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宇野維正先生考察第五十九段 三原勇希 × 田中宗一郎 POP LIFE: The Podcast 2021年ポップミュージック総括回後編で更に荒れる宇野先生編

今回の宇野先生考察は先週のPOP LIFE: The Podcast 2021年ポップミュージック総括回の後半2エピソードからの宇野先生の発言をピックアップしていきます。

今回も荒れる宇野先生。色んな所に刃を向けていきます。では始めていきます。



タナソー 「あしたのジョーみたいに両手ブラリ戦法ですよ」
『僕はカーロスリベラとしてね』
タナソー 「若い人には分からない」
『すいません。』

『えーと、映画音楽ジャーナリストの宇野維正です。前にタナソーさんと僕は音楽の話はしないほうが良いんじゃないかって言ったじゃん』

『ごめん、音楽はこういう感じになっちゃうんで』
タナソー 「今回をもちまして宇野さんは音楽回は出禁という事でね」


『イギリス?ああ、おしゃれな音楽が好きな島国の話ね』

『柴帰っちゃったけどさあ。今年、あった大きな事って小山田圭吾のキャンセルだと思うんですよ。あれってさあ、恐ろしかったじゃん。元となっている事に対してもちろん本人の非はあることは当然だけど、それすら捏造になってる擁護派ののりにはついて行けないんですけど。捏造じゃないからね。多少の盛りはあったにせよ。だけど、やっぱりそのついにここ5年ぐらい海外で続いて来た何かの賞をやる時に司会者の過去をほじくられてみんな司会がいなくなるみたいな、何十年後から見たらあの時代のアメリカは馬鹿だったなと言う時代だと思うんですけど、あれがいよいよ日本にも本格的にラーメンズも含めて我々目撃したじゃないですかこの夏。その一方でカニエウエストがリスニングパーティでいきなりマリリンマンソンを出してJailをやったじゃないですか。もちろんマリリンマンソンのやったことは擁護しようがないですよ。ダベイビーの言ったことも基本的には擁護しようもない事なんだけど、思ったのは日本ってさあ。禁煙ってなったらホテルのロビーの駐車場の横にも灰皿置かないじゃん。禁煙のシステムってアメリカの全然早かったんだけど、ただアメリカってさあ。絶対に喫煙者が吸う場所は残すんだよ。けど、ここの収録のすぐ横にあるホテル。なんだっけ?』
有泉さん「ペニンシュラ」
『そうペニンシュだ。灰皿ひとつないんだよ。で、外人(宇野先生の発言のまま)が途方に暮れてる訳。泊まってる。外でも吸えんのか?と。だから、ある種、社会そのものの緩さがあるとの本質的なね。プラス贖罪と言う物を宗教的に組み込んでいる。許すと言うね。それはイスラム教にもキリスト教にもある。そういう価値観みたいな物が宗教的にもある。カニエウエストがあれをやる理由はそこじゃないですか。それは良し悪しだと思いますけど、ああいう人が業界の中で力を持ってる。みたいな物とセットでなんとか成り立ってる。それでもキャンセルカルチャーは行き過ぎてると思うけど。日本みたいな社会でキャンセルカルチャーだけ輸入したらろくでもない事になるなとずっと思ってたけど本当に来てしまった。それが夏のオリンピックからカニエのドンダのリリースあたりまでで考えてたことで、皆さんがこれまで話してきた事とは全然違うけど今年音楽を通して考えてきた事で一番のヒートポイントだったね』
『ビリーアイリッシュの炎上はそもそも燃やす必要のものだったと思う。燃やしてる連中の愚かさ、醜さみたいなものももうちょっとコモンセンス化して欲しいと思う。例えば近々だとアストロワールドフェス。十何人亡くなったんだよね。若い子も含めて。で、あの後のトラヴィススコットに対する今の状況が物凄くて。例えば何が起きたかと言うと、今年のコーチェラのトリの1人がトラヴィススコットだったけど、六万人の署名を受けてキャンセルになった。けど、その六万人の中にコーチェラのチケット持ってる人は600人もいないと思うんだよね。あらゆる事がそうじゃん。当事者じゃない人がキャンセルする。それを未だにコーチェラみたいな基本的にはホワイトインフルエンサー向けの商業イベントが言う事聞いちゃうんだって。ローリングラウドだったら守ったかも知れないよ。黒人のラッパーがキャンセルされた時に守らないコーチェラみたいな物に対する。この凄い酷いなと思ったし、やっぱり、もちろんトラヴィススコット。俺もリアルタイムで観てたけど、トラヴィススコットも何度か止めようとしたし、あれで本人が把握できるかどうか本当に運営の問題じゃん。もちろん運営の1人としての責任は負うべきだけど、トラヴィススコットなんて何とも思ってなかった人たちがみんなキャンセルに動いてるのが同時進行で起きてる。ただそれも彼はカニエのファミリーでもあるから何らかの復活するんだろうなとは思ってるけど、その場コーチェラみたいな物ではないんだなと。それで、俺の中ではコーチェラは行きたい場所で無くなった』
『日本だ小山田圭吾の件の後、そこまで酷いのはないにせよ。本当に一回、酷いところまでいったな。あれが暴走していたら本当に酷いことになっていたなと。』
『トラヴィススコットは明確にレイシストたちの標的になった』
『カニエウエストはある種の宗教の悪用だからね。悪用と言うか確信犯的な。けどさあ、マリリンマンソンはそんな人だと思いませんでしたって言う人いるの?マリリンマンソンってさあ、アメリカの現代史の最も凶悪な殺人犯の名前を引き受けてさあ、俺は嫌いな言葉だけど世界観でやってきた人なのにさあ。やったことは酷いけどそもそもひどいじゃんみたいな。だからそれでわいわい言ってるのが良く分かんない。俺はそもそもマリリンマンソン好きじゃないしさ。俺チャールズマンソンを名前にした奴なんて応援したくないもん』
タナソー 「でも、会うと優しい人ですよ」

