについて知るのは自分にとって大切な時間でした。』
『ゲイに関しては出演者のアイデンティティが大切な時代になっていくんだろうなと思いますね』
『日本ではどれぐらい見られるか分からないけどイギリスでは局で過去最大ぐらいのヒットになっている事がエルトンとフレディとジョージを愛してきたイギリスってすげえな!って思う』
『コロナのワクチン打つことなんて当たり前として話してると意外と近い人が怖くて打てないって言ったりしてる。俺は住んでる自治体は良い自治体だからとっくに終わってるんだけど、良い自治体を選ぶのも重要だと思うけど、俺、変な市長とかいる所に住むの嫌だしさあ。住むところなんて選べる訳だから』
『とは言っても打ちたくても打てない人もいるから言わない様にしてるとか言う人がいるとそれもそうだなって思うけど』
『僕も気付くんもコロナに関しては信じてるものが違うかも知れない世界線に生きてるわけで人ごとじゃないよね』
『20代前半の友達って儚いよね。いま、付き合ってる人誰もいないもん』
『けど、仲間がいて良かったなって言うそう言うことも思いながら観てた』
『ティーンムービーの親の描き方が気になるのは自分が親だから』
自分の子供がゲイだったらどうしよう?って言う話を妻とすることもあったからね』
『人種差別にも言えることだけど、今の価値観でお年寄りだったりとか過去のことを責めるのは俺は嫌いかな』
『偏見のある親が悪役として出てくるけど仕方ないなとは思う』
『時代であり、生活環境であり、無知が影響してることなので、20代の世界を代表する人気ラッパーの今を生きてるダベイビーは問題はだけど、何でもかんでも偏見持ってる人をつめるって言うのは俺はどんなイシューに関しても俺はくみしないでおこうと思うし、仕方がないなって思うし、それよりは変えていかなきゃなって思うし、自分も変わっていかないといけないなと思う』
俺は凄い嫌な言葉がアップデートで人間はソフトウェアでは無いので入れ替えることはできない。日々日々ちょっとずつ変わっていくことしかできない。入れ替えることは出来ないので。どんな問題に関しても日々、何を見て何を感じ、何を読んでしか変わらないと思ってるので。俺はアップデートとか言ってる奴らは絶対信用しない。それは中身変わってなくて、上っ面変えただけだから。もちろん上っ面も重要だけど、そう言う人は本当に信用できないなと思って日々生きてます』
『ぜんぜん綺麗事にしてないし必要以上に現代に繋げてなくてそこが潔いなと思った』
『こういう政治性、社会性のある作品って結構現代に繋ぎたくなるのよ。作り手って。 昔のテロを描いて最近のテロを描くみたいな。そういうのをやってない所が作品の誠実さだなあと思ったもん。』
『言いたい事を最後に出したりとか文字に出したりとかしない所がそこはすごくこの作品の潔さを感じました』
『ロンドンに最初に行ったのは90年。俺はミレニアムのパーティをロンドンで過ごしてるんですよ。プライマルスクリームとかプロディジーとか出る奴で、すごいよね。俺、楽しい人生を送ってるでしょ?20代の終わりでこんなところでは言えない。ミレニアムの瞬間をロンドンで過ごして、サッカーも行ってたから90年から2010年の間に一番行った待ちだよね。10回とかはいってるんじゃない?』
『ロンドンで撮影してないのはロンドンはジェントリフィケーションが進みまくってるから古い街並みがない。だったらどこで撮っても同じじゃんって事でロンドンで撮影してないのでは?と俺は思いました。あと、物価が高いから撮影が大変だから』
『車も物凄い金額を払わないとロンドンに入れない』
『あの時代にロンドンに行ってて良かったなと思うよ』
『ポールウォーケンフォールドとかアンディウェザーオールのDJ聴きに一人でクラブとか行ってたからね』
『いい時代だったし俺も元気だったなと思う。1人では行かないよ』
『やっぱりマッドチェスターって凄かったなあって。ゲイのアーティストが中心にいた風景がガラッと変わった』
『ニューオーダーはゲイミュージックでもあったけど、やっぱさあ、ストーンローゼズとかハッピーマンデーズとかインスペラルカーペッツとか出てきた時点で相当、風景変わったなあって。ゲイミュージックはアシッドハウスとかに吸収されていって、ヤズーとかさあ。一部、エレポップがハウス化していくんだよね。その文脈はあるんだけど、バンドミュージックで結構、雰囲気変わったなあと。そのあとはブリットポップでしょ。結構、男性的だよね。pulpとかは比較的中性的だったけどあの時代に変わったなと思う。91年でこのドラマの話が終わるのも分かる』
今っぽい話をするならダベイビーの発言がいかに間違ってるかこのドラマを見れば分かるよって。』
『個人的にはあの頃話をしない様にしてる僕でもしたくなるようなリアルな80年代のイギリス。好きだったものが物がこういう土壌から生まれてきたんだなあって言うのを確認する凄くいい機会になったと思うので、若い世代はそうですね。こう言う音楽がどう言う土壌から来てるか分かると思うよ』
『登場人物たちのように亡くなって行った方の上に今のカルチャーがあることは考えないとね』
フランクオーシャンのPrEP+の一連の動きとかもどれだけ切実なのかも場所は違えど気付かされるよね。』
『ありがとうございました。どれだけ使われるだろう?はーい』


【総評】


Years & Yearsが好きなので今年のこのエルトンとのパフォーマンスを観ましたが、海外ドラマに詳しくないのでなぜこの二人がペットショップボーイズのこの曲のカバーをしてるの?ゲイのトップグループの曲をゲイのレジェンドアーティストと新世代のゲイアーティストの夢のコラボなぜ?と不思議だったのですが、このPODCASTを聴いてようやくこのパフォーマンスの意味が分かりましたね。これは素直に勉強になりました。

宇野先生関連では宇野先生はロンドンでミレニアムを過ごしたという謎情報がゲットできた回でしたね。

ダベイビー大好きな宇野先生の例の件の発言についての見解を聞けた事も良かった。擁護するかな?とも思いましたが発言が発言だけに流石に糾弾してました。

吉田豪氏からデリカシーないと言われたことを実は気にしてる宇野先生も良かったですね。

宇野先生のフランクオーシャンへの愛は語る度に出てきますが今回も出てきました。いつかフランクオーシャン回をやって欲しいですね。

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