宇野維正先生考察 第八段『2010s』刊行記念 宇野維正×田中宗一郎 トークライブ九州死闘篇 -熊本- 編

今回はタナソーと宇野先生のトークライブの熊本編の配信からの考察です。実はFM802やKISS FMゲスト出演の考察も準備しておりましたが配信期限までにテキストの準備出来ず見送りとなってしまいました。基本的には公開しない予定ですが途中まででも公開して欲しいと言うリクエストがあればFM802に関しては上げることは出来ます。

配信期限が今日までらしいので急いでテキスト化しました。2010sの発売記念イベントの最終日に序盤だけ配信した宇野先生とタナソーのトークから宇野先生の気になる発言をピックアップしていきます。

『僕はコロナウイルスはあんまり気に気にしてないんですが。そんなこと言っても人それぞれなんで休憩中に換気などしていきます』
『諸々を忘れるぐらい楽しいトークイベントにして行けばと思います。』

『音被ってる。消してもやって良いですか!あっ、俺だ。俺が音出してる。凄いな。自分にキレてた。』

『いまこんなパーカー(フランクオーシャン)着てるけど。いまみんな2010年代の最高傑作はフランクオーシャンのblondeだって認識だけど出た当初は酷かったよね』

『このイベントを続けてきてちゃんと伝わってるんだ。世の中も変わってるんだって事を実感出来ている。』

『この本を買ってもらった人たちには仲間意識を持つのは当然の事だけど』

『これ出すときに叩かれると思った。日本終わってんなって内容も書いてあるから。それは僕もタナソーさんも基調にあるものだけど。』

『一年前までは世界中マーベル映画見てるのに日本ではあんまり盛り上がってないとか言うと簡単に炎上したんですよ。まあ言い方が悪いって言うのと人格が悪いって言うのはありますけど笑』

『思いの外自分たちの読者以外にも届いているのを感じる。日本終わってんなと言う。』

『年明けはWW3でトレンドになった。』

『あん時はガソリン上がるなあとは思ったけどトイレットペーパーなくなるとは思わなかったよね。いつまで同じことを繰りかえしているんだって』

『年明けのやつがウィンターソルジャーだとしたらいま起きてるこたはサノスでありゲースロのホワイトウォーカーであり気候変動のアナロジー』

『気候変動は全世界、全人類が向き合う外側からくる問題。今回のウイルスも予言めいたつもりは無いけど危惧していたことが次々と起きている』

タナソー HBOのチェルノブイリの話をする

**『でも、日本も頑張ってますよーFUKUSHIMA 50だっけ?笑 終わってんなー、終わってんなーって話しです』 **

『音楽ファンの間での共通の問題意識となっているのはこの配信をすることも関係あるけど実際予約キャンセルされた方もいる。九州4カ所のイベンターの方がライブハウスを抑えてやってくれててもしかすると新潮社の方に迷惑を掛けるかも知れないけど我々馬鹿だから何も考えずやってるけど』
『ウイルスは気にしてないけどウイルスの影響に関しては気にしてる。自分はどうなって良いやと思ってる。でも、家族はいるしね。もちろん気をつけないとはいけないけど。』
『だからイベンターの方から配信を薦められて配信した。他の会場と明らかに話す雰囲気違うのは配信されているから。』
『ライブハウスが槍玉に挙げられていることとか東京事変がライブをやれば決行したとか強行したとか言われる。それにYOSHIKIが異論を唱えたいとか。音楽とか映画とか延期になったりして残念な事になっているけど配信なので迂闊なことは言えませんがどっかでまあやりましょうってなっちゃうと思うんだ笑』
『と言うのは一回止めないと終息したと言うメッセージも出せない。オリンピックのために止められたと言うのは陰謀論でもなく事実だと思う。』
『その間に色んな会談がされて決まっていくと思う。10日に安倍首相が会見するんでしょ?』
『特に今年はオリンピックがあって会場使えないから延期じゃなくて中止になってる。』
『どっかでおさまりつくがここで終息されたことにしてホッとする人はよく分からない。全然気にしてない奴に言われたく無いだろうが』
『日本の政府は問題あるがそればかり言ってる人はどうかとは思う。我々のカルチャーにはそういう人は多いが。悪いことでは無いが他国もトランプ、ボリスジョンソン、プーチンみんな根っこは同じで問題抱えている』
『仮に日本で終息しても他の国ではどうなるか分からない。』
『震災と比べる人もいるけど震災と違うのは南極と北朝鮮以外はすべての国が抱える問題』

『韓国のパラサイトと国家が破産する日やセットで見るとそのコンテクストとかが明確に見える。』
『お昼熊本のスリランカ料理薦められて食べた安いよね。850円でデザートまで付いてたもんね。』
『コロナウイルス騒動がフィクションと違うなと思ったのは例えばゲースロにせよアジェンジャーズにせよ人類共通の敵が現れた時に団結できるのか?と言う話だが、今ある問題は一度傍に置いて言う話になると思ったが実際起きるのは僕が来月コーチェラに行った時に差別を受けるかも知れない。こういう問題が起きたときにレイシズムなどの問題に油を注ぐ形になるのがフィクションと違うんだなと思った』
『元々ノブレスオブリュージュの発想が日本にはない。』
タナソー 「読んでないよね?俺のところは?」 → 『割とね』