『今年、印象的だったのがさあ。コンピレックスだったかな?ヤングサグの三週間ぐらい密着するニュージャーナリズム的な取材があって、良くやったなと思うけど、けどさあ、ミーゴスとかフューチャーとかトラヴィススコットとかヤングサグとかのライフスタイルとかやってる事とか、まあなんか起きてもおかしくない本当に常識じゃ考えられないようなスピードとお金の動きと人の流れみたいなのがあるから、なんか異常な感じの中で何が起こることはありうるなって言うのはあるよね。その中であいつら調子に乗ってるなあって言うアメリカ社会のムードはあると思う。けど、彼らはそう言う風に思わせたいからやってる。黒人が成功してこんなにクルマと美女をみたいな。こういうのは彼らの思う壺だし、だからライフスタイルを密着させたりするんだけど、ただ何かあった時はこうやってくるよね。構造的には分かる。わかるし、復活も出来ると思う。サポートする側もいるから。だけど異常だよね』
有泉いるからあえて言うけど、俺は不倫したぐらいで休業することに異議を申し出た方がいいと思うよ。ジャーナリストは』
『もちろんファンダムとバンドの関係とかフロントマンとの関係もあると思うけど』
『あえて名前出すけどゴールデンボンバーみたいなケースもある訳だしね』
『本当に酷いケースと全て一緒にするのも良くないと思うけど、キャンセルされた人に何かできるか以前に何もしてないと思うし、この感じだと誰も何もしなんだろうなと思う』
『それはジャーナリストの仕事ではないかもしれないけど』
『法を逸脱した人を守る必要はないと思いますよ。それを必要以上にあれするのもあれだけど。それにみんなコミットしたがる状況が数年前のアメリカみたいになっていくとやばいなとは思います』

『みんながそんなにイギリスがいいと言うんならそうなんでしょ』
俺は基本車で音楽聴くから。イギリス人は車で音楽聴かないから。良くわかんないんだよ。繊細なテクスチャーとかさあエンジンの音でかき消されちゃって分かんないもん』

タナソー 「都内で車で乗るなよ。ロスに住めよ」
『いや乗るよ』
三原さん「電気自動車に乗れば良い」
タナソー 「地雷、地雷」
三原さん「宇野さんに言っちゃいけない奴だ」
『ついにトヨタも裏切り始めて俺は絶望的な気持ちになってる。アンチSDGsです。全身で』


『東京の音楽シーンは面白いと思いますよ。ここ数年』
『ヒップホップは基本コンテクストの音楽なので』
『イギリスの音楽がホットなのは分かる』


『ビリーアイリッシュは脱Z世代アルバムだったと思うよ。やっぱり俺はZ世代はクソだと思っていて、誰かが言ってたけど、ゆとり世代でもいいし、ブランクジェネレーションでもなんでも良いけどさあ。世代って上の世代からのレッテルで作られるものなのに自らZジェネレーションだと名乗る。本当にその通りだなと思う。なんてダサい世代なんだと思ってる』


『5年後にはみんな大人になってるんだよって。なんで負けるための旗を上げるのか?ってね。自分がZ世代でいられるのってタイムリミットがある訳じゃん。その数年で全ての決着がつく訳ないじゃん。あの世代が言ってる環境問題とか』
『是非はともかくビリーアイリッシュはあのアルバムで世代の代弁者である事を拒否した作品だと思う。彼女は聡明だから世代の代弁者であることの未来のなさに気付いたんだと思う』
『グレタトゥーンベリの主張に乗っかる事はできないと言うのが俺の考えた方。』
『全世界的に原発だって事になってるんだよ』

『彼らの主張にはもっともっと貧しくなるよって』
グレタを支持するんなら原発推進だと知っておいた方が良いよ』
『若い子は原発も含めてグレタを支持してるのかも知らない。だとしたらそれはそれだしそこは筋は通した方が良いよって』
『なんでみんなSDGsって言うかと言えばそれで広告が取れるから。その構造だけは分かっておいてって思う』