『サウスのラッパーは別の文脈を作った』

『ラップの章でも僕がアトランタの話をしようとしてもタナソーさんはミックステープがー、ミックステープがー。ミックステープおじさんですよ』

『ヒップホップの歴史における役割はひと段落したミックステープは』

『ヒップホップの世界で実際起きてるのはルールが書き変わったと思ったらユダヤ系とか中東系とか白人の利権を取り戻したはずだったのが結局変わらなくてつまらないって話でしょ』

『人類の歴史ってずっとそうじゃん。で厄介なのはゲームのルールを書き換えるのは民衆だけじゃないわけじゃん。さっきのレディオヘッドの曲の話じゃないけどリーマンショックで銀行システムが終わると思ったじゃん。国が銀行に金を入れ続けたわけじゃん。生贄として何社か潰れたけど。それの余波で日本も影響を受けた。映画音楽ライターとかには関係ないと思われがちだけで大きかった。そのあと震災もあったからまとめて語られがちだけどリーマンショックは大きかった。』

『資本家が一番ゲームのルールを変えやすい。』

『この本がありがたいことに売れてるのはそれに気付いて人が増えて受け入れやすくなった。』

『コロナウイルスが流行って一番喜んでいるのはネットフリックスとAmazon』

『今回のイベントで聞きたいのは東京オリンピックは延期、中止、無観客とかで酷いことになってしまえと思ってる人ととはいえ成功してほしいと思ってる人どっちが多いか』

タナソー 「高橋健太郎さんいるじゃないですか?」 → 『あー、俺同業者の話は配信とかではしたくない』
『おー、綺麗に別れるんですね。これは東京視点だと分からないんですよ。』

タナソー 「僕の周りにB’z聴いたことある奴一人もいない」 → 『僕もそうよ。でも僕とタナソーさん違うのはそれを自慢げに言わない。成熟してるから。』
『僕の周りだとオリンピックに対してポジティブなやつ一人もいないんですよ。あいつめんどくせえから話合わせておこと思われてるかも知れないけど。』
『マンチェスターはいま凄い綺麗ですよ』
『オリンピックの後に大不景気が来るって言うのはみんなが言ってたことだけどそれ以上の物が来るわけじゃん』
『なんか無邪気にぶっ飛んじゃえって思っちゃいけないかなとは思う』
『東京がオリンピックやりたいって行って賄賂までして呼んできてそれがダメになって東京がダメージ喰らうのは自業自得ですよ。でも、それで熊本とか地方だって均等にダメージ食らうわけじゃないですか。都民として申し訳ない気持ちや不甲斐ない気持ちになる』
『住んでるところから離れて話すとグッドなバイブを感じる』
『東京は賑わっていたように感じるけど実はその内実は中国人や韓国人の旅行者だった訳で特に銀座とか』
『インバウンドによって目隠しされていた物が明らかになった。コロナウイルスの影響で家に篭っているから街から人が消えたわけではなく外国人が来ないと東京は閑散とした街になってしまう』

『謝らないといけないのは九州ツアーはスヌーザーの読者ぐらいしか来ないんだろうなあと僕らは思っていたから求められているのは昔噺かな?と思っていたけど東京大阪は若い子が多くて驚いた。女の子は少なかったけど。女の子はトラウマだから笑。東京の女の子どうした?の』

『最近はタナソーさんや僕をPOP LIFEで知った人が多い。』
『そういう人が東京や大阪では来てくれたが九州は流石にそんな人は少ないと思ったが多くて嬉しかった。』

『東京なんて人が多いだけのど田舎じゃん。

ダッサイ奴しかいないしさ。マジでマジで。』

『ネットフリックスとかSpotifyの時代は都会と地方の情報格差がなくなった』
『一般人と評論家の情報格差も無くなった。』
『WEEKNDのライナーを聴けてないのに書かないといけない』
『昔は僕たち数ヶ月前に海外に聴きに行ったり、数ヶ月前に送って来て貰ったりしていた。』
『今はそれがないのが逆に楽しくなった』
『得られる情報は全くみなさんと同じでそれを実感出来たしそれは健康的なことだと思う。熊本では来日公演なんてないだろうし福岡でもまずない。名古屋も無くなったし大阪もなくなろうとしている音楽の面で東京の首都機能としてあるのは来日公演があることだけ。』
タナソー 「東京でもヒゲダンとキングヌーを聴いている。地方でも東京でも何も変わらない。」

『僕十年間代官山住んでた。』 → タナソー 「自慢?」 → 『自慢かなー笑』

『菊地成孔イズムですよね』 → タナソー 「違います。菊地さんはリスペクトしてますけどデリケートな話なんで」
『アドトラックが出てから僕街出なくなったもん。』

『大阪は本出す度に呼んで貰えるのは嬉しいけど大阪のラジオの邦楽感しんどいよね。802を個別に批判している訳ではないけどロッキングオンがロッキンジャパンフェスと言うイベントで生きてるとの同じで放送局がイベントに力を入れるとイベントに出演してくれるアーティストの曲ばかり流すようになるそうするとこの言葉はぼくもタナソーさんも絶対使わないで括弧にして欲しいんですけど洋楽が消える訳ですよ』

『その風土の中で大阪の人全員が802聴いてる訳じゃないけど代表例だからあげてるだけだが全国のラジオ局でも同じことが起きてかつてはあった各地のラジオ発の洋楽ヒットがほとんどなくなった』
『最後にあったのは恋のハイアヒぐらい』
『スキャットマンは世界的な一発屋だけど』
『我々は歳とってるから日本がどうやって変わったかを知ってるけど生まれたときからそういう世界で生きてる人はそれが当たり前だと思って日本人だから日本の音楽聴くのが当たり前だと思ってるかも知れないけどそんなのここ15年の話ですからね』
『この本の感想でここ十年間洋楽を聴けてなかったのでこれで追いつけますとかスヌーザーがなくなって何を聴けば良いか分からなかったのがこれで勉強出来ますというありがたい読者にタナソーさんは聴きたい音楽ぐらい自分で決めろよ!と切れたりする』
『福岡でそういうことがあった』

『質問した人にキレてるのはタナソーさんと小沢健二ぐらい』

『この会場は小沢健二の映画の上映会のお手伝いしたイベンターさんがやってくれた』

『小沢健二はこの映画を見て何を思い出しましたか?と質問して、答えを聞いて怒る。この人頭おかしいと思ったけどそれ以来に昨日のタナソーさんはそれをみた』

『好きな音楽ぐらい自分で見つけろといわれても正論だがこの国の環境にスポイルされてるのは大きい』
『この本に書いてある音楽で聴く必要がないものもある。』
『悪いのは貴方達じゃなくて環境。その環境の中にいるのが悪いんだよと知ってもらう為の本。』
『一時期iQOSにしたのは車を臭くしたくなかった。中学生の頃からクールを吸ってる』
タナソー 「これまさちゃんはPJハーベイに会うときにジャケット着て来た」
『音楽聴いて、映画観て、テレビシリーズ観て宇野さんいつ寝てるんですか?と言われるけどそれしかやってないから』
『普通に会社とか役所に勤めたとしたら観きれない』

『消化しきれない優れたコンテンツが流れ込んで来てエンジョイしようとしたら出来るけど量的には度を越している。それの答えは僕のTwitter見ろと。つまんないドラマみて無駄な時間過ごすのも仕事だと思ってて』

『日本のドラマは流石に見ないけどね』

『僕の答えは僕のTwitterを見ろ』

『宇多丸さんはキュレーションしてない。してるのはスタッフ。』

『話題になったものに触れているのではなく俺の気になった物が話題になる。』

タナソー 「これまさちゃんはエンドゲーム公開後は騒いでいたのに今では映画ではないとか言ってる。」

【総評】
何故か冒頭ガチな感じで切れたのに原因が自分だった宇野先生に宇野先生って裏ではこんな感じなのかな?と思わせてくれるやつでした。
あとは日本終わってる論と俺は凄い論のいつも宇野先生節が多いです。
東京の女の子どうした?はもはやネタみたいになってますが今回は東京の女の子だけで東京都民全員に噛みつく宇野先生です。
ミックステープおじさんの語感の良さはなかなか素晴らしいです。

FM802システム問題は真面目な話なかなか言えない話ですが流石その辺りの忖度なしの宇野先生でした。これには私もかなり言いたい事があります。FM802はミートザワールドビートやリクエステイジやレディオクレイジーなどの様々なイベントを行っていてまさに宇野先生の言う通りなのですがFM802もこのシステムを邦楽のみに使用しようとした訳ではなくミートザワールドビートにはジャニスイアンやRIDEのマークガードナーのアニマルハウスが出たりしていました。しかし、上手くいかなくて現在の邦楽のみの結びつきになってしまったしロッキングオン社もロッキンジャパンもかつてはジョンスペやJJ72が出てたりジャパンジャムにSUEDEを出したりして挑戦はしてるのにファンに受け入れられないと言う状況がある事も大事なポイントだと思います。会社側の意向だけでなく現在の802システムを選んだのはファンであると言う事も大事な話だと思います。
あと、小沢健二の映画の上映会の話は宇野先生の著書『小沢健二の帰還』に詳しく載っていますので気になる方は一読してみると分かりやすいと思います。個人的にはこの本は宇野先生の仕事で一番だと思います。よくこんな資料残していたなと感心しました。

俺のTwitterを見ろ発言は良くしてますが今回の発言で一番良いのは

『話題になったものに触れているのではなく俺の気になった物が話題になる。』

でしょう。タナソーに乗せられても発言ですがまさしく宇野先生的な発言でした。

     

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