【寸評】

宇野先生の刃は色んなところに飛びます。不倫を擁護しないジャーナリスト、コーチェラ、Z世代、SDGs、グレタさん。以前からコーチェラでフランクオーシャン観るのが目標だと言っていた宇野先生がコーチェラと決別?発言。興味深いですね。

事あるごとに若い世代の味方だと言っていた宇野先生がZ世代に強烈なディス。この辺りの宇野先生の価値の線引きは難しいですね。




はい、映画音楽ジャーナリスト 宇野維正です。あんまり喋らないでおこうかな?と思ってたけどここまで思ってたより喋りすぎちゃって』
タナソー 「良いんですよ。宇野さんの音楽回卒業回ですから」
『いやそれは民が許してくれるのかな?僕は民の声を尊重するべきだと思う』

『年間ベストとか年間50枚聴く時点でヲタクだよね
『ナイジェリアのラゴスは大都市だし成熟した音楽シーンがあって当然だよね』
『タイラーザクリエイターのアルバム俺も出た当初は聴いたけどあんまり聴かなくなったね』
『タイラーはライブでも最新曲を完全に再現とかなくてライブはライブで割り切ってる人なんで、むしろパンデミックでライブがあんまりないからこそ作れた作品で進化がちゃんと伝わった作品だよね。ラッパーの中でもパンデミックの環境に順応した作品だよね』
『オリヴィアロドリーゴは受け入れられないポップパンク』
『Cタンガナはスペインのドレイクみたいな存在。好きです。ドレイクに比べるとアートより。スペインの国民的ラッパーがこんなにアーティスティックなんだって驚いた。』
『ラップはどこの国でもローカルラップが盛ん。ラップは本来はそう言う物。だから日本でも盛んになるべきなんだけど。いつまでもヒップホップ、ヒップホップ言ってないで』
『何度も行ったことあるけどマドリッドは明らかにバルセロナよりもダサいですよ』
『Cタンガナはタナソーさんが勧めてくれた音楽で良かったの3、4年ぶりだね』
『河口湖に旅行に行って静かな所で聴いてたらすごくハマった。』
『ちゃんとジョンとヨーコが泊まったホテルに泊まったんだよ。』
『ヤングサグのパンクは問題作なんだよなあ。』
『2021年はニュースターが生まれなくて停滞を感じざるえないよね』
『ヤングサグのパンクは地味にこけてるので。ギターでヤングサグがこういうのをやるのが。狙って外してる』
『ヤングサグのムーブは数年前と全然違うよ。めちゃくちゃあのアルバムにかけてたけど』
『このランキングだとBaby Keemは低いなと思った』


日本でブルーノマーズばっかり受けてるのが気分が悪いの。結局、今の音楽分からない人間がこれだったら分かるって飛びついてる感がさあ。音楽評論家も』


『ダフトパンクのランダムアクセスメモリーズには加担したけど、あれはAORの部分でちゃんと評価されるべきだったと思うよ。ディスコのイメージが強すぎて』
『これなら分かるって感じで飛び付いてる人達のはしゃぎっぷりに』
『俺の聴き方も邪道ですよ』
『アンダーソンパークはシャンチーの曲が良かったからそっちやれよって思っちゃう』
『タナソーさんはプレイボーイカーティーとか言いながらシルクソニックっていうのは調子良すぎるよ』
『批評家としての一貫性は問われる時はあるんじゃないの?』
『他の人より早く聴いたとかどうでも良いから』
『シルクソニックはこれでTikTokで真似してとかそういうすけべ心がうかがえるのよ。』

『サインマガジンの年間ベストの日本人アーティスト全部仕事した人じゃないですか?癒着じゃないですか?タナソーさん』
タナソー 「好きな人としか仕事しないもん」
『うまく返された。もう何も言わない』

『ダメな物をけちょんけちょんにしていかないといけないだろうなあって言うのは映像周りの音楽に関しては徹底してダメ!って言わないと良い物が浮かばれない。例えば浅草キッドのエンディング。桑田佳祐さんの曲は良いですよ。映画もそこそこ観れます。でも、あれをくっつけるセンス。アニメを作るセンス。全員退場してくださいって感じ。桑田さんの事じゃないよ』

『日本はドライフラワーの国だから』
『パンデミックの中でバンドの解散、脱退の理由って実は経済的な理由だったりするじゃないですか。この2年多かった』
『タナソーさんは押し付けるんだよ』
『次回の音楽回に出るかは民の声次第』


【寸評】

こちらでも宇野先生は年間50枚以上アルバムを聴く音楽ヲタク、ブルーノマーズを聴く日本人、ネットフリックスの浅草キッド、ドライフラワーとそれを聴く日本人と色んな所に刃をむけています。

宇野先生のBaby Keemの評価には同意ですね。私も年間ベスト(宇野先生が馬鹿にするやつ)に入れてます。

ブルーノマーズ問題。たしかにブルーノマーズが日本で異常に人気あるのは分かりますし、私も好きですし宇野先生の意見は分からない事はないですが。何とも言えない奴ですね。ただ個人的にブルーノマーズ大好きな私もシルクソニックにはなんとなく乗れなかった。

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